【番外編】⑨『ねえ男子。わたしの手が触れてたスマホを、そこに入れるの?』
わたしも、きりりと教室内を睨みます。一部の男子生徒は、わたしと視線が合えば、はっとした表情で、目をそらします。
わたしは、ハードな視線を送り続けます。新設大学が系列校の会話などは、誰も言うなよと、けん制も兼ねていました。
クラス内では、それぞれのグループで、会話が続いているのに、暇つぶし会では、会話が止まっています。誰かが最初に話すべきです。
母の勤め先は、法人組織がどうなってるのか、話してくれませんでした。まるで、娘が学校で余計なことを話す行為を、未然に防いだようです。俺木が眉間に皺をよせながら、わたしに口を開きました。
暇つぶしの姫や、浪前より、話しやすい相手と思われたのでしょう。
「系列校とか、言うなよ」
「わたしの個人的意見で、言論の自由があるでしょう。俺木も、言論の自由を、中学の公民で習ったでしょう?」
「オマエ、いちいち理屈っぽいな」
オマエって、おい、俺木、馴れ馴れしいわ。もう少しで、言い返しそうになりました。声出せと、駆り立てる衝動を落ちつかせます。
暇つぶしの姫や浪前は、俺木と違い、大人の対応をしているわたしを、一目置いていることでしょう。
「俺木、オマエって呼ぶのは良くないぞ」
「分かったよ、浪前」
暇つぶしの姫は、注意しません。気まずくなるのを、最初から避けて通るタイプです。
「浪前ありがとう。スマホ貸してくれて」
スマホを浪前と手が触れないように、細心の注意を払いながら、彼の手のひらに垂直にしながら置きました。
あとで、自分の席に戻ったら、ウェットティッシュで手を拭くつもりです。
「話を料理教室に戻そう」
浪前が、わたしの指が触れたスマホを、ズボンのポケットにねじ込んでます。
しかも、サイドにあるポケットにです。ポケットティッシュで、拭いてから、返せば良かった。
「わ、ヤダ、浪前」
「うん、何がやなんだ?」
「少し、無言で考えさせて」
わたしは本音を漏らしながらも、唇の内側を軽く噛みながら、浪前に頷けました。
思考を切り替えるために、自分の内側で、例の本社が沢山の話を考えました。わたしが信頼されていないのではなく、クラスメイトの家族、親族に競合他社さまが勤めていたりしたら、情報漏えいします。
また、未来において、ライバル会社に勤めるかもしれない、クラスメイトに情報を、与えないためでしょう。




