七色 双子の六魔将
ロッジへと帰って来た六人に何があったか話す白。
「そうだったのか…蒼司のやつ無茶しやがって」
「まあまあ、紅蓮の気持ちも分かるけど白ちゃんも蒼司も無事だったんだし」
「藍麻の言う通りだ。しばらく蒼司は休養をとらせる。
お前たちは引き続き修行だ!」
「みっちり鍛えてやるからね!」
六人は一気に落ち込み自室へと戻っていく。
「ミネルバ、蒼司の怪我はどうなんだ?」
「心配ないよ、腕のいい子を呼んでおいたからね。
蒼司には明日まで応急処置で耐えてもらうよ」
「そうか。
こっちは任せていいか?」
「構わないけど、あんたはどうすんだい?」
「あいつの力が必要になりそうだからな。
白、あいつらの世話を頼んだよ」
「はい!社長がいない間頑張ってお世話します!」
「白がいれば安心だ。
それじゃあ行ってくる!」
「お気を付けて!」
彩呀はコートを羽織りロッジを出ていった。
「白、私達は飯の用意をするよ!」
「任せてください!」
一方、テルガルドは洞窟の中へと入っていく。
「完全再生には時間が掛かるか」
破片から鎧の姿に戻っていくテルガルド。
「貴様も負けたのか?」
「!?」
テルガルドが振り向くと、大剣を背負った銀髪の男が立っており、男の右手で兜を掴まれる。
「ゼ、ゼーレ様!?」
「答えろ。負けたのか?」
「も、申し訳ございません!
戦いの中で成長するとは思わず油断いたしました」
「成長とは戦いで得れる物。
油断?違う、貴様の弱さが敗因だ!」
兜に触れたゼーレの指先から黒い小さな光りがいくつも散り始めた。
「お、お許しください!
次こそは、次こそは必ず勝利を!」
「いいだろう…再び負けた時は貴様の魂を消してやる」
テルガルドを壁に投げつけ洞窟の奥へと進んでいくゼーレ。
「どいつもこいつも…やはり俺が出るか」
「お待ちください」
「お待ちください」
仮面をした二人組がゼーレに近付く。
「ロドルとロドラか。
なぜ俺が出てはいけない?」
「ゼーレ様のお手を煩わせる訳にはいきませぬ」
「いきませぬ」
「それはお前達六魔将が不甲斐ないからだぞ!」
ゼーレの全身から黒い光りが溢れ、洞窟が揺れ始める。
「ギベーリ様の為でございます」
「ございます」
「父の為だと?」
「ゼーレ様の強大なお力を振るえば贄達が全て消滅し、ギベーリ様の復活を遅らせてしまいます」
「しまいます」
洞窟の揺れは収まりゼーレの全身から黒い光りが消えていく。
「まあいい、お前達に任せるとしよう。
敵を倒し必ずあの女を連れ帰れ」
「ははっ!」
「ははっ!」
ゼーレとロドル、ロドラは闇に消えていく。
「じゃあ俺達は仕事に行ってくるぜ!」
「みんなをおねがい」
「わかりました!
黄理さん、紫劉さん気を付けていってくださいね」
黄理と紫劉はロッジを離れていき、山の中に二人を見つめるロドルとロドラの姿があった。
「まずはあいつらから始末する」
「する」
しばらくしてとある遊園地に到着する黄理と紫劉。
「行くか!」
「…」
「どうした?」
「何でもない…行こう」
二人にロドラとロドルの魔の手が徐々に迫っていた。