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私のパパはバハムート  作者: 宇田川ミツキ
浮遊する只の意思編
8/26

解決されない殺人事件

少年は母親がいないときが一番心地よかった。顔色を伺うこともない、部屋の隅で小さくにさなることもない、殴られることもない。



彼の名は



人首 勇気(ヒトカベ ユウキ)



この世界の復讐者だ。




ーーーー




少年の死は突然だった。



「おい!息してねーぞ?!やばいぞ!」




「あんたが首なんてしめるから、どうすんのよ!?」




母親とその女のヒモが考えたのは少年の死よりも保身だった。少年をバラバラにしてどこかに捨てよう。彼女らの安易な行動はどこまでいっても安易だった。




少年は死の間際に。また同じ夢をみた。

色鮮やかな豪邸に、美しい妻。笑顔が絶えない子供達に囲まれる夢。


そして、自らがそれを壊す夢。




ーーーー




「あんたやってよ」




浴槽に力なく横たわる少年の冷たくなった体にギザギザにとがった刃物で男が一の字を引く。



何回も何回も何回も何回も。




母親は耐えきれず吐瀉物をブチまけた。




むせかえる臭いと、なかなか思うように切れない硬くなった遺体。女のヒモは必死に刃物を引いた。が、途中。少年の指が切れなかった。何度やっても切り落とせない。

女のヒモは手を刃物から離し、浴槽に腰掛けタバコをくわえた。






ガシッ




「うわぁっ!!」




男は素っ頓狂な悲鳴をあげ尻もちをつき浴槽の内側に転げ落ちた。



「なに?!どうしたの?」




「こ、こ、、こいつ、、、俺の手を掴んだんだ…!!!」




「そ、、、そんな訳ないでしょ?!死んでるのよ?バカ言ってないで、、、




ああ、、あ、、、あ」





母親も女のヒモも目を疑った。血液は凍りつき、息を正常に出来ないほど。




誰だってそうなるだろう。切り離された手だけが動いているのだから。





ーーーー




一週間後、遺体が三体発見された。もの凄い腐敗臭と共に母親、住所不定の男性、そして母親の実の息子のものと判明した。



なぜ三人は殺されたのか?少年はバラバラにされていたのか?疑問だらけの殺人現場で一番のなぞがあった。



バラバラにされた少年の遺体の左手首より先が発見されなかったことだ。



犯行は誰が行ったのか?

なぜ少年のみバラバラにされたのか?誰がなんの為に少年の左手首を持ち出したのか?



多くの疑問を残し、事件は解明されることはなく人々の記憶から消え去った。





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