【番外編】②『自分より勉強が苦手と思っていた生徒に、テストで負けてました。』
授業中先生に、「そこはテストの出るんですか?」と質問したりする生徒です。
そもそも、授業で教えているのは、テストの範囲だからに決っています。ゼッタイテストに出ないことを、先生が、延々と授業で話されたら生徒が迷惑です。
最初は理解力が低いのか、教えられたことだけを、丸暗記する性格なのと思ってました。
「料理人で、加登さん。フレンチの有名なテレビに出てる人」
浪前が、著名人の名前をひけらかしています。
でも、四月に行われた中学で習った範囲内に限る試験で、クラス内で上位十名の名前が、担任の先生から、氏名のみ発表されました。そのなかに、浪前がいて、びっくりしました。
わたしより、試験の成績が上だったのです。
浪前と同じ公立中学出身の生徒から、流れてきた噂では、中学時代、試験の成績は中の下だったそうです。わたしより、学力が下と思っていた人が、わたしより上だったので、少しショックでした。
中の下の成績で、赤沢二高に入学したなら、中学の内申が良かったか、スポーツか、部活動で活躍したのでしょう。
あるいは、入学試験での成績が良かったのか、中の下でなかったのか、それとも、わたしのクラスは、新入生の中で、勉強が苦手な生徒が集められたクラス編成なのでしょう。
わたしは、ガルトM1919の男、浪前に質問します。
「浪前、話の腰折るけど、わたしのクラスって勉強苦手な生徒が集まってるの?」
「ううん、担任の先生に聞いたら違うってさ。学力や体育の成績に偏りがでない、クラス編成したんだって、先生が言ってた」
保健体育も、立派な学問です。高校でも、国語や数学と同じ正式な授業なのに、学力と分けて考える風潮は、まだあります。
ガルトM1919なので、撃ち合いの強さも気になります。
「今、浪前が話してる最中だぞ、途中で口挟むなよ」
俺木が下唇を伸ばしながら、わたしに低い声で伝えます。自分がイヤな人から、正論で注意をされたら、イラッときます。
わたしは、俺木を見返してから、黙り込んでやりました。
どうも、二人とも、女子には、モテないタイプみたいです。こんな二人を構ってくれる、暇つぶしの姫とお喋りしたいのでしょう。
うっとうしそうな俺木でなく、取り扱いが単純そうな、浪前に声をかけてやります。
「浪前ゴメン、学食で何があったの?」
「あのさ、学食で、厨房あるでしょう」
「当たり前じゃん! 頭の中で整理してから話せよ。あはは」
わたしがギャグで言い返したら、浪前は、かなり、いじけたように、寂しそうな目をしています。
ただ、母性本能をくすぐるタイプでなく、発言するとき、事前に内容を頭で整理してから、話さないそそっかしい性格でしょう。
「悪い、浪前。ねえ、ぜひぜひ、ぜひぜひ、聞かせて」
「うん!」
ぱっと、浪前の目に光が戻ります。高校での成績は、学力が伸びるタイプかもしれません。




