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番外編29】学校内で、壊れた箇所を修理する先生、ありがとうございます!

 廊下を窓越しに、校長先生が修理屋さんのように、工具箱を提げて、歩いています。廊下の洗面台で水道のパッキンを直していました。

 しゃがみ込んで、水道の蛇口を弄っている校長先生が見えます。わたしはドアを開いて、頭を下げます。


「校長先生、ありがとうございます」

「一年の担任の先生方から、一個水道の蛇口が、壊れているって聞いてね。私が直しておくからね」

「校長、すみません」


 担任がわたし邪魔者のようにスルーして横を通り抜け、校長先生に近づいてお礼を言っています。

 隣のクラスのほかのクラス担任まで廊下に代わる代わる出てきて、校長先生に、ぺこぺこしています。

 その間に、校長先生の隣で、水道の蛇口から流れる水流を手に浴びせて、水洗いします。タイルに貼り付けてある、“正しい手洗いの方法”というのを、見ながら、正しい手洗いをします。

 お手本どおり、備え付けのハンドソープを使って、しっかり洗います。


 わたしの「校長先生、ありがとうございます」は、先生方を動かす呪文を詠唱したみたいですが、心に陰りもさします。

 魔法が出てくるゲームでも、人を操る魔法は、好きでないのです。ほかの味方プレイヤーたちに、事前許可なく使って、怒られたことはありますが、わたしが善人だからでしょう。

 一部の先生は、手を洗うの長い人だな、という視線をわたしに送ってます。まるで、邪魔者扱いです。

 手の水きりをしている時間などありませんでした。

 手のお肌に大量の水滴がのこったまま、教室に戻りながら、校長先生が補充してくれた、備え付けのペーパータオルで手を拭きます。

 わたしの足元、廊下に小さな水滴が数個は、できてました。教師の一部が急かしたせいなのです。

 どうせ自然乾燥するし、自分の教室ではないし、教師もほかの生徒も見てないのです。

 悪いことしちゃったと思いながらも、スルーしてしまいました。

 教室のドアを開きます。みんなの視線は、わたしに集中砲火を浴びせています。すぐ隣のゴミ箱に、濡れたペーパータオルを、丸めて力なく落します。

 担任がいきなり扉から前を見ず入ってきて、わたしにぶつかられないよう、ニ三歩、前に足を動かします。

 教室内の空気、明らかに気まずいです。

 何話していたんだろう? 不思議そうな顔をしている生徒。わたしを心配そうな表情で見てくれる生徒など……。

 なぜか、ゴミ箱を見ている生徒までいます。わたしは肩越しに、燃えるゴミと書いてあるゴミ箱に、ペーパータオルを入れたのを、確認してしまいました。

 この前した、魔法が存在する世界観の、オンラインバーチャルゲームを思い出します。

 わたし、魔法使いをプレイしていたんです。敵の攻撃で、魔法が使えなくなった魔法使いのような気分です。

 オンラインバーチャルゲームで、知らない人同士でパーティー組むのは、当たり外れがあります。

 不可抗力なのに、わたしを責めて、暴言吐いてくるプレイヤーがいました。

 どうせ、ネットで、現実リアルは、どこの誰か分からないので、わたしを、見くびっているのです。


「すみません」


 謝っても、くどくど文句いう人もいます。女子高生だとバレれば、中には、エロい質問をしてくるヤツまでいます。

 わざわざ、わたしが知らないような、メッチャエロいワードをささやき、反応を楽しんでくるヤツなど、思い出すだけで腹が立つ!

 もしかしたら、この中に、エロ質問した犯人いるんじゃないの? 猜疑心が強く出ます。

 目を閉じれば、わたしのちびきゃらが見えました。いわゆる心像しんぞうです。

 好奇心旺盛な、目を輝かしながら、カマトトぶってるな、いつ、ボロでるかを、楽しみにしている嫌な感じです。

 録画された自分の姿を、テレビで見ているみたいな気持ちです。まぶたを上げれば、ちびきゃらは、ゲーム内のバグで、いきなりログアウトしてしまったプレイヤーのように、消えました。

 わたしの分身なので、不死鳥のように、また、戻って来る可能性が大です。

『ちびきゃら共トレ』一気にやり過ぎたようです。ログアウトしたら、『共トレ』をプレイして、心身を休めるべきでした。

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