聖女祭─中盤 切りつけ
回復してから三日後。
屋敷は静かだった。
何も起きていない。
予定だけが進む。
私はそれに従う。
聖女祭。
中盤。
人が多い。
音が重なる。
視線はあるが、弱い。
観察されてる。
それだけ。
「……人、多いですね」
ミアの声。
「そうだね」
「迷子になりそうです」
「その時は見つけるよ」
少し間。
それからミアは少し頬を膨らませ。
「迷子になりません」
と拗ねていた。
私は何も言わない。
今日は静かだ。
違和感が少ない。
何も起きていない。
聖女と会う。
白い衣装。
柔らかい表情。
「久しぶりです」
「改めまして玲・ソラノ・ホープと申します」
短い会話。
問題はない。
ただ。
言葉が少しだけ引っかかる。
「人は、ちゃんと見ていますから」
理由は特定しない。
覚えておく。
帰路。
人が減る。
音が遠い。
「……終わりましたね」
「ええ」
何も起きていない。
そのはずだった。
「……たすけて」
小さい声。
方向を変える。
「こっち。」
こっちから聞こえた。
急いで聞こえた方へ行く。
路地へ。
人数、三。
子供、一。
状況、危険。
私は間に入る。
「……その子を離せ。」
「あぁ?」
「指図すんじゃねぇよ。」
ナイフ。
一人。
避ける。
対応。
――二人目。
視界外。
反応が遅れる。
当たる。
軽い衝撃。
髪が切れる。
視界が変わる。
血が落ちる。
問題はない。
動きが止まる。
理由を確認する。
周囲。
騒ぎで来た。
人。
視線。
ざわめき。
言葉を拾う。
「……目……」
「色が……違う」
「ば、化け物……」
「こ…んなの、聞いて…ない」
理解する。
隠れていた側が、露出してる。
ミアが前に出る。
視界が遮られる。
「見ないでください」
声が低い。
しかも少しだけ強い。
「見ちゃだめです」
周囲が下がる。
男達も退く。
撤退。
ミアが振り返る。
「大丈夫ですか」
「問題ない」
「あります」
強い。
「いっぱいあります」
私は何も言わない。
子供を見る。
怪我はない。
「よかった」
それで終わる。
ミアが手を掴む。
強い。
少し震えている。
「帰りますよ」
頷く。
歩く。
視線。
増えてる。
恐れ。
分類する。
意味はない。
その時。
ミアが、少しだけ小さな声で言う。
「……お姉様」
私は見る。
ミアは少し迷ってから。
「さっきの人たち……なんであんなに見てたんですか?」
純粋な疑問。
気づいていない。
私は答える。
「さぁね。」
事実だけ。
ミアは少しだけ考える。
「……変な人たちですね」
それで納得する。
深く考えない。
まだ。
知らないから。
私は前を見る。
隠していたものが露出した。
それだけの事実。
影響は、これから出る。




