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友(玲視点に戻る)
その後。
王が立ち上がる。
膝をついていた時間は、正確には七秒ほど。
長い。
会場の空気が止まっていた時間としては異常。
「本日、我が子を救ってくれた令嬢に対し」
声は揺れていない。
国王の声。
さきほどまで父親だった人の声とは違う。
「隣国として正式に感謝を表する」
周囲のざわめき。
視線の動き。
さっき笑っていた貴族の呼吸が浅い。
扇を持つ手が震えてる。
全部、覚えてる。
「加えて」
王は続ける。
「彼女とその家を“友”として扱う」
“友”。
外交用語としては重い。
今後、この場で嘲笑した者は。
記録される。
私は血のついたハンカチを畳む。
染みの形も、色の濃さも覚えている。
あとで洗えば落ちるか。
王太子が袖を引く。
「こんどは、あそんでくれる?」
声は年相応。
恐怖はもうない。
「怪我が治ったら」
答える。
嘘ではない。
今は少し痛い。
王妃が目を伏せる。
「改めて正式な礼を」
丁寧。
過剰ではない。
私は頷く。
周囲の貴族の表情を確認する。
数名は、すでに立場を計算している顔。
遅い。
でも、それが普通。
夜会は終わった。
でも、配置は変わった。
完全に。
文章の表現は一部 AI を補助として利用しています。アイデア・プロット・設定は全て私のオリジナルによるものです。




