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殺人鬼異世界転生!?  作者: 多勢翔太
異世界ファンタジー
11/13

殺人鬼の英雄




「アケチミズキィーーーーーー参ッ上♪」


黒髪を靡かせ、変なポージングを取りながら青年はどや顔をかます。

その薄い背中は女性のように小さく、男性のように頼もしい。


少女の。アリスだけの英雄が。彼女を助けるために、この場に現れたのだ。


「ミズキ………」


少女は瞳に雫を浮かべ、今にも泣きそうな顔で青年のを囁やく。

トニー達も安心したような顔をするが、どこか顔色が穏やかではない。青年も周囲の有り様、彼らの心情と状況を察してか何も言わずに小さな笑みを溢す。そして前を向いたまま、背後で体を小さくしている少女に言葉を交わす。


「助けに来たで候う。アリスちゃん♪」


背中越しでもわかる彼の微笑み。

そのいつもと同じ優しい声音が、その言葉が、少女の固まった表情がだんだんほぐしていく。

隣にアリスと一緒に居るビビアナも、安心したような顔をするが

その落ち着きも、待ちに焦がれた怪物によって崩壊させられる。




「ブルォォォオッッーーーーーー!!!」



離れた場所で唄うミノタウロスの勇ましい咆哮は、斧と小刀を通して伝わってくる。その警報染みた音量は振動に変わり、青年の心臓は鼓動が速くなり、とてつもない興奮を覚えた。


怪牛を見つめる青年の不気味な横顔に、アリスとビビアナは寒気を感じてしまった。


「怖い怖い………そんなに焦んないでよ♪」


青年は滑降と走り出し、無謀にも怪牛へ猛進して行った。

ミノタウロスは斤を持った右腕を大きく振り上げ、勢いよく地面に叩きつけた。

とてつもない衝撃に地面は耐えられず砕き、無残に割れ、飛び散る地面の破片が接近する青年に牙を剥いた。



「すぅっ♪」

「ブフォッ!!」



走り続けたまま器用に身体をタイミング良く捻り、揚々と回避していくが、走る速度は未だに持続したままだ。

ミノタウロスも次の攻撃に移るため、もう一度斧を振り上げるが懐ががら空きになった状態を、あの男が見逃す筈がない。青年は一瞬で急接近し、ポケットから出したナイフを横から思い切り振り上げる。



「ブォッ!!」



腹が斬られ、傷口から血が噴き出す怪牛。だがやはり刃も短く、耐久性に欠けるそのナイフでは無理があったのか、ミノタウロスに与えられた傷は浅く、筋肉を軽く傷付けた程度だった。



故にミノタウロスは倒れることなく、予定通り斧を青年に向かって降り下ろした。



青年はその斧を受け止めるためにナイフで身を守る姿勢に入るが、ミノタウロスの硬い皮膚を斬ったことで、粉々に砕けていた。


青年は仕方なく素手で受け止める。



「力強っっーーーーーーくないね!うん!」



細い片手で斧を受け止めるその様は異様な光景だった。

ミノタウロスは斧を動かそうとするが、青年の異様な力によって身動きが取れない。



「あらよっと♪」



青年は余裕の笑みを浮かべながら、気の抜けそうな掛け声で自分より遥か数倍はあろう肉体を持つミノタウロスを意図も簡単に放り投げた。



「「「え!?」」」



全員が驚きの声を上げる。

数百キロはあろう怪物をいとも簡単に放り投げるなど人間のできることではない。


だが、現に彼はその異業を成し遂げた。


その場にいる全員が、改めて"アケチミズキ"の異常性を再確認する。投げられたミノタウロスはそのまま重さが重力の法則に比例して、落ちる速度も変わる。激しい土煙を発生させ、怪牛は呆気なく地面に転落する。



「嘘でしょ!?あのサイズのミノタウロスを投げるなんて…………」


「あの細い体のどこにそんな力があんだよ…………!!」


一見華奢でありながら、とてつもない怪力を周りに見せつけてしまった青年。

その反応は至って普通。信じられないものを見たかのように瞳は閉じること忘れていた。

その声に反応するように彼は後ろを振り向き、にこりと微笑み一言だけ言葉を交わす。



「ボク天才!」



指を広げVのマークを作る青年。

その手が何なのか、そして何故その言葉をチョイスしたのか誰にもわからない。

開いた口が塞がらない班員を見て青年はクスリと笑った。



「………ミズキくん、一応聞くけど、あのミノタウロスは……どうしたの?」


ビビアナは教会にいた巨牛ミノタウロスについて青年に聞き出す。

ビビアナたちがあの場から離れて30分ほどしか経っていないはずだが、彼がここにいるということは何らかの足止めに成功し、教会から逃げてきたという予想が濃厚だ。



「まさか……な」

「うん♪殺したよ♪」

「!!!」



ーーーーー殺した。


ーーーーーあのミノタウロスをたった一人で?



トニー達が苦戦して倒せなかった怪物をこの男、アケチ・ミズキはやり遂げたのだ。

とても信じられないが、現に彼はここにいる。その言葉に嘘など存在しない。



「あ、ミノタウロスちゃんが起き上がったねぇ♪」



青年に放り投げられた怪物は、怒りで我を忘れているように暴れ出す。

地面に落ちている岩を手当たり次第に投げつけ、怒りに身を任せ地団駄を踏む。



「ブルォォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!」

「うっ!!」


ミノタウロスの咆哮は風圧を生み出し、その場の全員がよろめく。

だが一人、平然と立っている青年は軽く挑発するように手招きをする。


「早くきなよ~~~遊んであげる♪」

「ーーーーーーーーーーーー!」



"知能種"がどれほどの知能を持っているのかは計り知れないが、少なくとも青年の挑戦的な態度を理解する程度の知能は有するらしい。人間の言語を理解し、相手の動きを読み、人間の剣術、体術を真似する、凄まじい学習能力。"獣"には不相応な能力に、青年は可笑しくて嘲笑う。



「ブルォォォォォォォォォォッッ!!」

「まったく……いくら頑張っても所詮は"牛"。最後は牛丼にされて紅しょうがたっぷりでおつかれさん」


怪物は青年目掛けて走ってくる、腕を振り上げ、足を高く上げるその姿勢は人間の走り方に似ていた。

おそらくそれが一番、速く走れる走り方だと理解しているのだろう。


「ミズキッッ!!」

「アケチッッ!!」


仲間たちは青年の名を叫んだ。

ミノタウロスの大剣は青年に斬りかかる、


「ミズキ避けてっっ!!!!!」


「………」


「大丈夫♪」


「え」






青年はミノタウロスの大剣を小刀2本で受け止める


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「ブルォォォォオオォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」


ミノタウロスは何撃も青年に浴びせる


「ブルォォォォオオォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」


5回7回10回………剣の嵐が明智水樹を襲う


「♪」


だが青年は笑顔でその剣を受け流す


「あははは♪」


「こんなもんなの?」


青年は怪物に挑発をかける


「ブルォォォォオオォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」


剣の猛打はまだ続く


「す…すごい…!!!」


ビビアナは青年の剣裁きに見とれていた

マルコ、アリス、トニーも驚きを隠せなかった



猛牛の大剣と一人の青年の小刀が互いに火花を散らし、

血の粒が辺り一面へと飛び散る。



村中に響く武器の衝撃音、金属が衝突し合う音。

怪物は凄まじい速さで剣を振る。

気付けば、皆が青年と怪物の闘いに

言葉も発さず、無我夢中で見つめていた。



青年は汗一つ流さず、只々

向かってくる剣を受け流す。


「ブルォォォォオオォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」

「おぉ!!凄い!!!!」


「力もデカさも、さっきのミノタウロスより下だけど……」



「剣術はそこらへんの騎士より上だね♪」




「じゃ」





「こっちも攻撃ターイム♪」




明智水樹は小刀を大剣に向け





思いっきり衝突させる









キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン



金属音が村中に響いた


「ッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」


「凄い音…!!!!!!!!!!!!」


デカイ金属音にアリス達は耐えられなくなり

耳を塞ぐ。


「!!!!!!!!!!!!」


「あれ……?」


「ミノタウロスが………」



ミノタウロスが動きを止めていた




いや




動けないのだ





『殺人技術』(アケチスキル)…」



『空蝉』(うつせみ)


「!!!!!!!!!!!!」







『空蝉』(うつせみ)は剣と剣を衝突させ」


「相手の筋肉に衝撃波を流す高等技術。」


「衝撃波を流されたら、人間の筋肉は縮まり硬直する。」


「ま 僕もまだ動物相手だと一分ぐらいしか出来ないけどね♪」


青年は魔獣を動物と判断しているらしい…

ミノタウロスは筋肉を硬直させ、身動き一つ出来ない


青年は怪物へと歩み寄った


ゆっくりと


まるで友人に話しかけるように……


「………」


「キミを殺すのは少々惜しいね♪」


「どう?」


「この場から逃げる気は無い?」


青年はミノタウロスに聞いてみた


この質問はおそらく…



"生きる"か"死ぬ"かの選択である



「僕は仲間達のところに行くから」


『空蝉』(うつせみ)が解けたあと好きにしなよ♪」


「今、僕に向かってくるのもよし。」


「この村から逃げて、もっと強くなって、僕に勝負を挑みにくるもよし。」




「キミの自由だよ♪」


青年は手を伸ばし、怪物の頬を優しく撫でる


「……………」


怪物は青年を無言で見つめる


「じゃね♪」


青年は仲間達の元へと走っていった











そしてミノタウロスはこの村から出ていった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーー


ーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーーー


ーー



「来んのがおせーーんだよ!!!!!!」


そう言ってマルコは青年をドカドカと足で蹴る


「イタイイタイ♪」

マルコも怪我をアリスの『完全再生』(リカバリー)で治して貰い、

すっかり元気になったようだ。


「アリス…大丈夫 ?」


汗を流し息が荒いアリスを見て

ビビアナが心配の声を掛ける。


「だいじょーぶ!!!!」


「こんなの屁のカッパだよ!!!」


女の子が使うべき言葉では無いと思うが……


アデリーナは傷は浅かったらしく、回復魔法を続ければ

命に別状は無いらしい。


「そ…そんなことより!!ミズキこそ大丈夫!!?」



「ん?」


「何が?」


青年は"大丈夫!!?"の意味がよく分からなく、

首を横に傾げていた。


「何がって………あのミノタウロスを三体も一人で倒すなんて…」

「きっと凄く酷い傷が……」


「ほい」


青年は一瞬で上半身を露にした


「!!!!!!!」

「え!!!!!!!!!!!!」


ビビアナは顔を真っ赤にさせた。


細く華奢な肉体



誰もが認める美しい体だ。


「ミズキくんっっ!!!!!!!!!!!!」


「急に何をっっ!!!!!!!!!!!!」


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


ビビアナは顔を赤くしながらも、青年の肉体に釘付けだった。



彼の身体が綺麗だったからだ


キズ(..)一つ無い綺麗な身体だ……


あれだけの強敵と戦って

キズ一つ付かないなど…信じられない。


「キズ一つ無いなんて……」

「ミズキ本当に怪我してないの!!?」


ビビアナとアリスは驚いた


「じゃ、触ってみる?」


青年は触ってもよいと両手を広げる。


「……………」


お言葉に甘えて触ってみることにした

ビビアナとアリス。







「凄い…本当に傷一つ無い…!!!!」

ビビアナは背中を撫でるように触りまくる


「すごーい!!お肌スベスベー!!!」

アリスは怪我の確認のハズが

青年の胸元に頬擦りし、抱きつき、

違うことを確かめ始める始末……



「……………………」


青年達のイチャつきを見せられる

トニーとマルコ。


「裸の男の身体を触りまくる美女と美少女……

なんか犯罪の匂いがするな。」


マルコが羨ましそーな目で青年達を凝視する





「ま…まぁ……アケチには助けてもらったし…いいじゃないか。」



「ケッ……」






マルコは不満そうに地べたに座る












「なぁ……これからどーするよ……」








「村人は全員死んで……いるはずの幹部達はどこに行ったかわかんねーし…」






「オークが森にいなかったのも……たぶんミノタウロスのせいだろーな。」



「怪物3体もいりゃ他の魔獣も寄り付かねーよな」





         そう





  森には一匹も魔獣が居なかった………




異常な光景だと思っていたが、全てあの怪物が原因だったのだ




「………一旦、レグリス王国に戻ろう…」





「あの異例型(・・・)ミノタウロスを……国に報告せねば……」



































「それは良い心がけですねぇ…」


「ッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 突如、後ろから聞こえてきた奇怪な声



 トニーとマルコは後ろを振り向くと………


 「貴方……イイカラダしてますねぇぇぇぇぇ♡」



  「ワタシの実験動物(トモダチ)に」

     


 

   「なりませんかぁぁぁぁ?」



 

     奇怪な顔の男は








   異形な形の手で















  



 


 二人の心臓を貫いていた。


     


やめないで書いてみます!!!!!

30日、午後7時に最新話掲載しまーす!!!!

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