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いざ“撃ち合い”へ

***


 撃ち合い部室では、壁かけ式モニターがありました。それでエリアを選べます。

 どのエリアも、リアル過ぎです。倉庫を模したエリア、空港ターミナル風、美術館風、砂漠風などなど。

 どれも本物みたい。

 モニターに映る光景に目を奪われ、撃つ想像をするだけで、快楽となり、脈が早くなります。

「凄いです!」

「強豪校に比べたら貧弱な設備なんだ」

 ネエネエ先輩は肩を竦めています。

「ねえ、どこが良い?」

「美術館風です」

 わたしは即答しました。絵や陶芸が飾られ、インテリアがオシャレだからです。美しいものを、流れ弾で壊すことを想像しました。体が芯から熱くなります。

「オーケー、じゃあ、美術館風で撃ち合おう」

「はい」

「美術館風で大事なのは、美術品もどき、銃で撃たれても壊れないから」

 知ってるけど残念です。


***


 ロッカー室で、いつも持ち歩いている迷彩服に着替えます。灰色を基調とした都市用迷彩です。

 気合が入ります。中学3年のときに大きめを買ったのですが、少し胸のあたりが、キツくなっています。

 マシンガンを手にします。落とさないよう、スリングを通します。

 ネエネエ先輩は、長い睫毛をぱちくりさせています。

「ねえねえ、いつも持ち歩いてるの」

「はい、いつもです」


***


 ヘルメット、防弾チョッキ、プロテクター、フル装備です。ネエネエ先輩はロッカーから出した装備を身につけていました。もちろん、予備武器の拳銃とナイフも装備します。

「うんうん、似合ってる! いつもマシンガン持ち歩いてるから、使い慣れてるでしょう」

「え、先輩こそ似合ってます。わたしなんて…」

 自分のウエストを見下ろせば、溜息が出ます。先輩のスタイルに遠く及びません。

 一部の壁に鏡が貼り付けられています。その前で先輩と互いに顔を合わせます。事故がないよう、入念にチェックをします。

「背中見せてくれる」

「はい先輩」

 両腕を水平に伸ばしながら、くるっと半回転しました。ネエネエ先輩が背中を触ったりしています。

「わたしもチェックして」

「はい、分かりました先輩、失礼します」

 ネエネエ先輩は、すらりと長い足を開きます。わたしは屈み込みました。コンバットブーツを目視で確認していました。

「あははは」

 突然、ネエネエ先輩が笑うので、見上げてしまいます。

「どうしたんです」

「だって、ほら、頭から確認する人多いでしょう」

 人による。どっちでも一緒だろ、怒りが沸き上がりますが、頬をわざと綻ばせました。先輩だからです。

「そうですね」

 上目遣いに見ても、先輩は憎たらしいほど美人です。腰を上げ、ヘルメットや胸当てを、手でチェックします。気恥ずかしい空気が流れます。先輩も瞳を泳がせ、頬がほんのり染まっています。

「背中見て」

 ネエネエ先輩はすっと回れ右をして、後ろ髪がふわり揺れます。背中の装備もバッチリです。スマホの電源は、オフにします。

「先輩確認しました、異常ありません」

「じゃあ、美術館風エリアに行こう」


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