第4話 生理的に受け付けない
「それは記憶の改竄ですね」
「改竄?」
ニュースを見て衝撃を受けた俺は次の日病院に向かった。
俺は救える命を見捨てたのか?
罪悪感に押し潰されそうな俺は昨日の出来事を宮里先生に相談した結果の答えがあきれかえった声で告げられるこれだった。
「都合良く改竄しているのですよ」
「いやそんなことは無い。確かに俺が電車の中で見た女性だった。覚えているんだ、記憶の改竄じゃないんだ」
「みんなそう言うんですよね~」
「本当なんだ」
「では仮に本当だとしてどうだと言うんですか?」
宮里先生は冷たい声で俺に問い掛けた。
「へっ?」
「出会ったばかりの女性をあなた程度が口説けるとでも?
もしあなたの能力が本当だとしてもレイプするしかないでしょう」
「れっれっっれえっれれれいぷ!?」
「私がもうしそうだったとして、あなたにレイプされるぐらいなら死んだ方がマシですね」
俺を侮蔑する悪意はない。淡々と事実を告げられた。
「死んだ方がマシ」
「ええ正直あなたとこうして話しているだけで苦痛です。
あなたは生理的に受け付けないのです」
「そっそんな。御風呂にだってちゃんと入って服だって洗濯している。太ってないし・・・」
「そういう問題じゃないんです。
あなたは生理的に受け付けない。
あなたに抱かれるくらいなら死んだ方がマシです。
だからあなたが罪の意識を持つことは見当違い、寧ろ何様のつもり」
完膚なきまでに俺という男を否定された。
「もう会話したくありませんが仕事だからしょうが無くします。
少し強めのお薬出しておきますね」
もう俺の男としての心は砕け散った。
あれから俺はもう何も考えないようにして日々を過ごした。
たまに死の運命が見える女性を見かけるが気にしない気にしない。
記憶の改竄。
「ふう、今日も疲れた」
アパートのドアを開け中に入ろうとしたときだった。
背中から強烈な衝撃を受け俺の意識は途切れた。
「うっう~ん」
気が付くと俺は椅子に縛り付けられていた。
そして目の前に此方を睨み付ける少女がいた。