【番外編16】『お店なら、店員さんが道を譲ります。学校では誰もが道を譲り合います(先生は除く)。』
人付き合いの基本は、波風を立てないことです。『共トレ』の試合でも、あうんの呼吸で引き分けに持ち込み、両者がウィンウィンの関係になったりします。
当然のことながら、『共トレ』公式試合での八百長試合には、重い処分が下されます。
逆に言えば、公式でない試合は、事情を読み取れる察しの文化もあるか、それとも、ないのか、知らないです。
ルール違反ではないのですが、グレーな行為もあるのです。生物学の共生に近い考えなのかもしれません。
現実の人間関係でも、暗黙で息を合わせることは、あるのです。
軽く手を上げたりしながら、気にしてないのを、伝える流れになります。
「どうぞ」
「どうぞ」
声が被りました。仲良同士どちらもが、ファミレスでお客さんと通路ですれ違う、店員さんみたいに、なっていしまいます。
ファミレスなら、店員さんが道を譲ってくれます。わたしは、再度、店員さんになったつもりで、虚空にある手は、彼女の席方向に滑らせます。
「どうぞ」
「ありがと」
生徒全員が平等な同じ学年の教室では、机間の道とは、譲り合うモノなのです。当然ながら、先生にとって、学校は職場、生徒にとっては教えを請う場所です。従って、先生は、この一般原則の適用外です。
仲良し女子が通り過ぎたら、視界には目的地の自分の席しか入りません。
自分の席へ、レッツゴーしようとしたその時でした。いきなり、俺木がわたしの前を掠めながら、しかも、ひ、肘が、わたしの胸に触れました。
メチャクチャイヤだな。
目をしかめたので、テレビで映画を見るときのように、上と下が少し黒くなり、視界は横長になりました。
わたしは、顔が冷たくなり、多分、頬から血の気が失せていました。イラつき肩を竦めながらも、高圧的に文句を言わず、純真無垢な人なので、スルーして、脇目も振らず、足を踏み出そうとしたんです。
「おい、俺木! 女子にぶつかったぞ、謝れ!」




