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仕様変更は建物にも及んでいました

「びっくりした!」

「どうかなさいましたか?」

 声に出ちゃった。セバスチャンたち、ギルドNPCが並ぶ背後で、コンクリート作りの建物があったんです。いきなり、木製の納屋になったからです。『共トレ』21歳以上サーバーの設定変更に驚きです。

 いぶかしげにメイド三人組も、不思議そうに顔を見合わせています。

「今、建物が納屋になったよね」

「なりましたが、それがどうかしましたか」

 モニカさんが、長い睫毛をパチパチさせながら、答えています。瞳には、わたしの発言に、驚いている色が宿ってます。『共トレ』世界の住人であるモニカさんたちには、変更があっても、通常の光景なのです。あまりに傷つけないよう、誤魔化ごまかします。

「建物がいきなり、変身するのはフツーだけど、材質は工法などが、わたしたちのギルドにふさわしいかって思ったの」

 くるりと、モニカさんが、納屋に振り返ります。ナイフを抜きながら、納屋の窓枠をツンツンします。窓がありません。

『共トレ』撃ち合いマップでは、ある意味標準的な納屋です。窓枠あっても、窓がない。窓あってとしたら、ガラスが大きく割れて、ほぼふちにしか残ってないんです。撃ち合いをしやすいようにです。

「モニカさん、風通し良さそうだよね」

「はい!」

 モニカさん、わたしに合わせてくれて、清々しいほどの笑顔をしています。素直なペットのような愛くるしさに、どうしても、いたずらしたくなりました。

「窓あったら、素敵だなって思うの」

「はい、素晴らしいですわ。美的センスが高い方におつかえできて……」

 モニカさんは、憧れのタレントさんと接しているみたい。話が長くなりそうなので、手をひらつかせます。

「褒められてうれしいな。ガラス窓を全ての窓枠につけて、換気扇を複数つけて、木が剥き出しだから、ペンキで色を塗ったりしたいかな」

「ねえねえ、課金必要でしょう。ギルドのお金は、ギルド長と植田さんが多く課金したんだよ」

 ネエネエ先輩、ギャグを本気にしてる。先輩は、片手を腰に当てながら、納屋の入り口前で立ってる。うすっぺらい、銃の弾を百パーセント貫通するドアです。

 ちなみに、別の撃ち合いマップでは、日本家屋があったりします。ビギナーさんは、障子に隠れて、撃たれたりします。

 わたしやネエネエ先輩のようなプレイヤーなら、障子に隠れません。障子の紙は防御効果ゼロだからです。ミスって隠れたとしたら、敵の足音を聞いて、先手を取り、障子ごと撃ちます。

 相手を見ずに打つので、仕留めれないことが多いです。

おっしゃる通り、現実りあるマネーなるモノが必要です。わたくしめに何もできず申し訳御座ございまいません」

 モニカさんも、本当に済まなそうに、目にいっぱいの涙を溜めています。表面張力で落ちない、水量の限界でしょうか。

「先輩、納屋このままで良いですよ」

「うーん、私からギルド長に聞いてみようか?」

 聞かないで! 

「先輩、屋内でNPCたちとお喋りしましょう」

「うん? 賛成」 

 ネエネエ先輩の背後をわたしはを見えない腕で押すようにしています。先輩につづいて、納屋に足を踏み入れます。柱が数本立っており、がらんどうです。

 ご都合主義で、複数のはしごが、高さ的に二階にある、窓全てにかかってます。納屋から、プレイヤーが撃ち合いをしやすいようにです。家具はありません。恐れ多いことながら、と言いながら、ぞろぞろ入ってくるNPCの先頭がセバスチャンでした。

「セバスチャン、テーブルある?」

「申し訳御座いません」

「セバスチャン、はしご外せる?」

 セバスチャンやメイドさんが、はしごに駆け寄り、手で持っていますがビクともしません。完全に固定されて、また、銃で撃たれても壊れない仕様なので、絶対動かないのは知ってます。むしろ、動いたら、仕様変更です。プレイヤーとして、覚える必要ありです。

 ネエネエ先輩は、はしごの横で、壁に背中を預けています。迷彩服汚れないって分かってるので、布とか挟みません。訝しそうな視線がわたしを刺します。

「ねえねえ、仕様変更がないか、確認してるんだよね?」

「もちろんです!」

 えーと、えーと、そのほかにもっともらしい言い分ないかな?

「ヘリ実装されたので、細部も変更されてないか、確認したいんです」

 急に、ネエネエ先輩は自身のブーツを眺めています。疑って悪いことした風に、表情に陰が差してます。


***


「私めの力では、外せないようです」

 セバスチャンやメイドさんが、はしごに駆け寄り、手で持っていますがビクともしません。完全に固定されて、また、銃で撃たれても壊れない仕様なので、絶対動かないのは知ってます。むしろ、動いたら、仕様変更です。プレイヤーとして、覚える必要ありです。

 ネエネエ先輩は、はしごの横で、壁に背中を預けています。迷彩服汚れないって分かってるので、布とか挟みません。気持ちに引っかかるところがあるような視線がわたしを刺します。

「ねえねえ、仕様変更がないか、確認してるんだよね?」

「もちろんです!」

 えーと、えーと、そのほかにもっともらしい言い分ないかな?

「ヘリ実装されたので、細部も変更されてないか、確認したいんです」

 急に、ネエネエ先輩は自身のブーツを眺めています。疑って悪いことした風に、表情に陰が差してます。


***


 中学のときです。音楽の先生が病気になり、一か月休むことになりました。代わりの女性音楽教師は、とても優しい雰囲気で、お綺麗きれいな方でした。

 その女性教師の初めて授業があったのです。服装も、派手でなく清楚で素敵でした。自己紹介時は眠くなりましたが、わたしは自分に気合をいれて、耐えていました。

 先生が、音楽家の名前や題名を教科書を読み上げます。テストに出ないようなことを、夢語りのように、解説していました。

 わたしは、眠さ紛れに、音楽の教科書のイラストに、らくがきをしていました。ホワイトボードマーカーに文字を書いていた教師が、天使のような笑顔をしていました。

「先生の話を、教科書に書き込んでくれててありがとう」

 わたしは、先生にすげー悪いことしちゃったかなー、て思いました。でも、軽く頷きました。らくがきとバレたら、どうしようと、心臓がドドドッて鳴ってました。

「先生、らくがきです」

 後ろの席の真面目系な女子が言ったんです。音楽室は、笑いのうずに包まれました。先生は無表情で、わたしまで歩いてきました。

 鬼のような目つきで、わたしの教科書を一瞥いちべつします。

「教科書にらくがきするな!」

 パコーン、と、わたしの頭を手のひらで叩く音が響き渡りました。一気に音楽室は、沈黙に包まれます。

 教壇きょうだんに戻った先生は、ゲームで言えば、中の人が入れ替わったかのように、ほほえみを絶やさず、穏やかに、授業を進めました。

 らくがきをチクッた子を、肩越しに見れば、肩身が狭そうです。

 今のネエネエ先輩も、表面を取り囲む気配が、その真面目系女子と同じなんです。


***


「先輩、テーブルと椅子だけ、わたしが用意します」

「え!」

 ネエネエ先輩は、わたしの声で、不意に我に返ったようです。大きな目をぱちくりさせてます。

「ねえねえ、私が買うから」

 先輩は、わたしに後ろめたさがあるようです。わたしも、ネエネエ先輩に罪深さがあり、申し出たんです。

「先輩、わたしが買います」

 わたし、私が、飲食店で会計をする女性同士が、互いに、おごろうとしているみたいです。母なら上手じょうずにおごってもらってるでしょう。


***

 この前、喫茶店に母と二人で入ったんです。そうしたら、わたしの仲良しの子のおばさんが、偶然、先に、お店にいたんです。店内はお客さんでごった返していました。

 仲良しの子のおばさんに、母とわたしが、見つけれたのがラッキーなぐらいです。

 会計を済ませて、帰るとき、おばさんがわたしたちの分も支払ったなーって気づきました。母に視線で合図をして気づいたあとも、読んでた雑誌に、目を落とてます。

 最後お店を出るとき、レジの前で店員さんから言われました。「さっきのお客様から、料金をいただいています」です。

 母が、「え、そんな」とびっくり顔を作りながら、店の外に飛び出してから、すぐに戻ってきました。

「もう、居ないみたい」

 そして、ごちそうさまを告げてから、喫茶店の帰りに、しめしめと喜んでいました。辞退じたいするつもりがなくても、遠慮えんりょする発言と行動は大事だいじだって、母から学べました。


 しかし、わたしは、担任の先生からも、自分で考えることを、勧められています。昔、誰から聞いたのですが、「人を褒めるときは、みんなの前で。人を注意するときは、二人きりで」と言わたことあります。

 最近、ネエネエ先輩のコンビニで、おごってもらったばかりです。先輩のバイト先のコンビニでほかの方がいるとき。先輩の教室。また、撃ち合い部の部員たちが集まっている機会を待ちます。

 大声で、「先輩、わたしにバイト先のコンビニで、おごってくださり、ありがとうございました」と、大人の裏ワザなど使わず、正々堂々伝えたいです。

 亡くなった祖母は、わたしを素直な子と、いつもめてくれていました。



***


「先輩、テーブルと椅子を買ってくださり、ありがとうございました」

 大きな長方形のテーブルに両手をついて、わたしは先輩に頭を下げていました。ネエネエ先輩のほかは、AIが操作する、ギルドのNPCなのです。

 ありがとう、撃ち合いの弾だとすれば、ムダ撃ちかもしれません。

「気にしないで、硬くならず、皆で話そう!」

 ネエネエ先輩は、座りながら、明るく片腕を突き上げています。わたしは、腰を椅子に下ろしながら、頬に触れた髪を首筋に、手で流します。

 長方形の上座になる奥の線分せんぶんに、ネエネエ先輩とわたしが偉そうに座ってます。

 女性NPC陣は、わたしから見て、右側、男性NPC陣は、左側に座ってます。NPCたちは、服の内側で背中に竹製のものさしが、入れてあるかのようです。

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