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雪の灯(ともし)  作者: 李孟鑑
第三章 政子
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「雪の灯」未完のお知らせとお詫び

 本作「雪の灯」ですが、このまま「未完」とさせていただきます。

 最後に投稿したのが、2015年の11月。10年も放置した挙句、結局完結させられないまま筆を置く、というのは心苦しいのですが、再開するのは無理だと判断致しました。せめてきちんとお詫びをしておきたいと思った次第です。


 執筆が止まった経緯を説明しますと、やはり生活の変化が一番大きかった気がします。

 2015年から母親の看護、そのあと父親の介護があり、肉体的、精神的に執筆の時間が取れなくなって行きました。

 両親を送ったあとは、とりあえず時間はできたのですが、長い時間、執筆作業から離れているうちに、気力と言うか、モチベーションのようなものが衰えてしまったこともあります。


 二つ目は、書くうちに、作品の構成に不満を感じ始めたことです。

 この「雪の灯」は、芥川龍之介の「薮の中」のような構成を考えていたのです。実朝暗殺事件について、公暁、実朝、政子、3人がそれぞれの立場、それぞれの視点で語ることで、事件の真相をぼんやりとした形で浮かび上がらせたいと考えていました。

 しかし、あの「薮の中」の構成は、やはり短編だからこそ、生きるんですよね。そこに、「実朝編」の途中まで来た時点で、気づきました。

 長編になるとくどくなるし、エピソードは重ならないように工夫しましたが、読者としては、同じ話を何度も読まされる感じになってしまうし、変則的な構成にする意義が、書き進めるうちにだんだと失われて来た感じでした。


 三つ目は、作品を扱い切れていない、と感じたためです。

 単純に、リサーチしたものを小説に昇華できていない、という不満もありましたし、小説世界を広げ過ぎたのでは、という違和感もありました。

 もともと私は、空間や時間を小さく切り取って、それを掘り下げるようにして書く方が合っていました。長い時間・広い空間・大勢の人物を扱う、大河小説は苦手だったのですが、拙作「鍍金の島」を書いたとき、ある程度、大河小説的な作品を書くことに成功したように感じました。そこで、もう少し空間や時間を広げて書いてみたいと考えて、挑戦したのが「雪の灯」だったのです。

 が、進めるうちに、小説世界と私の内面世界が、乖離して行く感覚が強まって行き、完成させたい思いと、書き続けることへの違和感・苦痛と、相反する思いを抱えることになってしまいした。


 こうした諸々の事情から、長年放置して来てしまったのですが、思い切って、見切りをつけます。

 まだ描きたいシーン、描きたい人物描写もありました。特に、北条政子のことを全く描いていないのが、心残りです。あと、「和田合戦」の章は、書くのにかなり苦労したので、捨ててしまうのはとても残念です。

 何よりも、ここまで付き合ってくださった読者の方に、申し訳ないです。そしてもしかしたら、連載再開を待ってくれた方もいたかもしれないと思うと、本当に心苦しいです。あらためてお詫び致します。


 ただ、この実朝事件のネタ自体は捨てずに、いずれリサイクルしたいとは考えています。

 全部解体し、更地にして、使える建材を選別して、もう少しコンパクトな作品に建て直したい。時間がかかっても、もう一度息を吹き込みたいです。

 再生できたら、また公暁や実朝とおつきあいしていただけたらと思います。

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