はじめての休日
欠伸が出る。
今日がたまたま休みだっただけだ。土曜日出勤じゃなくてよかったな、と胸を撫で下ろすの早いってもんよ。
昨晩はなっかかなか寝ない自称龍の娘の話に付き合わされた。
まだにわかに信じ難いが、両親の話、爺やとかいう召使いの話、妹の話。話題は多いが表面的に話すので、何の話しをしているのか半分くらい分からない。が、嬉しそうに話す彼女を放っては寝れなかった。俺もお人よしだ。
なかなか起きない俺にとびきりの寝起きドロップキックをかまし、休日の寝だめを妨害、どこかに行きたい攻撃。ついに俺は負け、今駅北の公園に来ている。こうやってはしゃぐ姿は普通の女の子だ。お腹が空いてイライラすると火を吹く以外は。
「美味しいですね、コレ!」
俺は甘いものは食べない。いや、正確には生クリームを食べると昔から頭痛がするから普段は食べない。彼女は特にミスドがお気りみたいだ。四六時中何かを食べてる気がする。
「はい、一口あげますよ!」
この笑顔に言われるとついつい一口食べてしまう。決して関節キスが目的ではない。
たった一人の女の子のおかげで俺の生活がガラリと変化する。まだ彼女と出会ってから一日も経過してないのに。俺は彼女のペースの中にいる。
が、ずっと一人ぼっちで過ごしてきた俺には間接キスなんてかなりの変化であることは間違いない。
そうだ、多分俺はこの状況が嫌いじゃない。多分。
「お腹ポッコリだな」
「龍族はみんな食べるの大好きですからね!」
一回での出費は1000円程度だが、こう腹減ったと言われると食費が大変なことになる。明日からはモヤシを大量に買って食わせることにしよう。
守「お前、本当にずっと一緒にいるの?」
バハムーコ「はい、結婚とはそういうものと聞いています」
守「いや、俺仕事とかあんだけど…」
バハムーコ「お仕事もお供しますから、安心してください」
守「いや無理でしょ」
バハムーコ「見くびらないで下さいね!私の大魔法をご覧にいれましょう」
守「はあ」
バハムーコ「ミニマム!」
ボン
バハムーコ「どーですか?」
守「うん、小さいね」
バハムーコ「このサイズなら、ポケットに入りますから。安心ですね!みなみに一時間で元に戻ります」
守「ダメじゃん」
バハムーコ「いえ、わたしのMPなら一日に10回はイケるんで大丈夫かと」
守「本当に四六時中一緒にいる気だね……」