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中学の運動会は本気《ガチ》で臨むことになり、わたしは出たい種目に挙手できません。後片付けも大変です。

「短距離得意なのから出て欲しい」


 発言したのは、イケメン男子のクラス委員です。性格もしっかりしていて、どこかの運動部で主将をしたはずです。

 結局、短距離が得意な男子と長距離が得意な男子が別れて、種目選びが終わりました。女子の種目選びになりました。


「女子も勝ちに行こう」


 イケメン男子クラス委員が言えば、女子のクラス委員も、恥ずかしげに頷きました。


「じゃあ、立候補は自薦から、出場したい種目で手を上げてねー」


 わたしの短距離走能力は、クラスの女子で上の下くらいでした。百メートル。二百メートル。四百メートル。わたし程度で、手を上げれる雰囲気じゃなかったです。

 それぞれ、クラスで短距離が上の上の子が立候補しました。長距離の代表選びも行われます。やはり、長距離がクラスで強い子が立候補しました。

 運動会のフィナーレを飾るのは、リレーですが、選ばれた生徒はほかの競技を兼ねれるのです。ただ、リレー直前に、出場した選手は疲労が取れていません。

 クラス委員二人は、心配していましたが、本人はやる、と力強く言ってくれました。


 運動会当日になりました。集団競技は、同学年の全クラス合同だったので、勝ち負けはありません。

 わたしの個人種目は、晴天でも体育館で行われます。カメラで撮影して、グラウンドで応援してくれる生徒保護者には、モニター中継です。

 わたしは体育服で、他クラスの代表と横一列に、コンビニ袋を手にして並びます。


「よーい」


 国語先生が、おもちゃの拳銃を笑いながら上に撃ちます。

 パーン!

 わたしは必死に一個目の吊るされたパンに向って、ダッシュしました。ゴールまで数十メートルなのですが、上空にはゴールまで一本の紐がぶらんと弧を描いて、張ってあります。数メートルごとに、紐でぶら下がり、洗濯ばさみで袋に入ったパンが挟まってます。手を使わず、口で取るのがルールです。

 わたしは一個目をハードルの要領で、ジャンプしながら、上下の歯でパクッと取ります。手でパンを持ちながら、二つ目も同様に取ります。コンビニ袋にさくっと入れました。

 最後のパンを口で奪い、袋に詰めます。ゴール前には長テーブルがあり、四角い贈答用のお菓子箱に、小麦粉か片栗粉が、たっぷり入ってます。

 足を止め、顔を突っ込みます。手を使ったら反則です。大きなキャンディーを唇に挟みながら、ピエロみたいな真っ白な顔です。片栗粉を吸い込んだ鼻がむずがゆく、鼻をかみたいながらも、ゴールしました。

 箱には大きなペロペロキャンディーが入っているのです。以前は小さなキャンディーだったそうですが、事故防止だそうです。

 わたしは、見事、パン食い競争で、校内1位でした。ほかのクラスの子は、体育が苦手な子が多かったようです。


 運動会の最中、白いテントで校長先生が、毛筆で名前を書いたり、昼休みに応援に来られた議員の方々に、応対されたりとか大変そうです。

 昼休みは、保護者と一緒に昼食が取れます。台の上に立ち、マイクでお話しを、してくださる、議員さんの話は、スルーして、友だちのお母さんとわたしは談笑してました。


 運動会の最後で、生徒全員が朝礼のように整列します。校長先生から、ほかの競技で1位だった生徒と同じく、表彰されました。いただいた表彰状は、クラスの先頭の子と向き合う担任が預かります。

 校長先生のお話が終わり、各クラスの担任が、後片付けの指示を出します。小学校では、低学年の子は、先に下校ですが、中学からは、全学年の全てのクラスが後片付けに参加です。

 わたしのクラスは、体育館の後片付け担当でした。


「お、重い!」


 体育館にゴムのようなものでできた長方形のシーツを、多数敷かれています。何人もで端を丸めてから、ロールケーキのようにします。担任からは、皺にならないよう、注意されます。雑巾掛けの要領でわたしたち、女子数人が押しました。


「そこ何やってるですか!」

 担任から怒鳴られたのは、男子の一集団でした。ロールにした部分を、体育館専用のシューズで足で押していたからです。

 一番、疲れない方法ですが、担任は怒ってます。


「大事なシーツだから、足で蹴らない」


 どうせ、ゴム状シーツは靴で踏むためにあるのに、謎の理屈です。わたしは、額の汗を拭いながらも、体育館の端まで、他の子と押して丸め終わりました。

 体育館の床が傷つかないよう、敷かれるシーツです。

 教頭先生が体育館の扉近くで、しまった、という顔をしながら、担任を手で招き寄せています。

 部活顧問や三年生に呼び出された一年のような、態度で担任が駆け寄り、小声で話あってます。


「みんなー、明日、選挙の投票所になるから、ゴムシーツは敷き直して」

〈えー!〉


 教室と同じ、上履きで体育館に入り、しかも消え去った教頭ではなく、担任に非難の色が宿る生徒の視線が集中します。

 担任が、体育館の扉から左右に顔を巡らせながら、教頭がいないのを確認していました。


「先生も今、聞いたんです」


 本当かは、生徒に分かりません。教頭が悪いのか、担任が聞き漏らしたのかをです。

 わたしが、部活動で後輩の立場なら、記憶にないのなら、ほかの同学年と記憶を照らし合わせて、聞いてないと伝えます。伝える相手は発言力のある後輩思いの先輩にです。

 ただ、部活動ごとに、集まる生徒が違うからには、人間関係も異なります。担任の聞き漏らしを疑いました。


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