【番外編23】先生はバイク通勤禁止なんですか? と同じくらい、余計なことを聞いてしまいました。
「せ、先生、じ、実は、一部のヤンキーの上級生が、学食で、学校のそんな、か、陰口言ってたんですよ。わたしはヤンキーの方が間違ってると思います。父は消防署に勤めていますが、交代勤務で、交代の前には、みんなで次の勤務の方が気持ち良く仕事できるよう、部屋を掃除するそうです。祖父は会社員ですが、手が空いたら、掃除をしているそうです。母も会社づとめですが、毎日、職場は掃除をしているそうです。社会人になったら、職場の掃除は、従業員が毎日するのです。だから、わたしはゴシゴシ拭いてました」
「えらい! 保護者の方は立派なお考えをお持ちです」
”は”が気になりました。立派な大人に、わたしは入ってないようです。いつまでも子ども扱いされて、イライラします。
しかし、担任の表情は穏やかに戻りました。わたしもほっとして、うっかり、一息、深いため息をついてしまいました。
肺にあった苦い空気が体の外側に目一杯出て、背中が丸くなり、心にゆるみが出ました。
「新入社員だけでなく、職場で一番職責が上の方が率先して、職場のみんなが掃除するそうです」
またまた、ヤバい。遠まわしに学校を職場とする教師は、社会人でも例外ですか、と遠まわしに嫌味を言ってしまいました。
歯向かってしまったのです。担任が肩こりがあるかのように、首を前に巡らして、わたしの顔をのぞきこんでいる。いえ、ゼッタイ怒ってる。
ここは、質問をすることで、話題の方向性を変えることにします。
「先生、小学校でも中学校でも、職員室の掃除を生徒がしませんでしたが、赤沢二高で、職員室の掃除は、どうしてるんですか?」
先生はバイク通勤禁止なんですか? と同じくらい、余計なことを聞いてしまいました。
小学生の高学年くらいまでなら、純真な子どもの疑問として許されますが、高校生になったら、皮肉と受け取られます。




