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COLORS  作者: 夢物語
6/43

六色 全てを凍てつくす青

「はああっ!」



「フッ、六魔将最強の防御力を誇る我にそんなものは通じぬ!」



蒼司あおしは氷の剣で斬りかかったが剣は軽々と払い除けられた。



「最強の防御力か…名は」



「我が名はテルガルド」



「テルガルド、その鎧砕いてやろう」



氷の剣を突き出しながらテルガルドへと走り出す蒼司あおし



「一点に集中して我が鎧を貫く気か…愚かよ」



剣先は鎧に直撃するが、テルガルドは平然としている。



「その過信がお前の敗因だ」



「なんだと?」



鎧が徐々に凍り始め、ものの数秒でテルガルドは氷に覆われた。



「楽にしてやる」



蒼司あおしに切り刻まれバラバラに砕け散るテルガルド。



蒼司あおしさん凄いです!」



「相手が弱すぎるだけだ」



蒼司あおしまだだよ」



ミネルバの言葉で蒼司あおしが振り返るとバラバラになったテルガルドが空に浮いていた。



「本当になめられたものだ」



バラバラになったテルガルドは回転し元の姿へと戻っていく。



「確かに砕いたはず…」



「それは貴様の勘違いだ」



テルガルドが兜を外すと鎧の中は空だった。



「中身がない!?何処からか操っているのか?」



「違う、我はこの鎧その物なのだ!」



「なら砕かれた時に」



「貴様が砕いたのではない。

我が自らバラバラになったのだ」



「自らだと?一体何のために?」



「それは…」



テルガルドが指を上に振ると蒼司あおしの足元から鋭い鉄片が無数に舞い上がり、蒼司あおしは咄嗟に氷で防ぐ。



「致命傷は逃れたか。

しかし、完全には防げなかった様だな」



氷はほとんど砕け体に無数の傷を負った蒼司あおしは地面に膝を突く。



「くっ」



「防御だけと思ったか?」



「なら…お前が六魔将最強か」



「貴様は愚か者の典型だな。

戦いはそんな単純なものではない!

いや、弱者には関係のない事か…」



テルガルドは手に槍を作り出し深く腰を落とすと凄まじいスピードで蒼司あおしに襲いかかる。



「俺は弱者じゃない!」



蒼司あおしは目の前に分厚い氷の壁を作り剣を構えた。



「(氷を貫いた隙に斬る!)」



「憐れよ…」



テルガルドの槍は一瞬で氷の壁を貫き、蒼司あおしの動きよりも先に蒼司あおしの肩を貫く。



「がはっ!」



蒼司あおしは凄まじい勢いで後方へと吹き飛ばされる。



「我の足を止めればいいものを軟弱な氷の壁に頼るとは…貴様それでも戦士か?」



「ぐっ…がはっ!(右手が動かない…止血しなければ)」



左手で肩の穴に触れ氷で傷口を覆いながら立ち上がる蒼司あおし



「ダフムとシュメルを退けた相手ならば楽しめると思ったがとんだ拍子抜けだ。

それとも貴様が弱いのか?」



「黙れ!俺の強さを見せてやる!」



蒼司あおしさん…」



「(あんたは熱くなっちゃいけない。

さもないと本当に死んじまうよ)」



蒼司あおしの足元が凍り周囲の地面も凍らせていく。



「我が体に宿りし青の力よ!邪悪なる者を凍てつくせ!」



テルガルドの両脇に氷柱が現れると二本の間に氷の壁が一瞬にして作られ、テルガルドを壁に閉じ込める。



「まだだ」



更にテルガルドの周囲に氷柱が何本も地面から延び、氷の壁が間を通りテルガルドを氷漬けにした。



「一枚の氷が薄くても何重にすれば鉄をも超える強度の氷になる。

そして」



蒼司あおしが両手を地面に突くと分厚い氷の周囲に冷気が集まり、氷が真っ白になるほど気温を下げる。



「この氷は溶けることはない」



その時、長い剣が延び素早く回転して氷を砕き近くにいた蒼司あおしも腹を斬られ吹き飛ぶ。



「がはっ…(バカな!?)」



「無意味な事を…生物相手なら効果はあっただろうが我は鉄そのもの。

貴様の敗因はその未熟さよ」



「(くそっ…勝てないのか?俺は一人じゃ役に立たないのか…)」



膝を突いたまま上体を起こし左手で傷口を押さえながら空を仰ぐ蒼司あおし



「(いつも前には紅蓮ぐれんがいて…俺は遠くからそれを見てきた。

敵わないと思いどこかで紅蓮ぐれんに頼り、自分は安全な場所にいるだけ。

そんな卑怯で冷徹な自分にだからこその力だと思ってた。

でも違った…すぐ熱くなる紅蓮ぐれんを支えていきたいと願ったからこの力なんだ。

俺は…)」



テルガルドの剣が蒼司あおしに突き刺さる。



蒼司あおしさん!」



蒼司あおし!」



「生物とは厄介だな。

鼓動が止まれば終わりを迎える。

さて次は…なんだ?」



テルガルドが剣を引き抜こうとするも蒼司あおしの体から全く離れない。



「どうなっている?

剣先が凍って…」



その時、蒼司あおしの手がゆっくりと剣を掴み砕く。



「我が剣が!?」



テルガルドは蒼司あおしから距離を置き再び剣を手にする。



「我が心を覆いし氷よ…時を凍らせ全てを砕け!」



蒼司あおしの姿が冷気で隠れ見えなくなった瞬間、テルガルドの左腕が粉々に砕け散った。



「無駄な事を…バカな!?何故再生しない!」



左腕が元に戻ろうとするが再び粉々になる。



「もう元に戻る事はない」



「破片を一つずつ凍らせたか…だが」



腕の破片が熱を帯て赤く輝く。



「こんな凍りなど!

…溶けない!?」



「永久氷結」



「永久氷結だと?」



「氷の薄さで簡単に破壊できると思ったか?

その氷は草木のように根を下ろし永久に溶けることなく凍らせ続ける」



「なるほど…」



テルガルドは周囲の山を見渡し一つの山に剣を向けた。



「質は悪いがまあいい。

こい!」



すると山から砂煙が立ち昇ると石の塊がテルガルドへ集まり始める。



「まずまずの量か」



石を吸収しさっきよりも倍程の巨体に変わるテルガルド。



「巨体になった所で何が変わる?」



「こういう事が出来る!」



テルガルドが強く地面に足を下ろすと地面から無数の針が現れ蒼司あおしを襲う。



「くっ!だが、このまま凍らせれば!」



「甘い!」



一本の針から腕が現れ蒼司あおしを殴り飛ばし、更に飛ばされた場所からまた腕が現れまた殴り飛ばす。



「貴様に凍らせる隙を与えねばいいだけだ。

死ねっ!」



一本の長い針が蒼司あおしの体を貫く。



「実力の差だ」



その時、貫かれた蒼司あおしの体が粉々に砕け散る。



「なに!?」



「お前の言う通り実力の差だ」



背後に現れた蒼司あおしが地面を殴ると足元から氷の刃が延び体を真っ二つに引き裂かれるテルガルド。



「ばか…な…」



「俺の氷はお前の防御を遥かに超える」



「我が…負ける…だと」



「もう終わりだ」



切り裂いた氷の刃がテルガルドを包み込むように凍らせていく。



「終わっ…た…」



蒼司あおしは力尽きその場に倒れ込む。



蒼司あおしさん!」



蒼司あおし!」



はくとミネルバは蒼司あおしに駆け寄る。



「しっかりしてください!」



「大した…怪我じゃ…ない…」



「何強がってんだい!早く治療しないと…」



その時、鉄片が蒼司あおしに襲い掛かりミネルバが弾き飛ばす。



「なかなかやるな」



「まだ生きてたのかい」



「今回は私の負けだが次は全力で相手をしよう」



鉄片だけになったテルガルドは空の彼方へ消えていった。



「(あれが全力じゃなかったってのかい…)とにかく蒼司あおしを治療するからはくも手伝ってもらうよ!」



「はい!」



ミネルバは蒼司あおしを抱き上げロッジへと戻る。



蒼司あおしさん頑張って!」



戦いを終えた蒼司あおしの表情はどこか笑みを浮かべているようだった。

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