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三回目のパーティー本番

音楽は、前回と同じ曲だった。


私はそれを覚えている。


二回目と同じテンポ。


同じ入り。


席も同じ距離。


真正面。


三歩。


婚約者がグラスを持つ。


親指の位置。


人差し指の角度。


――前回と同じだな。


喉がわずかに動く。


声が出る前の、あの間。


(まただ)


「本日は」


止まる。


一拍。


「……お招きありがとうございます」


滑らかに修正される。


周囲は気づかない。


私は覚えてる。


前回も同じ位置で詰まった。


同じ秒数。


同じ目。


って、自分で想うのは何だがまるで変人だな。


「少し、外へ」


婚約者が微笑む。


完璧な微笑。


だが、瞬きが少ない。


玲は頷く。


バルコニー

夜風が冷たい。


音楽が遠ざかる。


静か。


「聞いてほしい、すま、ない」


声が低い。

さっきと違う。


「私は」


止まる。


額に汗。


「言葉が」


苦しそうに喉を押さえる。


「選べない」


呼吸が荒い。


「三回目で」


視線が揺れる。


「あなたを」


そこで、一瞬目が歪む。


「――助けて」


確かに。


私は覚える。


音の高さ。


震え。


次の瞬間。


表情が戻る。


「夜風は冷えますね」


完全な微笑。


嘘のない氷みたいな張り付いた笑顔。


嘘のある言葉。


そこへ。


「お姉さま」


ミアが立っている。

腕を組んでいる。


「二人きりは禁止ですわ」


にこやか。


だが目が笑っていない。


婚約者は一礼して戻る。


私はは一瞬、動けなかった。


(あまりに唐突でだが前から

 少し違和感はあったが、だが。)


(助けて、と言った)


忘れない。


絶対に。


会場へ戻ると、


鴻(兄)の顔色が悪い。


青い。


「屋敷に帰って…医者に」


玲が言う。


「まだ平気だ」


平気ではない。


手が熱い。


額に汗。


「同じ事は起こさせない」


それだけ言って立っている。


だが数分後。


視界が揺れたのか、壁に手をつく。


執事がすぐ支える。


ミアが気づく。


「お兄様、屋敷へ」


強い声。


鴻は悔しそうに玲を見る。


「覚えていろ」


(…?)


それだけ言って退場する。


その直後だった。


ガシャン。


子供が貴族にぶつかり、ジュースがこぼれる。


「す、すみません」


小さな男の子。


異国の装い。


発音が少し拙い。


「すみません、で良かったですよね?」


首を傾げる。


純粋に確認している。


だが。

酔っているのか貴族が怒鳴る。


「馬鹿にして.ヒック.いるのかァ!」


足元がふらついている。


酒臭い。


男の子は慌てて繰り返す。


「ごめんなさい。大丈夫ですか?」


心配している。


本当に。


周囲は見ているだけで見物しているだけ。


誰も動かない。


(何で…)


「どうしてくれる!」


男がワインボトルを掴む。


遠くから別の子供が言う。


「おじさん、そんなに怒ったらしわだらけになるよ」


場が凍る。

男の顔が赤くなる。


「貴様ら!」


ボトルを振り上げる。


投げる。


その瞬間。


さっきまで謝っていた異国の子が飛び出す。


「やめてください!」


守ろうとする。


男はさらに怒る。


狙いをその子に変える。


振りかぶる。


私は気がつくと走っていた。


考えるより先に体が動いた。


男の子の前に立つ。


腕を広げる。


衝撃。


ガッシャーン。


パリーン。


赤が、弾ける。


冷たい液体が頭から流れる。


会場が静まる。


ワインの雫が床に落ちる。


ぽたり。


また一つぽたり。



(ミア)

兄を馬車に送り届けたミアがその光景を見る、視線が、ゆっくりと上がる。


その目から、可愛さが消える。


一歩、前へ。


口が開く。


次の瞬間――

文章の表現は一部 AI を補助として利用しています。

アイデア・プロット・設定は全て私のオリジナルによるものです。

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