【番外編】①『女子高生1年「撃ち合い部」に勧誘されました!』
『【番外編】①女子高生1年「撃ち合い部」に勧誘されました!』を公開しました。まだ連載途中です。
西暦2040年の学園コメディ。eスポーツは強いが、慎みがなく裏表が激しい1年生女子の高校生活。なお、学校生活を中心に書いたので、オンラインゲーム世界は、ほぼ出ない予定です。
【※『女子高生1年「撃ち合い部」に勧誘されました!』番外編です。時系列的には、主人公「わたし」が『撃ち合い部』入部直前です。フィクションであり、同一、相似の固有名詞が存在しても、一切関係ありません。※】
キンコーン。
朝のホームルームの開始が近くなったチャイムが鳴りました。ホームルームが始まりでなく、教室に居なさいの合図です。
教室から、ソワソワしながら、廊下に出る生徒もいます。恐らくですが、トイレに向っている男子や女子でしょう。
わたしは、窓辺にある自分の席に座ります。校舎に水平に立つ散った桜の木々でなく、クラス内に複数存在する人の輪を、眺めていました。
ある男女混合の群れが興味深そうです。男子数人、女子一人で明るく笑顔で会話に花が咲いています。椅子に座る男子の体は、全て、女子に向いています。女子は首から、撃ち合いMMO『共トレ』の拳銃、コンバットオーナーのマスコットを下げています。
コンバットオーナーは、珍しくないのですが、銃身の先に、サプレッサーと呼ばれるモノがついています。レアアイテムです。
サプレッサー装備のコンバットオーナーは、期間限定の課金ガチャで、『共トレ』で、売られていたのです。現在では、ほかのプレイヤーからプレゼントされるか、お願いして売ってもらうしかありません。
頬杖を付きながら、聞き耳を立てます。
「えー。そうかな、うん」
リーダー気取りの女子は、澄んだ鈴の音みたいな声です。ざわつく教室内でも、わたしには聞き取れました。
電話で保護者と、話している女性の先生が、無意識に作ったような声です。つまり、自分を良く見せたい本能が働いているのでしょう。
女子は、いわゆる“何やらの姫”でしょう。目的があるのでなく、ただ、休み時間の暇つぶしみたいです。
わたしは、“暇つぶし会”そして、女子を“暇つぶしの姫”と、心で名付けました。
話し方が、とても丁重過ぎる子で、しかも、ヨイショがうまい子です。
ただ、気になることがあります。お気に入りの男子と、そうでない男子で、リーダーの子からの扱いが違う気がするんです。
つまり、一人に対しては、うん、と短く告げ、もう一人に対しては、そうそう、と同意をしているのです。
わたしも、暇です。席を立ちました。机の間を縫うように歩きます。
暇つぶし会に、興味本位で近寄ります。
姫は、自身のテーブルにチョコンと座って、男子と話しています。スカートは手で押さえながらも、膝小僧とハイソックスの間に存在する白い肌を、男子に見せています。隠せとは言いませんが、椅子に座る男子の視線と高低さ、なさすぎです。
あ、暇つぶしの姫が、わたしに気づいたようです。笑顔をこっちにまで、振りまきます。取り巻きでなくて、円になっていた男子二人も、会話を止め、わたしに振り向きます。
どうして、オマエが参加するんだ。そんな見えない空気の壁がありました。わたしは平然と全身で、透明な壁を押し破り、突き進みます。
スーパーで例えるなら、広い出入り口で、自動ドアと手であけるドアが並んでいて、あえて、手で開けるドアを開くようなモノでしょう。
どうも、暇つぶしの姫が最初に、わたしに声をかけるまで、男子は話せない雰囲気です。暇つぶしの姫がわたしに小首を傾げてから、口元を綻ばせました。
「おはよう」
小さな声で挨拶をされましたが、手近にあった椅子をギーと音を立てながら、わたしは自分用に引っ張ります。聞き取れなかった体で、腰を下ろして輪に入ります。
机でなく椅子に座り、暇つぶしの姫を立てつつも、挨拶をしないことによって、わたしは、姫と対等の立場である決意を表明しました。
男子二人は、おう、という感じでわたしに手を上げるだけです。わたしも、軽く手をひらつかせて、応じるだけです。
太ももにぎゅいっと力をこめて、手でスカートの裾を押さえて、膝小僧を隠します。無論、スカートの生地を傷めない範囲でです。制服に、キュロットスカートも、加えてほしいです。
足で男を誘惑している、姫との違いを明確化するためです。
暇つぶしの姫に対しても、わたしも、頬の筋肉を緩めます。もちろん演技です。
「おはよー、会話に混ざって良い?」
「大歓迎。一緒に盛り上がりましょうよ」
答えるのは、暇つぶしの姫だけです。男子は相槌を打っているだけ、先輩ならともかく、同じ学年なのに情けない!
暇つぶしの姫は、確実に暇つぶし会のリーダーです。
わたしが、スカートの裾を手で押さえ続けているのを意識したのでしょうか?
暇つぶしの姫も、スカートの裾にチェック柄のハンカチを置きました。膝小僧や、すねのスベスベで白い肌が逆に強調されます。
暇つぶしの姫の横で、わたしは、背もたれを肘かけ代わりに座り直しました。決して背筋を伸ばさないことに寄って、わたしは、暇だから、参加しているだけなんだよ、と伝えたのです。
男子の一人で、やや目尻が上がってます。珍しい名字なのですが、話す機会がないので、度忘れしました。『共トレ』のAG49ライフルを、鞄につけていて、AG49の男子と認識しています。
「おい、人の席座るなら、許可もらったほうが良いぞ」
「ゴ、ゴメン」
威圧的な態度にうっかり、口ごもってしまいました。
どうせ、オマエの席じゃねーだろう。今、わたしのお尻の下にある椅子を普段使ってる生徒に対してなら、素直に謝ります。
正直、暇つぶしの姫の席です。
「え?」
わたしはわざとらしく、暇つぶしの姫をチラっと見ながら、瞼をえいっと上げます。
表情を作るのが面倒になってきたので、困惑したように思いっきり、俯きました。
無意識に、口角が吊り上がってしまいます。視界には、わたしのスカートと裾を押さえる手と、胸のふくらみが映ります。
さあ、暇つぶしの姫は、どう対応するでしょうか? 俺木を立てながらお、わたしを敵にしない。ううん、味方にして、子分として、手なずける方向に持って行く気がして、心がワクワクします。
「――うん、俺木の言う通りだよ。それで、今、俺木が学食での話で盛り上がっていたの。浪前も、学食で、その場にいたのよ。ねえ、浪前」
「うん、学食で面白いことあったんだよ」
浪前は、俺木の隣で椅子に背筋を伸ばして座ってます。授業中、先生に質問が多い男子です。『共トレ』で登場する架空の国、アメリア国のガルトM1919と呼ばれる、ライフルのマスコットを、腕時計に引っかけています。
はっきり言って、初心者には不向きなライフルです。ベテランプレイヤーで使いこなせる人かも、しれません。わたしも使ったことはありますが、ゲーム内で、他のプレイヤーから、イヤなことを言われて、最近は使用してません。
お読みくださり、ありがとうございました。




