No.8 現実のボクと父
ぶっちゃけ東方二次作のがネタの進みと閲覧数の増加が激しくて泣いた。
ちょっとだけこっちも頑張ろうと思う。
いつもの帰り道、普段は誰かと一緒に帰っているけど、今日は偶々一人で帰る事になり、何時もよりゆっくり歩く町並みは、まるで違う町の様に見えた。
「ふんふふ~ん♪…~♪」
小さな女の子は楽しそうにハミングしながら、賑わう商店街を歩いていた。
「おや、朱鳥ちゃんじゃないの~」
ふと、声を掛けられた方を見ると、恰幅の良いおばさんが、ニコニコと笑顔で此方を手招きしていた。
「揚げ物屋のおばちゃん!こんにちは!あとちゃんはやめてよ…ボクもう、高校生なんだからね?」
「はっはっはっ!!もう高校生なんだねぇ…でも、見た目は変わんないねぇ?ちゃんと食べてるかい?」
「うぐぅ・・・人が気にしてるのに…おばちゃん酷いよ!」
「ははは!!ごめんねぇ。まあ、これでも食べて大きくおなり」
そう言うと、恰幅の良いおばさんは、透明なパックに入った、まだ熱々の唐揚げを紙袋に包むと、ボクの頭を撫でながら手渡してくれた。
「うわぁ。ありがと♪」
「朱鳥ちゃんは、本当に唐揚げが大好きだねぇ。美味しそうに食べるからおばちゃんも作り甲斐があるよ」
「おばちゃんの唐揚げは絶品だからね♪」
ニコニコ顔のおばさんは、ボクの傍に誰も居ない事に気が付いたのか、少し怪訝な表情を浮かべ質問してきた。
「今日はお姉さんも居ないみたいだけど、一人なのかい?」
「学校の用事あるらしくてね」
「まあぁ!…大丈夫かい?一人で帰れるかい?おばちゃんが送ってあげても…」
そう言いつつエプロンを取ろうとしたおばちゃんを、慌てて止めると苦笑を浮かべた。
「あわわぁ!!良いよ!おばちゃん!!ボクだって、ちゃんと一人で帰れるからさ!子供扱いはやめて!!…まったくぅ」
「だけどねぇ…最近は何かと物騒だよ?朱鳥ちゃんは可愛いから…女の子の一人歩きは…」
「うぅ…もう!おばちゃん!ボクは男だって何時も言ってるじゃないか!!」
「おや?そうだったねぇ。あはは、ごめんよ。まあ、本当に気をつけなよ?危ないときは叫ぶんだよ?」
全然わかってくれないおばさんに呆れつつも、笑顔で手を振り別れると、次から次にと声を掛けてくる商店街のおじさんとおばさん達に挨拶して、同じ様な会話を繰り返した。
商店街を抜け、住宅街に入って来ると、賑わいは静かになり、おばちゃんの物騒という言葉を思い出し息を呑むと、少し歩く速度を速めて家路へ向う。
ちょっと近道をしようと、公園を抜けようとした所で、柄の悪い4人の男達に捕まった。
「おやおや~?可愛子ちゃんはっけぇ~~ん♪どうしたの?こんなとこで一人ぃ?」
「おぃおぃ、まだ餓鬼んちょじゃないか…お前そんなのが趣味なのかぁ?」
「まあまあ、良いじゃん?俺ら、暇でさぁ~良かったらちょっと付き合ってよ~」
「おぉ、この制服って聖凰じゃん?もしかして高校生?てか何で男子服なん?男装趣味?」
「マジかよ?小学生かと思ったぜ?コスプレってやつじゃねぇの?俺は大歓迎だけどよ」
矢継ぎ早に喋る男達に、苦虫を噛み潰した表情を浮かべゆっくりと後ずさると、目敏く見て来た男の一人が逃がすまいと肩を掴んで来た。
「まぁ、待ちなってぇ、そんな怯えなくても、ちょっぴりしかイタズラしないからさ♪」
「そりゃ良いや!ははは」
ニヤニヤとした笑みでそんな事をのたまう男達を睨み、怒りを含ませ静かに口を開く
「ボクは男ですよ?悪いけど急いでるんで通してください」
「おー?男ですよぅだってよぉ!ははは」
「マジかよ?男装趣味でボクっ子かぁ。良いなぁ」
「もえもえ~、男の子でちゅかぁ~じゃあ、お兄さん達がしっかり調べてあげまちゅからねぇ」
より一層笑みを深めた男達は、周囲を囲み逃げ道を無くして来ると、どんどん範囲を狭めるように近寄ってきた。
「…っ!!」
「そう急ぐなよ~大人しくしてればすぐ終わるからさぁ~むしろ良過ぎて気に入っちゃうかもしれなよ?」
万事休すと、声を上げ様かと迷ってると、男達より頭一つ二つ大きな大男が音も無く立っているのが見えた。
「…ぁ」
「ふむ…うちの息子に何か様かね?」
ダンディな声に若干寒気を感じ見上げた大男は、大柄な体格をスーツで包み、短髪に刈り上げ後ろに撫でる様な髪型と、まるで歴戦の戦士を髣髴とさせる顔に、柄の悪い男達は怯み、腰を抜かす様に座り込む者も居た。
「ぉ…お父さん…」
そう、ボクが口にした瞬間、男達は表情を真っ青にさせ、ボクと父の顔を何度も見比べると、まるで、今、用時思い出したとばかりに逃げ出した。
「ひっ!いえ何もありません!!失礼しましたぁああああ!!」
「ちょ!!置いてかないでくれぇええ!!」
「ぎゃぁああああああ、たすけてぇ!!」
「お、俺!そう言えば大事な用があったんだ!!あばよ!!」
そう口々に叫び逃げていく男達に、若干哀れに思いつつも苦笑いを浮かべ手を振って見送った。
「むぅ、せっかちなお友達だな?朱鳥、今帰る途中なのか?」
「うん、お父さんはお仕事終わったの?」
この、大男こそ、ボクの父、夢郷誠司ボク達の大黒柱である。
家の外では、ヤの付く人も裸足で逃げ出すような毅然とした人に見えるが、家の中では子供に甘い、親バカな父なのだ。
「うむ、帰る途中で、朱鳥がお友達と話してるのが見えてな。挨拶でもしようかと思ったのだが…」
ぱっと見ではわかりずらいが、少し落胆したような表情を浮かべ、ボクはしょうがないなと手を握り
家へと、一緒に帰って行った。
もしかしたら、スランプ脱した後に再度書き直すかもしれません。