【番外編18】『体重三キロの犬でも、どうして体重が十倍以上ある犬を、同じ種族と見破れるのでしょうか?』
「男子にオマエって、呼ばれたくないよね?」
「え?」
わたしは、目玉だけ動かして、仲良し女子に語りかけます。とぼけられ、タブレット端末に、やけに顔を近づけています。
明らかに、私は巻き込まないでか、関らない方が良いよ、モードです。
今のわたしは、『共トレ』で言うなら、集団戦で最後のひとりとなったみたいです。ほかのギルドメンバーさんから、エールを送られる立場でしょう。
しかし、現実では、見方によっては、孤立しているだけとも言えます。
「俺木、謝れよ」
浪前が、鳴いています。朝、公園で散歩してた小さな犬が、臭いでほかの犬に気づいて、強く吼えてしまった。そして、自分より、体重が十倍はある犬が現れて、口を閉じてしまったようです。
浪前は、瞬きの回数が多いので、焦り色があるようです。
体重三キロの犬でも、どうして、わたしと同じくらいの体重がある犬を、同じ種族と見破れるんだろう? そんなことを考えながら、浪前が、行き詰まる予感がしたのです。
「俺木の肘が、女子の胸にあたったんだぞ!」
クラスの女子生徒たちが敵意をこめた視線を、俺木に集中させました。浪前、胸って大声で言うな。そこは、ぼかせ! わたしが恥ずかしいだろう。冷めた頬の皮膚に、強い熱気を感じます。
「済まなかった。許してくれ」
気づけば、素直になった俺木がわたしの前で頭を下げています。浪前は、透明なリードでも持っているかのような、犬の飼い主さんみたいに、俺木の背後にいました。
クラスメイトを、犬に例えるのは、申し訳ない気持ちまで、込み上げてきました。
もし、当事者の女子生徒がわたしでなければ、これは、見ている所です。何話してるんだろう、わたしカンケーないぞ、を強く主張する必要があります。両腕を膝に置いて、居住まいを正しながら、思いっきり、首を傾けました。
「え、わたし気にしてないよ?」
クラス内の視線は、わたしに集まってしまってます。水を打ったように静かなので、言葉を発した人間に、視線が集るのは必然でしょう。
わたしまで恥ずかしくて、クラスで着席する、みんなに目線が泳ぎます。
暇つぶしの姫にいたっては、わたしと視線が合ったら、口を大きくポカンと開いて、焦ったように前を向いてます。
暇つぶし会の会長として、口を挟まないなら、最初から振り返らないで欲しいです。




