第6話 楽しい昼食会。
「まあまあ、アリアンさんはジスランちゃんのお隣の席なのね?」
「ああ、はい。」
「そうなのお母様、ハンカチを忘れたときに貸してくれたり、お当番の時には遅れた僕の分まで働いて下さるんだよ?」
「・・・・・」
まあ、間違いではないな。言い方…。
「まあ、そうなの。お世話になっています。よろしくね。あなたのお家は?ご家族は?ご兄弟は?お母様はどちらの家名?」
「・・・家はエメ子爵家です。南部の海沿いの土地です。父と母と、弟が3人。母は平民です。」
「まあ!平民!!」
「お母様…。」
「あ、あら、ごめんなさいね。でもあなた銀器の扱いがお綺麗ね。で?ご趣味はなあに?ジスランちゃんと同じクラスっていうことは、お勉強は頑張っていらっしゃるのね?ご親戚はどちらになるのかしら?領地の経営状況は?」
もう…何を食べているのかわからない。さっきから質問攻めだ。お顔はにこにこしながらも、頭の先から靴の先まで観察されている感じ?そんなに見られると照れますわ。今日は、下町の娘風ですの。おほほっ。
お昼時を少し過ぎたころ。中庭の木陰が心地いい。
出された食事は、見たことがないほど豪華なものだったが…。
「ごめんなさいね。でもうちのジスランちゃんには、公爵家とか王族からお嫁さんを貰おうと思っているから…。」
何の話?
「・・・お母様!アリアンさんはただのクラスメイトで、たまたま僕が助けていただいただけですから。」
「あら、そうね。よくいらっしゃるのよ。突然前触れもなく訪問してくるお嬢さんがたがね。どの子もどの子もジスランちゃんを狙っているようでね…。心配なのよ。毎週帰ってきてくれればいいのに、寮に残っているし。ね?夏休みは帰ってくるでしょう?皆さん帰ってしまうのに、うちのジスランちゃんは残ってお勉強しているの。あまりやりすぎるのもねえ。そう思いませんこと?」
(なんの勉強?なにを…やりすぎ?)
あ、いえ、そんな、下世話な想像はしておりませんが…。
思わずジスランちゃんの顔をチラ見したら、しらっとご飯食べてるし。
席を少し高台のガゼボに移して、お茶。正直…もう帰ってもよろしいでしょうか?
せっかくなので、お茶とケーキを頂く。
お昼ご飯は質問攻めで何が何だかだったが、一通り、私がジスランちゃん狙いではないと納得いただいたのか、落ち着いたようだ。
侯爵家のケーキは美味しい。いい職人さんを雇っているんだろうな。
お母様のお話からすると、ジスランちゃん会いたさに、突っ込んでくる女子がいるらしいなあ。そのたびにお母様に撃沈されるようだ。ドロテもそんなようなことを言っていた。
「今度ね、うちの庭でガーデンパーティーを開くのよ。ジスランちゃんの婚約者もそろそろ決めなくちゃですしね。」
「はあ。」
「アリアンさんは恩人ですもの、ご招待いたしますわ。興味がなくても一度お越しくださいね。」
・・・これは…肯定形に見せかけた、完全否定形、ですね。わかりやすいです。