ゲーム内の防犯カメラ? の記録をもとに再現ドラマでセクハラを確認します。
大きなモニターが楕円卓に座る、アバター全員から見やすい、壁際にセバスチャンの指示で置かれます。
「ねえねえ、セバスチャン、ギルド内での私の行動を再生して」
ネエネエ先輩は、目を腫らしながら、掠れた声です。盗人猛々しいとは、こういうことを言うのでしょう。超がつくほど、ムカツクので、わたしも、正々堂々と椅子に腰を深く下ろし、腕組みします。
「セバスチャン、ログインしてからの、わたしと先輩の行動をできる限り、再生してください。どちらが嘘つきかはっきりします」
「畏まりました」
セバスチャンは眉一つ動かさず、モニターの横に立ち、リモコンで再生し始めました。その少し後ろで、三人の美人メイドさんたちが、等間隔で立っています。
セバスチャンはハーレム状態です。
***
ログインした直後の様子は、ギルド本部設置の防犯カメラでは見えません。ログインしたのが街中だからです。
従って、NPCメイドさんによる再現ドラマになるそうです。
モニター後ろに立っていた、メイドさんが三人が一糸乱れず、同時に気品ある一礼をして、煙のように消えます。
大きなモニターには、Tシャツと青いデニムの短パン姿。足元はサンダルのわたし役の、美人メイドさんが映っています。
Tシャツの色が黄色で違いますが、字幕が出ます。「プレイヤーさまのログイン後の記録にもとづいて、プライバシーの配慮し、AIが脚色を加えた再現ドラマです」とお断り書きが出ます。
オープニングは始まります、音楽はアニメ版『共トレ』の主題歌です。背景は、ほぼ一緒のようです。アニメ版のヒロインや主要登場人物は、一切出ません。
主題歌は似た音域の、お名前を存じない歌手さんが歌っています。著作権などの関係でしょう。多分。
ネエネエ先輩役は、アメリカ軍風の、カーキを基調とした砂漠用迷彩服を着用した美人メイドさんです。軍用ライフルを両手で体の前で持ち、無人の砂漠を走っています。
突然立ち止まり、目のも止まらぬ速さというより、画面が切り替わりました。
大樹の陰で、敵を待ち伏せするようです。息を殺して隠れています。おなかの前で銃を両手で、持っています。迷彩服の上からでも分かる、豊かなバストと一緒にアップになります。
わたし役が映ります。美人メイドさんです。Tシャツに短パン姿で、オープンカータイプの四輪駆動車を運転しています。いきなり、人が誰もいない海辺の砂浜でで、砂煙を上げながら止まります。
カメラはブレーキを踏む靴の裏近くから、映しています。膝小僧や、白い太ももが強調されて映っています。
立ち上がったわたし役は、運転席のシートの上で仁王立ちをしています。ローアングルのカメラで、開いた両足の間から、床から上に立つ、ポールのようなモノが見えます。
わたし役のヒップや太ももが、カメラの視界を遮っているみたいです。間髪を容れずカメラ視点が変わります。
上空は美しい青空で、白い波が押し寄せる砂浜です。マシンガン装備の四輪駆動車と、わたし役が、逆光でシルエットになっています。
わたし役のアップになりました。最初は胸から上だけ映っています。鏡で自分を見たときよりも、胸が大きいです。運転席と助手席の間に支柱があり、そこにマシンガンがあります。さっき見えたポールの正体です。
わたし役のメイドさんが、四輪駆動車の後部座席に立ち、マシンガンを構えました。
銃口真正面から捉えた、わたし役の顔と銃口のアップでオープニングが終ります。わたし役の鋭い視線は、少し怖いです。
明らかに付け睫毛っぽく、現実なら校則違反です。少なくとも、中学校では、美容整形は校則違反に問われませんでした。中3の夏休み終って鼻筋が通っていた女子同級生に、誰も何も言いませんでした。
わたしは担任の先生と進路相談で二人きりになったとき、その子の名前を挙げ、美容整形受けたんじゃないですか、つけ睫毛やお化粧は校則違反なので違反です、とチクりました。しかし、全然相手にせず、赤沢学園第二高校。略して赤沢二高の募集案内を渡されました。
その女子は、赤沢二高の推薦入試希望らしい、と聞いたので校則違反を理由に、足を引っ張りたかったんです。
イラだつ記憶より、今はオープニング映像に集中します。
AIの作った脚本は、わたしのTシャツに青デニム短パン、サンダルと言う、夏の朝、ゴミ出しするような服装に配慮してくれました。夏の砂浜と言う場所を、考えてくれたのでしょう。
オープニングは、まだ続きます。アニメ版『共トレ』の主題歌を歌ってくれた歌手に似た方が、アバターとして登場しました。
顔が似ている別人です。近所のスーパーとかでやってる、そっくりさんのモノマネショーのようです。これも多分、肖像権とかいう権利関係でしょう。
ステージの中央で、ピンク色の迷彩服着用です。オープニングテーマを歌っています。
後ろに女性ダンサーさんたちがリズミカルに踊っています。わたし役とネエネエ先輩役は、目立つ左右の一番前で、両足をめっちゃ開いて、腰を床近くまで落とたりして、華麗なダンスを踊っています。
また、画面が切り替わります。わたし役とネエネエ先輩役が、四人乗りかな? プロペラ式飛行機の操縦席に、横に並んで座っています。
ぶーんとプロペラが爽快な音を立て、青空を旋回しながら、白色の飛行機が悠々と楽しそうに、宙返りをしています。飛んでる間は、操縦席がアップになりません。パイロットの顔は目を凝らしても見えません。『共トレ』で、プレイヤーは、飛行機を操縦できないのに。いえ、乗り物として飛行機ないのに。脚色しすぎです。
上は濃い緑のタンクトップで、下は迷彩服のネエネエ先輩役が、不機嫌そう歩いています。ブラジャーしてないかのように、胸は上下に揺れます。大きな立派な赤レンガ造りの、屋敷を後にしました。
扉は振り向かず、手でバタンと乱暴に閉めています。『共トレ』内での、ネエネエ先輩の不良っぷりが分かります。『共トレ』内で、いかがわしいことをした後でしょうか?
余裕かましてゆっくり、路上を歩いています。いきなり手榴弾を取り出しました。
投げる方向を見ようともせず、後ろにぽいっと放り投げます。手榴弾は、見えない糸で引っ張られように、無用心に少しだけ空いている窓の隙間に入りました。
いきなり、背後で大爆発が起きます。赤レンガの屋敷は全ての窓が、粉々に吹き飛んでしまいました。
ネエネエ先輩が出てきた木製のドアまで、無残になくなっています。
背中から爆風を受けても、ネエネエ先輩役は髪が揺れるだけです。頬に触れた髪を指先で一払いしながら、表情ひとつ変えずに歩いています。転べば楽しかったのに。ゲーム内ならネエネエ先輩、絶対伏せるか、びっくりしてるはずです。
いえ、ネエネエ先輩の残忍な本性を、映像は強調してくれました。
わたし役が、マシンガンを片手に、納屋みたいな建物のドアを蹴り空けます。課金した高いブーツでもケガと判定され、ヒットポイント減るはずです。
わたし役は、納屋の中で顔を巡らして、探し物をしているようです。納屋には、長い草が多く寝れるくらい、びっしり置かれています。謎の草です。都市部で生まれたわたしには、『共トレ』でその中に隠れる以外の、利用目的を知りません。
わたし役が、いきなり、マシンガンの先で草をかき分けだしました。あった! というような顔がアップになります。
開いた口は、歯並びが良く、真っ白な歯を、強調するようです。
時限爆弾を見つけたようです。『共トレ』で使われる、丸い円筒形の爆薬が数個並んだ、四角い時限爆弾です。デジタル時計で時間が示され、赤と青の配線がヘタで外側に少し飛び出ています。
電子レンジのように残り時間が、表示されています。その下に電卓のような、数字を押すボタンが並んでいます。共トレ内では、時限爆弾はこれが共通デザインです。
時限爆弾は、「やあ、見つけてくれてありがとう、ボクが時限爆弾だよ」と、言いたげです。
わたし役が、マシンガンを床に置きます。床にある時限爆弾に顔を近づけ、前のめりになります。
いきなりカメラが、這いつくばる、わたし役をお尻側から撮影しています。背中を逸らし、青いデニムのヒップ突き出ています。恥ずかしいです。すぐに映像は切り替わってくれました。
わたし役の顔とTシャツの襟から谷間が見えます。胸のボリュームがあり、まあそこは大目に見ます。
時限爆弾の残り時間は数秒です。わたしなら解体するのにに余裕な時間です。ですが、わたし役は違うようです。
みっともなく真顔になり、時限爆弾の解除パスワードをゆっくり押してます。
残り時間1秒で時限爆弾の時計が止まります。『共トレ』のベテランプレイヤーなら、残り1秒から解体作業しても、余裕っす。




