表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/92

再現ドラマでなく、プレイヤー視点の動画を確認することになりました。課金しまくりです。

「ねえねえ、プレイヤー視点の動画が保存されてる。それをギルド長と、ウェーダさんに見てもらおう」

 ウェーダさんって誰だっけ? あっ、タミヤ自動車の植田監督のゲーム内の名前だ。

「いいですよーだ。わたし、やましいことないですぅー」

 また、ガラケー型コンソールを出します。わたし視点の動画をガラケーに出します。暗証番号が必要ですが、動揺が少ないのか、さっと頭に浮かびました。ログインした最初から再生できる状態にしました。

 ネエネエ先輩もガラケーを用意してます。

 ギルド長こと新美先生は頼りない。植田監督の横に、ネエネエ先輩と一緒に立ちます。

「ところで、セバスチャン、再現ドラマの配役で最後だったのは、NPCで一番偉いから?」

わたくしめは、ギルドにお仕えする者。ギルド所属NPCの上下を決めるのは、ギルドメンバーの皆様です」

 わたしは元の席に戻り、セバスチャンを見ながら、今度は炭酸入りのコーラを飲んでいました。

「ねえねえ、五戦だけって言ってたけど、時間大丈夫?」

 ネエネエ先輩は、わたしを気にかけてくれてるようです。仲直りしたあとだから、いつもより気を使いすぎるのでしょう。こーいうときは、気楽さに徹します。

「時間は余裕っす」

「立ち直り早い……、う、うん。ギルドメンバーになって欲しい。君には最初からギルド副長をしてもらいたい」

 唐突な発言にびっくりしました。声の主はギルド長の新美先生です。空になったビールジョッキを、美人メイドさんに渡しています。メイドさんの胸に腕が伸びましたが、わたしのきっと睨む視線に怖気づいたのか、手を引っ込めます。唇の泡をメイドさんがハンカチみたいなで、拭いてます。

 大の大人なのにだらしない。辞退しろよ。赤ちゃんか。

「新美先生以外、ここにいる人みんなギルド副長じゃないですか?」

「そうだよ。最近21歳以上サーバー、過疎かそってるんだよね。プレイヤー減ったんです。うちのギルド、メンバーどどん減っているんです。ギルドレベルは最高レベルなので、ギルド副長の人数に制限ないんです」

 うーん、ギルド副長になれば、それなりの頻度で21歳以上サーバーにログインすることになります。

 中学のとき、クラスで理科委員のなり手がいなくて、クラス委員から名前だけで良いから、と言われました。

 結局、理科委員の仕事多くて大変でした。担任に相談したら、引き受けたからには、しっかりやりなさい、です。押し付けられた仕事であっても、やり遂げれば、人からの信用になりますが、正解な気がします。

 理科委員は毎日、交代で放課後理科室に行きます。戸締りの他にガスと水道が閉まっているかを確認するんです。事故があってはいけないので、三人以上でする規則でした。

 十個くらいの水道の蛇口とガスのつまみのチェックは面倒だし、夏は理科室、冷房入ってなくて暑かったです。

「ギルド副長の仕事内容はどうなっているのですか?」

「現在は全くない。過疎ってるから、することがないんだよ」

「もしかして、今ギルドメンバーってここにいるだけとか」

「そうです。ですが、もう一人勧誘してはありますね。しいてギルド副長の仕事をお願いすれば、新しいギルドメンバーを勧誘して欲しいです」

 ネエネエ先輩を変質者扱いした。ネエネエ先輩が過疎ってるギルドの副長をしているなら、手伝いたかったのです。

「ねえねえ、私と一緒に勧誘しようよ」

「ギルド副長します、いえ、させてください」

 新美先生が卓上コンソールを押しました。わたしの頭上に“ギルド副長”と肩書が日本語で表示されます。

「新美先生でなくて、ギルド長に質問があります。今夜のギルド戦は、十五人くらいは必要なはずですが、どうするんですか?」

「ギルドのNPCにも参加してもらいます」

 まあ、このギルドならNPCさんのスキルやレベル課金しまくって高そうだから、いいか。セバスチャンに声をかけます。

「セバスチャン。わたしより強いNPCうちのギルドにいるの? セバスチャンならわたしより強そう」

「新副長様の足元にも及びません」

「でも、さっきのわたしと先輩がモデルのフィクションドラマじゃなくて、再現ドラマで装備、わたしたちと変わらなかったじゃん」

「あれは、撮影用の小道具です」

 あー、頭がこんがらがってくる。誰か分かりやすくまとめて欲しいです。

「つまりだね、ギルド長も私達もレベルマックスなんだよ。50レベルだね。セバスチャンはギルドNPCとしてマックスの40レベル、メイドさん三人組はそれぞれ30レベル、門番NPCは20レベル」

『共トレ』では、レベルは強さのおおよその目安となります。あとは装備、スキル、そして、プレイヤーとしての知識や練習の積み重ねです。

 同じレベル、装備、スキルだとしても、プレイヤーによって強さに差が出ます。だから、母のようなeスポーツの習い事として先生が成り立つのです。

「ねえねえ、勧誘行きましょう」

 ネエネエ先輩が飲み干したグラスを楕円卓に置きました。新美先生が、裾を上げて腕時計見ます。

「ギルド戦まであと十分じっぷんくらいしかないから、ここにいて欲しいです」

 がっかりです。

「新美先生、すみませんギルド長」

 天使のような優しいネエネエ先輩が、頼りない新美先生、を現実リアルネームで呼んでしまいました。

「だから、ここでは名前ださないの。いえ、言い過ぎました。ニーミと呼んでください」

「すみませんでした。ニーミギルド長、先ほどの再現ドラマ映像ですが、ネットに流出することありませんか?」

 あり得る。だって、インターネットで動画検索すれば、プレイ動画やドラマみたいなの、見つかる。わたしが割って入ります。

「ねえ、ニーミ、ニーミ、記録保管で、少なくとも12ケタのパスワードを二重に、かけておいてください」

「あのなー、いえ、さすがに呼び捨てでは、ちょっと気になります」

 またしちゃった。天使ネエネエ先輩の呼び方に合わせれば、問題なかった。天使のような先輩のモノマネをするべきでした。がくりとうな垂れます。

「怒ってねーよ。何重にもパスワードかけますって」

 怒ってなかったら、『怒ってませんよ』って、言わないじゃないですか?

「やけに下を見ていたりするので、落ち込んでいるのかなって思ったんす。」

 きりっと表情を整えながら、ニーミギルド長を見ます。

「睨まなくてもいいだろう、いいでしょう」

 顔の皮膚が突っ張りすぎました。お肌に合わない石鹸で顔を洗ったみたいです。ニーミギルド長の目も鋭くなってます。目を見て話せと、中学の先生で誰かが行っていたので、ニーミギルド長の瞳をじっと見ます。

 ニーミギルド長は視線を逸らしました。ビールで顔を赤らめて、だらしな片側に体を傾かせながら、椅子に座ってます。

 メッチャ浅く腰かけて、背中側に透明なクッションが入っているかのようです。

「ニーミギルド長。ギルドメンバーには見れるんじゃないですか?」

「うーんうーん」

 酔っ払えないはずなのに、唸り声を出して、天井をぼんやり眺めています。

「持ち出し可能で御座います」

 壁際で立つ、セバスチャンが教えてくれました。また、高校の入学式に、来賓をマイクの前で、紹介する教頭先生のように、恭しく例の運営さんが用意したような紙を出します。

 ニーミギルド長に喉アメを出せば良いのに。白い手袋で、紙を広げて読み上げます。

「恐れながら申し上げます。不遜ながら、天上界てんじょうかいのお言葉をそのまま読み上げさせて頂きます。同じギルドのメンバー様は、動画記録のダウンロードは自由です。なお、再現ドラマのDVDをご希望の場合は、21歳以上サーバー公式ホームページの、購入をクリックしてください。今なら特典として、拳銃、ワラサーP39を差し上げます、銃のカラーリングは黒とスノーホワイトを選べます。マスコットキャラはワラサークンです」

 ワラサーP39欲しい。『共トレ』に登場する架空の国、ワーラリア帝国です。ヨーロッパの某国に似ていると、一部では言われています。

 ワーラリア帝国軍が、一九三九年に正式採用した拳銃の名前です。雪や山間部も多い国です。首都はベルランです。

 『共トレ』では男性プレイヤーには一番人気の国のはずです。女性プレイヤーで、国籍をワーラリア帝国にする人少ないみたいです。

 やはり、女性に人気があるのは、アメリア合衆共和国です。戦闘服はどこの国も似たり寄ったりです。ですが、ベレーや、ネクタイスタイルの制服がおしゃれで良いです。

 ちなみに、国籍変更は課金すればノーペナルティーで行えます。銃も装備も国に限らず、どれでも使用できるので、現実世界と同じく、国籍の意味は薄いです。

 二十一世紀の半ばになって、日本に住んでる人も多国籍です。祖父が子供の頃は、日本では外国人の方が珍しかったそうです。

 天井を見上げながら、考えていました。

 どうして祖父を思い出したんだろう。

「本来ならば、GM自らが出席してご説明するところ、急用のため、私めが代読させていただきます」

 セバスチャンが、高校の入学式で、来賓として来てくれた市長さんの代理を務める、市会議員さんのようです。身内だから、GMって呼び捨てです。

「ご購入初回特典として、撃ち合いなどのシャワーや更衣室での再現映像は…・」

「セバスチャン絶対嫌です!」

 大声で立ち上がるネエネエ先輩。椅子の下にバネがあり、体が跳ね飛ばされたかのようです。そもそも、シャワーや更衣室行ってない。また、ありもしないフェイク映像を作るのか。

「再現される側のプレイヤー様、ご本人の承諾があった場合に限られます」

 紛らわしい。そっちを先に運営さんは、書いて欲しいです。大事なことを最後に書くか、最初に書くか、長い文章は、最初しか読まない人もいます。わたしは最後の小さな文字から、読みよう、両親からしつけられました。セバスチャンが頃合を見計らって、言葉を続けます。

「これは最後になります。21歳以上サーバーに限ってのことですが」

 セバスチャン、一字一句読んで、やっぱり、市長さんの代理の市議さんみたい。

 雑念を消しながら、固唾を呑んで、耳を済ませます。目を少し閉じてしまいました。思い出しました。

 同じ学年で、きょうだいか、姉妹が別の高校の在校生がいたんです。市長さん、ほかの高校の入学式にし出席していたそうです。美人メイドで、わたし役をしたモニカさん? セバスチャンに近寄り、メモをすっと差し出します。セバスチャンはメモを一瞥しました。

「失礼しました。少々お待ち下さい」

 メイドさんとセバスチャンは二人で、目配せしたり、唇を動かしています。聞き耳を立てますが、内容は聞き取れません。セバスチャンの涼しい顔は、大事そうなことあったと予感させます。

「あとはメイドのモニカより、ご説明申し上げます」

 ほかの高校で挨拶終って、急いでやって来た市長さんと代理の市議さんが、交代するかのようです。

 モニカさんは、凜と済ましています。片手を挙げ指をぴん立てる指は、顔の横で、掲げているみたいです。

「みなさん、21歳以上ですから申し上げますが、ご本人の同意があった場合は、ピンク色な展開のドラマ映像も作れます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=843323166&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ