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兄に捧げるハッピーエンド

作者: 知日

リハビリです……^ - ^

来年の四月ごろからは活発に投稿できるかもしれません。

話のネタ自体は前から下書きしてあって、ただ昔のを引っ張り出したので読みにくいかもしれません(・・;)


 

「お前の結婚相手が決まった」


 父に呼ばれた時から覚悟はしていた。

 もう私も十六歳。結婚させるにはいい時期だ。

 当時六歳だった罪なき亡国の姫を養子とすることで寛容さと余裕を見せつけ、指示を上げることに成功した上に、その姫がこの世界で特別だった。国の安寧を養子一人で手に入れたなんてとても幸運な王だ、なんて思っていた時期もあった。しかし十年も経てば素直に優しさと受け入れることも楽になった。

 今の父の顔は私の晴れ姿を今から楽しみにしているようだし。


「どなたとでしょうか?」


 幸いなことに私の容姿は特上ではないが上の上。自惚れではなく。欠点といえばこの国ではありえない黒髪黒目だが、それでも結婚の打診はそれなりにくるだろう。


 正直相手を好きになれるかはわからないが、私には愛は無くとも良き妻を演じられる自信がある。相手だって一端の貴族だろうし腹芸は得意なはずだ。私を愛してくれる義理の両親を悲しませない程度には仲睦まじい夫婦としてやっていける。


「ユミルと結婚だ!」


 今も父の隣に構えるその男をチラと見て、私は心の中で顔をしかめる。「嬉しいだろう?」と喜色満面の父の前でそんな顔をする訳にはいかなかったけれど。


「わかりました」


 表面では大人しく頷いたけど、この結婚が上手くいくわけがない。何せあちらは______私の兄は私のことが大嫌いなのだから。






 少し長くなるかもしれないが、昔話をしようか。

 私がこの国に来た時は六歳だった。第一王子の婚約者として差し出されたのだ。後から聞いたのだけど、私の両親と実の兄は義兄を殺そうとしたらしい。結果義兄は生き残り、家族の罪は明るみに出て、結果生かされたのは私だけ。

 悲しかった、悔しかった。どれだけの罪を背負ってしまっても私の家族だった。離れる最後の最後まで愛してくれていたのだ。再会を信じて疑わなかった家族を、私から一生奪ったこの国を、王を憎んでいた。


 そんな時だ。兄に惹かれたのは。


 兄といっても義兄で、元婚約者の第一王子のことだ。流石に本人を殺そうとした相手の子を婚約者に据える訳にはいかなかったのだろう。それでも行く宛のない私に少しは情があったのか、私は一時的にこの国の王家の家族ということになった。


 兄は私を嫌いになりたくないのだと言った。自分を殺そうとした人間の子に向ける真っ直ぐな思い。家族を殺した人間を憎む私と正反対なその姿に憧れた。愛してくれた家族に恥じないように生きたいと、生きようと思った。義理の両親には素直になれなくても兄には素直になれた。



 私が『祈りの巫女』だということがわかったのは八歳の時。

 今思えばその予兆は前々からチラついていた。明日は晴れて欲しいな、と言ったら必ず晴れた。花を摘みたい、と兄に強請れば冬場でも必ず花を見つけられた。

 無意識だったかもしれない。けれど確実に、私は言葉にしたことを叶えていた。

 決定的な出来事は、私が紅茶を零してしまった時。兄は腕を出し、熱い紅茶を全て受け止めた。兄は軽い傷も残らないような火傷を負った。傷にはならないと言われたものの自分のせいで傷を負わせてしまったのだ。私は言った。

「痛いの痛いの飛んでいけ!」と。

 その瞬間は痛みがなくなったのだという。

 その時は何故そんなことが起こったのか誰もわからなかったけれど、暫くして過去に似たような事例を見つけたらしい。


 ______祈りを本当にする、現実を理想に近づける。その娘を『祈りの巫女』と呼んだ______


 幻のようなその記録は本当だったのだと誰もが言った。

 私は『祈りの巫女』になった。この国の、この世界の特別な人間になった。望んでもいないのに。______唯一人の特別になれたなら、それでよかったのに。

 憧れはこの時にはとっくに恋情に変容していたのだ。



 十歳。

 私は毎日祈っていた。毎日の礼拝に加えて、だ。祈ることで兄が愛するこの国に幸を降らすなら。国のためなんて綺麗なことじゃなく、兄のために、兄に自分を見てもらうために。私の祈りのままに国は栄え、兄は笑顔を咲かせた。


「私のこと、お好きですか?」


 これが私の口癖だった。

 兄は第一王子でいずれこの国を継ぐ。その時には選ばれた伴侶となる女性が隣にいるのだ。そして、その女性が選ばれるのは明日かもしれない。

 兄のことを好きなままの諦めの悪い自分を癒すために、私は兄にこの質問を繰り返した。兄は言葉にはしなかったけれど、いつも微笑んで頷いてくれた。


 でも、一度だけ言葉にしてくれた。

 五歳年上の兄が成人だと認められる日の前日。それぞれの部屋______両親が仲の良い私達を気にかけたのか隣同士になっている______に入る前、私はいつものように問いかけようとした。


「僕のことを好き?」


 私が問いかける前に兄は言ってきた。しばらく驚き過ぎて言葉が出なかった私の顔をいつの間にか兄が覗き込んでいた。


「も、もちろんっ!………す、好きです」


 首を縦に振りながら大きな声で答えてしまい、取り乱したことを慌てて取り繕って確かな言葉にした。恥ずかしくて穴に埋まってしまいたい気持ちを抑えて私も問いかけた。


「私のこと、お好きですか?」

「大好きだよ……誰よりも、何よりも」


 部屋に入っても私は舞い上がったままだった。

 後に続いた言葉は私を喜ばせるためだけに言ったものかもしれなかったけれど、兄が「大好き」と言ってくれたし、初めて兄からも聞いてくれた。もしかしたら兄も同じ気持ちなのかもしれないと思い上がっていた。


 舞い上がってしまったのだ。

 これが最初で最後の言葉だとは思わずに。

 この一コマが私の最良の幸福な時だった。

 でも、私は今でも兄の表情を見なかったことを悔やんでいる。

 見ていたのなら、舞い上がらずに済んだのかもしれなかった。一度飛んでしまった分、その翼を失って地に落ちてしまうのは痛いから。それなら、飛ばなければよかったのだ。



 次の日。

 義兄の成人の儀で私は祈るはずだった。彼に最高の幸福が降るように。


「俺は、祈られたくない。自分を殺そうとした人間の娘には」


 祈るために兄の手を両手で握る寸前、そう囁かれたのだ。両親にも、私以外誰にも聞こえないほどの小さな声。


 結局、私の最良の一コマと最悪の一コマは隣り合わせだったのだろう。

 それでも、私は祈った。声が震えているのを緊張のせいにして、彼が幸せになるように。


「貴方に幸あらんことを」




 婚約者から兄妹になって結婚とは……こんな関係の二人は他にはいないのではないか。

 父は私が兄に嫌われていることを知らないから良かれと思ってやったのだろうし、兄も断れなかったのだろう。

 私は諦め悪く今も彼のことが好きだけど、あっちだって変わらず私のことが嫌いだ。だからこの結婚は大問題。私が兄を想うように兄も想い人の一人や二人いたっておかしくないのだから主張すればよかったのに……。いや、悲しいし悔しいけれども。

 それでも、私が望むのは兄の幸せなのだ。こんな結婚では『結婚は人生の墓場』という言葉が事実になってしまう。


 実は今だって毎日祈っている。あの最悪の日から毎日欠かすことなく。それは兄の為でもあるけれど、自分の為でもある。



『自分の力で兄が幸せになれば、恋人は無理でも昔のように笑ってくれるかもしれない』



 その一心で祈っている。私の更新されることのない最良の日を思いながら。

 彼の幸せのためにも、明日からはちょっと祈り方を変えてみようと思う。






「私と兄上の結婚が破談になりますように」


 朝を迎えてベッドの上で祈りを捧げるのが私の日課だ。全ては兄のため。……いや、半分は私のため。


 私が兄を嫌いになっていたなら嫌だと断ることもできた。兄だって私を嫌いだと公言していればこんなことにはならなかった。

 結局、優しい人なのだ。私はあの時以来「嫌いだ」なんて言われたことがないし、噂もないから他人にだって話していないんだろう。笑ってくれることはなくなったけれど、別に無視されているわけではない。少なくとも、両親に仲がいいと思われる程度には会話もする。

 変わったのは私も兄も好意を口に出さなくなったことくらいだ。


 私が戻りたい過去で仲が良すぎただけで、今だって仲がいい。ただそこに彼からの愛情はない。

 言葉にすればそれだけのことが私には大切だった。やはり、好きな人には好かれたかった。




 朝食をとって、礼拝の時間を終えて、自室に戻る前に母に捕まり、母の部屋に連れ込まれる。


「結婚おめでとう!」


 その言い方ではもう済ませたように聞こえて気になった。喜んでいる二人には申し訳ないけれど、私は兄と結婚しない。自分の力を全力で利用させてもらう。

 とりあえず、ありがとうございます、と言って、出されたお茶に口をつけた。


「どんなウエディングドレスを着ます?やっぱり白?何回くらい着替えましょう……だって貴方になら何を着ても似合うわ!それに隣に並ぶユミルも格好いいですもの、最高の式にしましょうね!!」


 結婚することはない、けれど。

 お茶と一緒に出されたクッキーを咀嚼した。甘い。甘い想像。


 白いドレスを着て、白い正装の彼の隣に立つ。夢にも見たことがなかった。


「……シロツメクサをたくさん用意して欲しいです」

「!貴方の黒い髪に映えて絶対綺麗よ!!他にも生花を用意してもらいましょう。王子と王女の結婚式だもの、華やかになるでしょうね!」


「幸福」の意味を持つ花が兄を幸せにしてくれますように。

 その後も母と何気ない話で昼を潰したけれど、極上のクッキーは先程のような甘さを感じさせてくれはしなかった。




 シロツメクサは「幸福」の意味を持つ。けれど同時に「復讐」の意味も持つ。

 私は兄に幸せになってほしい。けれど、すきなのだ。私は、本当に、彼の隣に他の人が立つことを許せるのだろうか。

 昔からおもっていた。

 兄の隣に立つのは私ではないと。

 でも、自分が兄の隣に立つ姿を安易に想像できてしまった。あの時の高揚感が忘れられない。彼と彼の隣に立つ人を本当に笑顔で見守れるだろうか。幸せなんて祈れるのか。

 だって、私は『祈りの巫女』なんだ。

 普通なら、よかった。物語の中みたいに好きな人と一緒にいる人に嫌な思いを抱いて、それを振り払って、自分に振り向くことを願って、懸命に努力する。

 でも私は普通ではないから。私が「兄に振り向いてほしい」なんて願ったらどうなるのだろう?それでも兄が振り向いてくれなかったら。それ以上に、相手の人に危害がくわわってしまったら?それこそ聡い兄のことだ。これ以上に嫌われるかもしれない。


『祈りの巫女』だなんて大層な名前を持って、特に大げさなことをするわけでもない。国の安寧は今の所叶っているけれど。結局のところ、そこまで万能ではないのだ。十回の内に一回、百回の内に一回とか、とりあえず可能性のあるものを可能に近づけ、千回の内の一回を引き寄せる力。昔、傷を治せたのなんて偶然だ。


 私と兄との結婚が破談になるなんていう可能性はいくらでもある。

 けれど、兄が私を好きになってくれる可能性は?記憶喪失にでもなる?そんな事態は誰も望まない。過去は変えられないのだ。こればっかりは今は亡き実の家族を恨んでしまう。



 落ち着いて寝れる気がせずにバルコニーに出ると、兄も外に出ていた。

 未だに私たちの部屋は隣同士だ。たまに壁に背を当ててみたりする。当然、感じるのは冷たい壁の感触だけだけれど。


「兄上」


 私を見て軽く目を見開き、部屋に戻ろうとする兄を引き止める。ここで去られてしまえば諦められたかもしれないけれど、何も言うことはないが留まってくれてしまうのが兄だ。


「兄上は、好きな人はいないのですか?」


 いないで。


 そんな思いを掻き消すように少し強めに風が吹いた。流れた雲が月も星も隠してしまい少し暗くなる。


「……くしゅっ」

「…………もう部屋に入れ。風邪をひく」

「いやです。教えてください」


「いる。だからもう寝ろ」


 兄の言う通りに部屋に入って、ベッドに潜って、呆然とした。

 ああ、好きな人が、いるのか。

 ならなんで、私との結婚を否定しなかったのか。否定してくれればよかったのに。こんなには悲しくなかった。好きな人がいるなら、私に優しくなんてしないで。心配なんてしないで。

 聞かなければよかったなんてもう遅い。


 兄は選り取り見取りだ。家柄も容姿も特上。文武共にトップクラスで、性格もいい。そんな兄とお近づきになろうとする女性は「第一王子」を狙っている人より、「ユミル」に恋をしている人の方が多い。

 あの沢山の女性の中に好きな人がいるのだろうか。それとも言えないような相手だから結婚を断らないのだろうか。



 嗚呼、兄の好きな人なんて消えてしまえばいいと思うけれど、それでも兄に幸せになってほしい。



 本当はわかっているから。

 兄に近寄る女性たちは兄に好かれるために努力している。それに比べて私は?嫌われているからと諦めて、好かれようともせずに、妹という立場に甘えて、好意を伝えてもいない。




 兄が私と結婚せずに済みますように。


 思いの外私は泣かなかったようで、瞼を腫らすなどの醜態を晒す羽目にはならなそうだった。

 今日を過ぎれば一気に実現に近づくはずだ。



 兄のために私ができること。

「陛下に会えますか?」

「少しお待ちを」

 執事に取り次いでもらう。でも確か今日は大きな用事や人に会う日ではないはず。何より父は私に甘い。無理矢理にでも時間を捻出してくれる気がする。

「よいそうです」

 ほら。一言お礼を言って、父の部屋に入る。


「珍しいなお前から来るなんて。きょうは仕事もはかどるな」



「……お願いごとがあるのです。私と兄上の結婚をなかったことにしてください。…す、好きな人がいて。もちろん兄上のことが嫌いなんてことはありません。でも私は、好きな人と結婚したい…………です」



 止まってしまったら言葉が出なくなってしまうような気がして品がなってないかもしれないが一気にまくし立てる。

 ごめんなさい、父上、母上。母上なんて特に楽しみにしてくれてたはず。私より式の想像がはっきりしてるだろう。隣に立つ人は兄がよかった。兄以外は考えられない。


 兄との、ユミル様との結婚以上に私に優しい夢はない。でも違うのだ。私は兄に兄ではなく、ユミル様として私のものになって欲しかった。兄上としての兄ではなくユミル様としての兄に。

 夢を見なければ適当な家の子息に嫁いで良妻となれたかもしれない。でも、無理だ。私の一番はユミル様から変えられない。家のためなんてできない。気づかなければよかった、この想いの大きさに。


「……考えてはおく。けれど、必ず叶えられるとは限らない。いいな?」


 父の言葉に頷く。

 必ずなんてないけれど、願うのは『祈りの巫女』だ。叶えてみせる。





「殿下、好きな人がいるのなら教えてくださればよかったのに」


言わなくてごめんなさい。とっても素敵な人。あれ以上の人なんて存在しないわ。

兄と私の結婚がなくなりますように。



「……好きな殿方がいたのですか、王女殿下」


ああ、私のメイドから聞いたのね。兄上にも好きな人がいるみたいだからそちらも応援しているのかもしれない。

兄が私との結婚から無事解放されますように。



「王女殿下は王太子殿下を好いていると思っていました。あの方に似ておられる方ですか?」


鋭い。正解だ。似ているというより本人だけれど。結構広まっているけれど使用人同士の情報網はそこまで優れているのだろうか。

兄との結婚が夢のままでありますように。



「……好きな方がいたのですね。もうそんなに大きくなってしまって。なんだか寂しい気持ち。きっと、ユミルも悲しがりますよ」


兄上は、私のこと嫌いですから悲しまないと思いますよ。きっと、私は結婚式なんてできませんから、兄上と想い人との結婚式を盛大にしてください。……親不孝で、ごめんなさい。

私が兄と結婚するようなことがありませんように。




兄が、私以外の誰かと結婚して幸せに、どうか世界一幸せになりますように。


誰よりも愛しています______ユミル様。




………

……………………

私は倒れてしまったらしい。

みるみるうちに弱っていく原因は医者にもわからないのだとか。

このまま弱って死んでしまうのだろうか。それは、いやだな。怖いのもあるけれど。私のために悲しんでくれる人達を悲しませなくない。ユミル様も優しい人だから。何よりまだ彼が幸せになったのを見届けていないから。


「リーシャ」


わたしの名前。ああ、ユミル様だ。


「何かを、祈ったか?」


緩慢な動作で頷く。


「何を」


あなたの幸せを。私とあなたの結婚がなくなることを。


「ゆみるさま」

「言うんだ」

「まだ、わたしが、にくいですか………きらいですか」


ユミル様は息を飲んだようだった。瞳が狼狽えるように揺れている。それすらも綺麗な人。乾いた笑みが零れる。


「けっこん、しませんよ」


きらいな相手なんて信じられないけれど。


「わたしはずっと、ゆみるさま、あなたの、幸せだけをねがっています」


国の安寧も、他の幸も、全てはあなたが生きること国の為で。あなたの幸せの為。

こんなにも重い気持ち、邪魔なだけかもしれないけれど。それでも好きなんだ。


「そんなこと祈らなくていい」

「そんなことじゃ、」

「絶対に叶えさせない」


え。




好きなんだ。ずっと。嫌いになったことなんて一度もない。リーシャは嫌いになったかもしれないが。……絶対に、他の男になんて渡したくない。

結婚の話だって、俺が父上に言って。




「うそ」

「嘘じゃない。好きなんだ。結婚してくれ」


これが現実だったらいいのに。死ぬ前に見る幻覚だったらどうしようか。


「わたしも、すきです」


唇が重なった。

ああ、しあわせだ。



…………………

………


そうして、私は兄と、いやユミル様と結婚することになった。


『祈りの巫女』は可能性のあることを叶える、現実に近づける力を持つ。______だけでなく、可能性のないことでも自らの命を削れば叶う。それこそ怪我から不治の病だって治すことができる。


過去にもそれを知らずに実現の難しいことを願った巫女がいたそうだ。


ユミル様は、私が彼の怪我を治してしまったことで危険を感じ、あのような態度を取ってしまった、と謝ってくれた。

正直、結婚しないことが不可能に近いほど私のことを想ってくれたのだと思うと嬉しかった。



私も、彼も、お互いが好きだった。彼が私を幸せに、私が彼を幸せにできる。なんて幸せだろう。




無事に親孝行も済ませ、夫婦となった私たちの部屋は冷たい壁を取り去って一つになった。

ありがとうございました!

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