二色 熱き心の炎
6人はレッスンルームで、ダンスの練習をしていた。
「よし、休憩!」
「ダンスもいいけど、戦闘訓練しないのか?」
「確かに黄理の言うようにしたいのは山々だが、ライブも近いし、これ以上スケジュールを詰めると体が持たないからな」
「紅蓮の言う通りだ。戦いだけが俺達の使命ではないからな」
「珍しく蒼司が紅蓮に賛同してるね。
雪でも降るかな?」
「雪が降るの!やったー!」
「翠、降るわけがないだろう。藍麻も余計な事を言うな」
その時、紫劉が入り口に人の気配を感じ、ドアを開けると、エプロン姿の白が立っていた。
「白ちゃんどうしたの?」
「お昼が出来たから、呼びに来たの」
「わーい!」
6人はレッスンルームを出て、食堂に向かう。
食堂には、大量の料理が並んでいた。
「白が全部作ったのか?」
「はい、お口に合えばいいんですが」
「ありがとう!助かるよ!」
「紅蓮、そんな所で喋ってないで早く食べないと!」
翠の言葉で、紅蓮がテーブルを見ると、5人は席に着き、黄理はすでに食べている。
「料理がなくなってしまう!」
急いで紅蓮も席に着き、食べ始めた。
それからしばらくして、食事も終わり、紅蓮と白を残して、5人はそれぞれの部屋へと戻っていく。
「白がこんなに料理上手だったとは驚いたよ」
「私も驚きました。
食材を見たら、頭に料理が浮かんできて、どう調理すればいいか体が覚えてるんです」
「もしかしたら、白は料理人だったのかもしれないな」
「皆さんのお役に立ててよかったです。
皆さんがいなかったらと思うと…」
紅蓮は、白の頭を撫でて笑顔を見せる。
「俺達は正義の味方だ。何回でも助けてやるからな!」
「はい!
でも、またあの人が来るんじゃないか不安で…」
「六魔将のダフムか…
強敵だが、俺達が力を合わせれば大丈夫だ!」
「はい!皆さんはすごく仲良しなんですね」
「仲良しとはちょっと違うかな。
家族みたいなもんかな」
「じゃあ社長がお父さんですね」
「そうなるかな。
俺達はみんな社長に引き取られた孤児だけどな。
俺は7歳の時に、その次に1つ下の蒼司、3つ下の藍麻が連れてこられた。
蒼司はガキの頃から大人びてて、藍麻も女の人を見るとすぐ声を掛けに行って、蒼司とは別の意味で大人びてたよ」
「あまり変わらないんですね」
「うん。でも、黄理と紫劉は、今とは全然違ったんだ。
俺が10歳の時に引き取られて、まだ5歳なのもあったけど黄理はすごく泣き虫で、そんな黄理を守るように紫劉はいつも側にいたなぁ。
同い年とは思えない二人だった」
「黄理さんが泣き虫なんて信じられない!」
「色々あったからな。
一番手を焼いたのは翠だな。
14歳の頃から、赤ん坊だった翠の面倒を見させられ、やんちゃで手がつけられなかったんだ」
「翠くんらしいですね。
紅蓮さんはどんな子供だったんですか?」
「俺?俺は…
ずっとヒーローになるんだと思ってた」
「ヒーロー?」
「自分は他の人とは違うんだって思ってたんだ。
親がいないのも、ヒーローになるからと思い込んでた。
今思えば、誰かに認められたかったのかも知れないな。
恥ずかしいやつだろ?」
「そんな事ないです!
誰だって人は誰かに認められたいって思ってると思います。
それに、今はヒーローじゃないですか」
「そうかな?ありがとう。
白の笑顔を見ると力が沸いてくるよ」
「そ、そんな…照れます」
白の顔は真っ赤になる。
「白が来てくれてよかった。
これからもよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ…うふふ」
「やけに楽しそうだな?」
入り口から二人を見つめる彩呀がいた。
「親父!じゃなかった、社長!
いつからいたんですか?」
「ついさっきだ。
それより、白にお使いを頼みたいんだが、一人では不安だから紅蓮も一緒に行ってくれ」
「任せろ!」
支度を終え、紅蓮と白は事務所を出て、バスに乗り込み、目的地の停留所で降りる。
「わー!お店がいっぱい!」
「市場だからな。はぐれるなよ」
紅蓮は白の手を握り、人混みを進む。
「ここだな。
白大丈夫か?」
「紅蓮さんのおかげで大丈夫です」
紅蓮の顔が少し赤くなり、二人が笑顔で見つめ合っていると、中年の男性が声をかける。
「紅蓮、お前の女か?」
「源さん!?
ち、違いますよ!新しく入った事務の白です!」
「は、初めまして、白と言います」
「わけぇのにしっかりした嬢ちゃんだ!
でも、気を付けな。
こいつらは女に飢えてやがるからな!がはははは!」
源は紅蓮の胸元を指で突き、大声で笑う。
「馬鹿なこと言ってないで仕事しろよ!それと親父から!」
紅蓮は、彩呀から預かった包みを渡す。
「こいつはいい!どうだ?一杯やってくか?」
「いや、帰るから。
あんまり飲みすぎないようにな」
「酒は俺の栄養剤だ!またいつでも来いよ!
白ちゃんもな」
「はい!」
源と別れ、二人は帰る途中、近くの自然公園で休むことにした。
「面白い人でしたね」
「源さんは昔から俺達の事を助けてくれてるんだ。
いい人だけど、たまにセクハラするから気を付けた方がいいぞ」
「き、気を付けます」
「喉乾いたな。
ちょっと飲み物買ってくるよ」
「私も行きます」
「白は休んでていいから。
炭酸系でいいか?」
「はい、ありがとうございます」
紅蓮は近くの自販機へ向かう。
「見つけたぞ」
後ろから声がし、白が振り返ると、そこにはダフムが立っていた。
「あなたは!?」
「さあ、私と来い。
お前を我が主に捧げ、この世界を我らの贄とする」
「い、いや…いや!」
「来い!」
その時、ダフムの伸ばした腕を掴み投げ飛ばす紅蓮。
「嫌がる女の子に迫るなんて最低だな」
「紅蓮さん!」
白は紅蓮に駆け寄り抱き付く。
「もう大丈夫。一人にして悪かったな」
「ううん」
「また貴様か。実力差は分かったと思ったんだがな」
「戦いに絶対はない!
白、安全な所まで下がっててくれ」
「はい!」
ダフムが手を掲げると、空から炎が降り注ぎ、地面に落ちると、炎から魔が現れる。
「殺れ!」
魔は一斉に紅蓮へ襲いかかり、炎の渦を作り応戦する紅蓮。
「無駄だ」
魔は炎を弾くように、渦を通り抜け、紅蓮に炎を吐き出す。
「こんな物…バカな!?」
魔の炎は、向かってくる炎を飲み込むように消し、紅蓮を吹き飛ばした。
「紅蓮さん!」
「来るな!ぐぅ…我が体に宿りし赤の力よ!邪悪なる者を焼き付くせ!」
紅蓮は両手を掲げ、炎の玉を作り投げる。
しかし、魔は受け止め、自分の炎に変えて撃ち出し、紅蓮に直撃して大爆発を起こす。
「紅蓮さん!」
「私の下僕にすら勝てないとは…後は」
「がはっ…まだ…だ…」
全身に火傷をおった紅蓮が立ち上がる。
「やめておけ。無駄に命を捨ててなんになる?
さあ、娘よ」
ダフムは白の方へ手を伸ばし、ゆっくりダフムへ歩み寄る白。
「ダメだ…(俺は…守るって決めた…この力で守るって)」
「(みんな…ごめんなさい)」
「俺は…ヒーローなんだー!」
叫びに答えるように、体から凄まじい炎が上がり、紅蓮の姿が見えなくなる。
「自爆したか…」
すると、炎が体に吸い込まれ紅蓮が現れた。
「傷が消えた…傷を癒した所で同じ事だ。
お前達、一斉に焼き払え!」
全ての魔が炎を集め、紅蓮へ撃ち出す。
「紅蓮さん逃げて!」
白の言葉に、紅蓮は笑みを浮かべ、手を前に突きだし、1つになった大きな炎の玉を受け止める。
「受け止めただと!?」
紅蓮が少し力を入れると、炎の玉は破裂するように消えた。
「俺は負けない!
我が心に燃えし赤き炎よ!敵を滅ぼす業火になれ!」
紅蓮の掌に、小さな炎が数個現れ、息を吹き掛けると、魔の方へと飛んでいく。
「そんな小さな炎喰ってしまえ!」
魔が炎を飲み込むと、動きが止まり、真っ赤になりながら弾ける。
「私の魔を上回る力だと!?」
紅蓮は残った魔に触れ、破裂させていく。
「触れるだけで…熱か!?
なら、その熱を上回る炎をくれてやる!」
ダフムは右手に炎を集め、紅蓮へぶつける。
しかし、その炎を手で受け止め、同じように手に炎を集める紅蓮。
「俺の心の炎は負けない!」
集めた炎をダフムの腹に当て、爆発と共にダフムを吹き飛ばす。
「ぐぐぐぐ…次は…必ず貴様を灰にしてやる!」
体が所々溶けているダフムは、そう言い残し去っていく。
「紅蓮さん!」
「白、約束してくれ。
俺達は負けない、だから自分を犠牲にするな!」
「はい!」
涙を流しながら、力強く返事をする白。
「それで…い…い…」
「紅蓮さん!紅蓮さん!」
眠るように、白に倒れる紅蓮。




