【番外編24】真面目そうな女子生徒は、わたしが担任に絡んでる、と渋面をしています。
「――教職員が、朝、交代で早出で出勤して、掃除をしてます」
「えー、えー、交代でなんですね! 交代ですか」
交代……。肺の息を出しながら、うかっり、最後の交代までが、発声されてしまったようです。
救いを求めるように、振り向きますが、わたしの後ろで、ほうきをもっていた子は、視線が合った途端、はっと我に返ったような顔になります。教室後ろにある掃除道具入れに、走って行きます。
少し離れた位置で、窓ガラスを拭く女子にいたっては、担任の先生に絡んでる、と渋面をしていましたが、顔を背け、こっちを見てもくれません。
この教室に居る、生徒は誰もが、わたしと担任のやり取りを、スルーししています。巻き添えはゴメンなのでしょう……。
「どうしたの? 私がホームルームにくる前に何かあったの?」
担任の先生は、心配げに前かがみになり、わたしと目線合わせちゃってます。つまり、まだ、担任はわたしを敵とみなしてないのです。中立の立場です。
『共トレ』で同じギルドで知り合いでギャグが好きな方なら、わたしでなく、声帯が勝手にやりましたー、などと発言したら、人生経験豊かなプレイヤーさんが、間に入って、仲直りさせてくれる状況でしょう。
もし現実で、しかも、今、そんな発言したら、学校の校内放送で、うるさいから、静かにしなさいと叫んで、余計うるさい、うっかり先生のようなモノです。
まずは心を落ち着かせます。運動会で気をつけをして、整列しているときのように、全然無関係なことを考えることにしました。
「センセイ、少し、頭の中を整理させてください」
「うん」
春休み前に、ベータテストと呼ばれる、本格サービス前のテストに参加した『ちびきゃら共トレ』を思い浮かべます。二頭身か三頭身の可愛らしくデフォルメされた自分の分身が、活躍する、スマホーゲームです。
本格サービスはもう始まってます。
分身はアバターと呼ばれます。スマホアプリがプレイヤーの身体特徴をざっと調べて、さくっとちびきゃらを作ってくれます。
目を閉じれば、二頭身のわたしが、黒い瞼の裏側に映ります。長時間ゲーム画面を、見続けたあとのような感じです。




