最弱で最強の龍
ー龍王城 応接間ー
爺や「若、お嬢様。この魔法陣で部屋に戻れます」
バハムーコ「爺や、ありがとう」
爺や「お嬢様、お身体にお気をつけ下さい。若もお嬢様をよろしくお願いいたします」
守「若ってやめてよ、なんかヤ○ザっぽくてヤダよ」
バハムーコ「じゃあね、爺や!」ぎゅ
爺や「ほほほほっ
お嬢様。では、また」
シュン
守「あれ??…バハムーコ…は?
じゃなくて、俺がワープに失敗したのか?」
爺や「お嬢様には先に若のお部屋に戻っていただきました」
守「…なにか…俺に用ですか…?」
爺や「…ええ、少しお話をと思いまして。
しかし…私がここでお話させていただくことは、若の胸にとどめて戴きたいのです。龍王様にも。お嬢様にも。」
守「…えらく真剣だね。ニコニコはしているけど目が笑ってないよ」
爺や「男でしたら、そういったこともございましょう」
守「…聞かなきゃ帰れそうにないな…わかりました。…バハムーコが冷蔵庫を空にする前に帰してくれるなら。話してください」
爺や「…感謝いたします。
お嬢様の魔力についてです。
お嬢様は普段は人間の女性となんら変わりません。使える魔法も人間に害が及ばない程度のものです。
呪文を唱えれば使えるのが魔法。
それとは別に我々魔族には個々に使える能力があるのです。それは十人十色様々です。
これは魔族全般に当てはまることです。魔族の血を引くものはそれぞれに魔力を持って生まれます」
守「個別な能力ってこと??」
爺や「そうです。
例えば私なら読心術が使えます。相手の感情や考えが私には手にとるように分かります。
戦闘に特化したものや、生活に便利なものまで。それは本当に様々です。
また生まれてすぐに力を使える者もいれば、死ぬまで正確に使えない者もいる。力の大小によってもまた異なります…
本題のお嬢様の魔力ですが。
お嬢様の魔力は…
まだ…お嬢様はまだご自分の魔力をご理解なされてないのです。お嬢様の力を使うにはまだ幼すぎて力を使いこなせないからです。
…お嬢様は最強の龍、龍王様の娘。お嬢様にもそれは強力な力がございます。全ての魔族でも最も強い力と言っても過言ではないでしょう」
守「…あの腹ペコ娘に、そんな力があんのか…どんな力なんです?炎とか、時を止めるとか?」
爺や「少々説明が難しいのですが…お嬢様の魔力は異端異例。魔力の発動は条件がございます」
守「どんな条件なんです?」
爺や「愛する者の「愛」を感じた時です」
守「…愛ですか…?」
爺や「ラブ☆フレア。我々はお嬢様の力をそう呼んでおります」
守「…☆いるの?真面目なの?ふざけてるよね?」
爺や「至って真面目でございます。初代龍王が名付け、使いこなしたとされる伝説の力。それは世界を三度壊せてしまうほどの力だと言い伝えられております。
お嬢様は愛する者の愛を感じた時、世界を滅ぼせる力を発揮出来てしまうのです」
守「…あー…そのぅ…バハムーコが愛を感じる時って」
爺や「御想像通りです。若からのみです。
お嬢様はいつも元気に振舞っておられ、能天気な印象を受けると思いますが、ナイーブで些細な事で傷ついてしまう年頃の普通の乙女です。
お嬢様は若のことを心からお慕いしています。
若から愛されたいと心から望んでおられます。
愛を感じる瞬間…それは行動、仕草、言葉。様々です。
ですから、今の状況は大変危険なのです。
若から得られる愛で、お嬢様がエクスタシーを感じてしまおうものなら…
…力をコントロール出来ない今のお嬢様では世界は滅亡するかもしれません」
守「…マジ…?」
爺や「マジです」
守「…ヤバくない?俺たち一緒に暮らしてんだぜ?かなりマズイよね?なんかのはずみでキスなんかした日にゃ」
爺や「日本は吹き飛ぶでしょうね」
守「おうふ」
爺や「ですので、お嬢様が魔力のコントロールを覚えるまで、お嬢様には手を出さないでいただきたいのです。健全な青年には大変辛いとは思いますが、何卒ご理解を」
守「……」
爺や「ちなみに、私の調査ではお嬢様は鎖骨フェチです。くれぐれもお嬢様の前で裸にならないよう、お願いします」