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変わらない日常

 



 ◇兵庫県神戸市・蒼井宅


 ■蒼井(あおい) 智哉(ともや)


 4月9日 am7:00




『ふぁぁ~……』



 午前7時丁度。軽快な音を立てて鳴り響く目覚まし時計で俺は覚醒する。

 いつもと同じ天井。慣れた手つきで目覚ましを止める一連の動作。普段と変わりない日常が始まる。


 眠い。だるい。しんどい。


 生きてる上で身体に降りかかるくっそめんどくせぇ状態ベスト3だと思うんだこれ。

 ちなみに、現在の俺は全てに当てはまっている。


 ふあーっと大きい欠伸をしつつ、今だに気だるさを感じる身体に鞭を打ち、無理矢理に体を起こす。



 ──俺の家は、兵庫県の神戸市にあるごく普通の二階建ての一軒家だ。家族構成は父、母、弟と妹、そして俺を含めた5人家族。隣の敷地には、魔法の訓練や身体能力を高めるためにトレーニングが出来る道場も持っている。

 まぁ、これはおじいちゃんの代から引き継いだものなんだけど。


 俺は洗面台で顔を洗い、朝食をとるため、寝間着のまま一階と二階を繋ぐ階段を降りていく。

 リビングへと繋がるドアを開けると、そこには6人まで掛けられる大きめのテーブルとイスがあり、その上には五人分の朝食が置かれていた。


 今朝のメニューは厚めのトースト1枚と目玉焼き。ウインナーにスクランブルエッグとかなり無難な朝食となっていた。



『父さん、母さん、それと祐樹(ゆうき)(めぐみ)、おはよ~』


「うん、おはよう」


「ほら智哉、冷めちゃうから早く食べちゃいなさい。それと寝癖跳ねてるわよ!」


「おはよう兄さん」


「あ、お兄ちゃんおはよー!」



 これが我が家の恒例。挨拶は基本だもんね。

 俺はいつもの定位置に腰を下ろす。

 ちなみに席取りはこうだ。

 

  父母妹

  □□□ ◇(テレビ)

  俺弟



 こうやって毎朝食卓を囲み、朝のニュースを見るのが家族の日課だ。普段と変わらない。でも、なんて言うかすごく落ち着く時間だと思う。


 トーストを頬張りテレビを見やると、何やら興味深いニュースが飛び込んできた。


【近頃、暗躍している謎の組織が表立っての活動を行ったと情報が入りました。

 しかし、民間人に危害を加えることはなく、何かが盗まれた形跡も、壊された痕も一切無かったそうです。現在足取りを調査中とのことです】

【うっわぁ、なにそれ不気味ですねぇ】



 キャスターの報道に政治家の1人が相槌を入れた。



「確かに不気味だな……三人とも、登下校は気をつけるようにな」


「分かったー!」


「うん、気をつける」


『分かった、ちゃんと注意する』



 俺たち三人は続けて返事をする。



『ご馳走様~』



 祐樹と恵も食べ終わったようなので、三人揃って食べ終わった食器を片付ける。


 ちなみに、兄弟/妹全員が高校生であり、今学期から俺が三年、祐樹が二年、そして恵が新しく一年生になる。


 俺と祐樹は同じ第3魔導学園高校の生徒で、そして妹の恵は今日が第3魔導学園高校の入学式でもある。

 晴れて全員同じ高校に進学するという訳だ。

 まぁ、俺達は始業式だけど。


 時計の針は8時前を刺している。

 登校時間が迫っている為、すぐさま自室へ戻り支度をする。学生服に袖を通し、カバンを用意する。入学式と始業式が重なっているお陰で、教科書がいらないので荷物が少なくてかなり楽だ。(むし)ろ、手ぶらでもいいくらいだった。

 どうせ校長先生の長い話を聞いてからホームルームして帰るだけなのになぁ……正直めんどくさい…


 そうこうしている内に二人も支度を終えたようだ。



「ほら、兄さん行くよ。結構ギリギリだ」


『はいよー』



 祐樹が急かしてくる。質実剛健、品行方正。真面目な優等生である祐樹は、なんでも出来る弟だ。勿論、時間にも厳しい。


「私凄く楽しみ!どんな魔法の授業が受けられるのかなぁ~!」


 妹の恵はとても明るい性格の持ち主。中学では殆どの同級生と友達というとんでもないコミュ力を持っている。非常に楽観的で常に周りを明るくしてくれるムードメーカーだ。アホの子に見えるのが玉に瑕だな。




 am8:00




 今日の登校時間は8:30まで。確かに結構ギリギリだ。

 学校までの道のりはそう遠くはないけど、徒歩でも15~20分程度はかかってしまう。電車で通学してる子もいるくらいだから、寧ろ近い方なんだろうけど。

 駆け足で玄関まで急ぐ。三人並んで靴を履き、家を出る。母親も食器の片付けが済んだのか見送りに来てくれていた。


 そうそう、挨拶は忘れちゃいけない。挨拶は大事。



『それじゃあ、行ってくる』


「行ってきます」


「行ってきまーす!」


「はーい、行ってらっしゃい。車には気をつけてね」



 扉を開け、いざ外へ。


 季節は春。まだ、少し寒気が残る4月上旬。


 肌寒い風が吹き、空には雲から顔を覗かせる度に、暖かな陽気を感じさせてくれる眩しい太陽。



『…ふぅ』



 空を見上げてふっと息を吐く。




 ──また始まる。いつもと変わらない毎日が。


 ──変わり映えしない、日常の連続が。



 to be continued

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