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異次元戦争  作者: 島崎 海成
第三章 日常生活(仮)
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進級試験・後編

遅れて申し訳ありませんでした。

 「へえ、君たちが進級試験の対戦相手か。僕はシオン。」


 「私はマーズ・ライブラ。よろしくね。」


 誠たちの目の前の扉を開け、2人の男女が出てきた。男は真っ白な髪と大きく高い鼻が特徴的で、頭以外に全身パワードスーツのようなものを装備している。武器は持っていない。女の方は真っ赤で腰のあたりまである髪、細長く、大きな目が特徴的で、マクロスと負けず劣らずのスタイルと色気を持っている。黒色のローブを羽織っていて、背中から大剣の柄が見えている。


 誠たちと歳はそう変わらないことを誠は察知したが、にっこりと不敵な笑みを浮かべつつも、さりげなく殺気を放ってくる彼らに誠は警戒心を抱いた。持ってきた愛用ピストル「ウエスタン」に弾を入れ、身構え、誠は戦闘準備をした。


 「ははっ。わかりやすく警戒しないでよ。名前はなんていうの?」


 笑いながら、シオンは聞いた。


 「名乗る必要なんてあるかい?さっさとかかってきなよ。」


誠の隣でマクロスがもう挑発している。彼女は本当に気が早い。


「ふっ。それもそうだね。」


『おい、お前ら。その前に開始の合図をさせろ。』


キースが拡声器で誠たちに呼びかける。


『ったく、お前ら気ィ早すぎ。じゃ、お前ら。両方準備もいいな?』


戦場の戦士達は全員頷いた。


『よし、じゃあ、代表が握手しろ。』


シオンが歩いて来た。誠達は代表なんてもちろん決めていなかったので、一番の実力者であろうマクロスにその役を任せた。


シオンとマクロスは互いにしばらく睨み合った後、握手した。


「ケッ。すました男だ。あんたたちわかってると思うけど、油断するんじゃないよ?」


途中唾を吐きながら帰って来たマクロスは、誠たち二人にそう声をかけた。


一連の流れが終わったあと、拡声器からキースの声が響く。


『よし。じゃあ、双方後腐れなんてするじゃないぞ?あとな、これに合格した後の話だが、それは後で話す。この試験の間は戦闘に集中するように。』


『それでは、試験開始!』


キースの声と共に、シオンはゆっくりと体を後ろに倒した。


刹那、シオンの足に付けていたパワードスーツが光り、後ろの床にを開けるほどの衝撃を放ったかと思うとシオンの体は見えなくなった。マーズは大剣に炎を宿し、誠たちの方に正面突破しに走ってきている。


「誠、健一、ボケっとするんじゃないよ!」


それと同時にマクロスが叫び、驚いてあっけにとられていた誠たちは我に返った。


同時に、健一は「ソナー」を、マクロスは「爆煙」を放ち、誠は手にクラフトを溜め、「ポイント」の発射準備をした。


 誠は、『ソナー』でシオンとマーズの姿をとらえると同時に、また驚いた。相変わらず正面突破しようと走ってきているマーズはいいのだが、シオンは違った。車の何倍もの速さで走っているからだ。


 『ありゃあ、ソニックの使い手だね。音速で動ける能力さ。よし、マーズはあたしが何とかするから誠、あいつはあんたにまかせるよ!』


 準備の時に渡された無線機にマクロスの声が聞こえる。それと同時にマクロスはマーズに『機雷』を打ち込んだ。周りに黒煙が上がっているせいでマクロスの姿を確認できなかったマーズはそのまま吹き飛ばされ、後ろの方へと転がっていった。


 「君の相手は僕なんだろう?集中しなよ」


 誠が、マーズの方を見ていると後ろから冷たい声がした。シオンが誠の後ろをとっていたのである。


 「__ッ!?」


 誠はすぐに振り返り、反撃しようとしたがもう時すでに遅しで、振り返る誠の顔の前にはパワードスーツのこぶしがあった。そのまま誠はふっとばっされたが、何とか受け身をとって衝撃に耐えた。


 「ふん、煙でかく乱するのはいい考えだと思うけど、声を出しちゃあ、意味な__」


 言い切らないうちに、シオンの後ろから大きな銃声が響いた。シオンは首を傾け、飛んできた銃弾をかわす。かわされた銃弾は誠の顔のすぐ横を通り過ぎ、どこかへ飛びさった。


「……クソ。もう一人いたんだったな。みてなかったや。」


「『ポイント』!」


自分を撃った健一の方を向いているシオンに向けて、誠は「ポイント」を放った。シオンは誠の「ポイント」をまともにくらい、健一の方へと吹っ飛ばされた。


「……ぐっ。不意打ちなんて、中々やるじゃないか。」


そう言いながらゆっくりと立ち上がったシオンは、顔に不敵な笑みを浮かべていた。傷といえば顔にあるかすり傷ぐらいで、他には何も見受けられない。


ちなみに、健一の狙撃支援が無いのは、誠とシオンが一直線上にいるからで、今撃つと、シオンだけでなく誠も殺してしまうからだ


「ちょっと君達をみくびりすぎたようだね……。」


そう言ってニッコリ笑ったかと思うと、またシオンは誠の目の前から姿を消した。健一の「ソナー」がかろうじてシオンの姿を捉えているが、その移動スピードは速く、誠は「ウエスタン」を連射するが、その音を捉えてシオンがかわしてしまうため、一向にあたる様子がない。


「強いけど、学習能力が無いのはダメだな。僕は音で君の場所がわかるって言ったじゃないか。」


そう言ったかと思うと、シオンは「コロシアム」の壁をけり、誠の方へ急接近してきた。誠はどう反撃するべきか、考えを巡らせる。


攻撃は正面からだ。シオンは音速で動けるのを考えると、ウエスタンで撃ったところでかわされて、また後ろを取られる。


___なら、これでどうだ!


突っ込んできたシオンに、誠は一瞬身をかがめ、左手でシオンの足をつかんだ。シオンはもちろん音速で逃げようとしたが……ならなかった。


「っなに!?」


「油断しすぎだよ。『ポイント』!」



驚いているシオンをよそに、誠は余っていた右手でシオンの顎めがけて「ポイント」を放った。


「ガァッ!」


「ポイント」を顎にくらい、シオンの体は空中に舞い上がる。そのすぐ後に大きな銃声がし、シオンの肩がブレた。健一が狙撃したのだ。


健一に撃たれた方の肩を押さえながら、シオンは床を転がった。立ち上がった時にトドメをさせるよう、誠はウエスタンに弾を詰める。


「あ……ぁあ……」


またゆっくりと立ち上がったシオンは、何か言おうとしたが、顎が外れてしまっているので無理そうだった。誠は距離を詰め、シオンに向け、発砲の準備をとった。


「無理するなよ。」


 誠がそう言った時だった。


「アァアアァアアァアアァア」


シオンが上を向いて大きく声をあげたのだ。それと同時にパワードスーツが光り始め、シオンがもう一度誠の方を向いた時には、彼の顎は完治していた。


「……覚悟は……もういいよねぇ?」


顔に不気味な笑みを浮かべてシオンがそう言ったかと思うと、姿を消し、音速で動き始めた。


いや、違う……。さっきより速い!


健一の「ソナー」に映るシオンは、さっきより一段と速く動いていた。


誠はウエスタンをシオンに向け、もう一度発砲準備をしたが、もう遅かった。すでにシオンは誠の目の前で、誠の顔に向け右ストレートを決めようとしている。


「おかえしダァアァアァア!スマッシュ!」


その時、誠の目に映ったシオンは、さっきまでの好青年の姿ではなかった。目の前にいる敵をただ殺そうと一心不乱な……殺人鬼だった。


「させないよ!」


しかしそれと同時に、銃声が響いた。最初誠は健一かと思ったが、違った。誠の目に見えたのは、散弾銃を構えたマクロスだった。シオンはマクロスの「ヘル」にふっとばされ、さっきと同じように戦場の上を転がった。



「フンッ。あの馬鹿女と同じでヤワだね。」


当の「馬鹿女」はというと、戦場の右端で伸びている。どうやらマクロスは彼女を倒し、誠の援護に来たようだ。


「無事かい?あいつ、とんでもない男だね。」


「どちらが前線を担いますか?」


「ふん。2人でやるのが一番だよ。後ろには健一もいるしね。あたしは左、あんたは右からあいつに襲いかかりな。挟み討ちにして一瞬でカタをつけるよ!」


そう言ったかと思うと、マクロスは体を左に傾け、走り出した。誠も右にそれ、『デヴァイブ』発動の準備をしながら、もうすでに立ち上がっていたシオンに近づいた。この時、マクロスは必要ないと思ったのか、黒煙を手に引っ込めていた。


「そんなスピードで、僕に勝てると思うなァ!」


シオンはそう叫んだかと思うと、誠の方へとめがけて走ろうとした。が、その時にはマクロスが彼の後ろを取り、彼の頭めがけて飛び蹴りを食らわせた。


少しフラついたシオンは、すぐに体勢を立て直し、そのままマクロスの足をつかんで投げ飛ばした。が、マクロスも負けてはいない。マクロスは、吹っ飛ばされる際にシオンの右胸めがけて「ヘル」の散弾を撃ち込んだ。


「ぬぐおッ!?」


 シオンの体は、撃たれた衝撃でフラついた。その隙を狙って、誠は『デヴァイブ』でシオンの懐に入り込み、シオンの腹に両手を重ねて瞬時に大量のクラフトをためた。


 「『ブレイク』」


 誠はためていたクラフトを一気に放出し、技名を唱えた。その瞬間、シオンのパワードスーツとその周りの空間に亀裂が入り、砕け散った。が、それと同時に、誠の頭はシオンの放った「スマッシュ」で揺らされる。



 その瞬間、誠の目の前は真っ白になり、そのまま誠は気絶した。


 

 








 

いかがでしたでしょうか。


 ちなみに、シオンが誠の腕から逃げられなかった理由ですが、マクロスが誠に能力抑制型のスモークグレネードに使われる能力を抑制する物質を誠の左手に着けていたからです。



 次の投稿はまた遅れます。悪しからず。

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