黒い影
◇都内某所
■???
pm9:00
『計画は上手くいっているのかね、藤宮君』
「は、はい勿論です…」
『ほう、なら何故そんなに怯えているのかね』
「決してそんなことはありません…!!」
『なら、いいのだがねぇ』
都内某所の一室、私は一人の部下と話をしている。
もはや会話なのか怪しいのだが。
『では、一つだけ聞かせてもらおうか』
「な…なんでしょうか…?」
『……コードNo.0169はどうした?』
「…!! そ、それは…その……」
『……逃げられた、のか?』
「申し訳ありません!!ですが、やつの協力者の魔導師は拘束しました…!!」
『ほぅ……なるほど…まぁ別にいい。やつの代わりなんていくらでもいるのだからな』
「ま、まさか、彼女を…!?』
『あぁそうだ。アレを動かすには膨大な魔力が必要なのは知っているね藤宮君』
「も、勿論です…」
『協定を結んでいる奴らには、人形兵器に魔力を埋め込むという計画だと言っているが……実の所はな…ふっふっふ……』
「………は…ははは…」
だが、確かに0169が逃げ出した事は想定外であった。厳重に管理をしてきたはずなのだが、まさかの協力者がいたとは…
私が仕込んだチョーカーの反応もない。壊されたと見ていいだろう。よって、その後の0169の身元は不明。追跡も不可能ときた。
正直、計画にかなりの痛手を負ってしまった。だが、先程も言ったように代わりなんていくらでもいるのだ。
問題なく計画を次の段階へと進めることにしよう。
すると、部屋の扉を軽く数回叩く音が室内に響いた。
『入れ』
「はい、失礼します。会長、そろそろお時間です」
『ほう、もうそんな時間か……分かった。では行こうか』
「お車の方のご用意は済んでおります」
『うむ、では藤宮くん、次は頑張りたまえよ』
「は、はい。わかりました……!」
──────────
◇車内
■???
pm9:20
「会長、本当にこのまま計画を次の段階へと移しても構わないのでしょうか?」
『あぁ、いいとも。理論上問題は無い』
「かしこまりました」
私は次の実験場がある名古屋へと車を走らせる。
『もうすぐ完成するぞ…国1つを焼くことだって出来る魔導兵器が…!! 必ず私の野望を果たしてみせる…!』
『さぁ始めようか。《國落とし》を……!!』
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