偽りの立方体Sheet3:ゲームサークル
「僕の誤算でした」
翌週クイズの結果を聞いた薔薇筆は平謝りした。
「ウイルスを警戒するだろうとマクロは使わない縛りで考えてはいましたが、そもそもファイルのダウンロードっていうのが敷居が高かったと思います」
「いや、元々サイトの閲覧自体そんなに多く無いから…一組いただけでも大したもんだよ」
店主のアキラが慰めるおかしな構図になった。
次のクイズをどうするか話していると、川口と育美がやって来た。育美は元々薔薇筆と店で落ち合う約束だったが、来る途中で川口とばったり会ったので引っ張ってきたらしい。
「あのクイズさ、俺みたいに見たけど解けなかった奴もいるんじゃねぇか?」
川口がフォロー(?)する。
「難易度の調整は難しいわね。簡単すぎても達成感がなくてわざわざ来店までしないと思う」
育美の指摘にアキラが答える。
「最近あんまり見ないけど、お菓子なんかのキャンペーンでクイズに答えて応募しようってやつ、キャッチコピーの穴埋めなんだけど頭にデカデカと答えが書いてあるのw 俺みたいなひねくれものは馬鹿にするなって意地でも応募しねぇからな」
しばしそんな話を続けていると、初来店と思われる三人組の若い男性がやって来た。
川口は今日は長居しないからとボックス席へ移り三人組が座れる様にカウンターを空けた。
「あの…サイトのクイズ見て来たんですが…」
真ん中に座った一人が言った。
記念すべき二組目だ。
「へぇ、ゲームサークル?社内で部活動みたいな事やってんの?」
アキラが入れ替わり話す三人の相手をしている。
「えぇ、フットサルとかボーリング、釣りなんかもありますね。福利厚生の名目で多少会社からも補助してもらえますし」
「で、あなた達はゲーム。ゲーセンとか行くの?」
「いえ、ほとんどボードゲームです。社内にいくつか置いてあって、就業後に残ってやるんです」
「ゲームサークルは全部で何人いるの?」
「その都度飛び入りもOKなんですが、常連は五〜六人ですかね」
「皆んな仲いいんだ」
「はぁ…まぁ…」
アキラはその時、三人共の表情が翳るのを見逃さなかった。
「あれ?もしかして何か困ってる?」
「えぇ、実はそうなんです。サイトに困りごとの相談承りますって書いてあったんで。それで今日来たんです」
「ボードゲームでしょ?IT関係あるかな…まっいいか。いいよ、力になれるか分かんないけど話してみて」
アキラは話すよう促した。
エルが横で"乗りかかった船"とか言っている。
「ある一人がイカサマしてるみたいなんです」