11 迎撃戦、終結
よかった、間に合った──。
優勢だと思っていたヴルムさんたちだけど、魔獣はどうやら異常なまでの生命力を備えていたらしい。
斬っても斬っても復活し、それどころかますます元気になる魔獣を相手に、ヴルムさんたちは次第に苦戦していった。
ちょうどそこで、俺が【ブラックホール】の有効射程まで到達し、魔獣を吸いこむことができた、というわけだ。
と、
ぴろりーん。
スキルレベルアップを示す祝福音が鳴る。
────────────────────
スキルレベルアップ。
究極スキル【虚空の封環】がLV8になりました。
スキル効果に【常時発動防御モード】が追加されました。
【常時発動防御モード】を使用しますか? YES/NO
────────────────────
なんだ、新しいスキル効果か?
スキルの力で俺を常に守ってくれる……ってことだろうか。
「『YES』だ。効果発動してくれ」
────────────────────
術者の意志を確認しました。
防御モードON。
以後、術者の新たな意志を確認するまで、このモードを続行します。
────────────────────
中空にそんなメッセージが現れた。
「マグナくん、助かったわい」
「感謝する」
ヴルムさんとブリジットが声をかけてきた。
「二人とも無事で何よりです」
俺は笑顔でうなずく。
「しかし、君のスキルは大したもんじゃ。あれは魔法か?」
「いえ、あれはあくまでもスキルで……」
もともとは単なる【落とし穴】だった、なんて言っても信じてもらえるだろうか。
元のスキルとはあまりにも威力が違いすぎて、俺もいまだに信じられないくらいだし。
「仮に魔法だとしても──SSSランク冒険者の魔法使いや魔法王国の宮廷魔術師クラスでも、あれだけ強力な魔法は操れないと思う」
と、ブリジットが俺を見つめる。
「君は何者なんだ?」
ヴルムさんもまた、俺をジッと見つめていた。
「何者って言われても」
天下のSSSランク冒険者二人から注視されると、なんとも緊張してしまう。
「俺はAランク冒険者、マグナ・クラウドです。それだけ、ですから」
他に答えようがない。
その後、俺はさっきと同じような感じで敵に武装解除を促した。
切り札である超魔獣兵を一瞬で倒された帝国兵たちに、もはや戦意は残っておらず、こちらもあっさりと捕縛完了。
帝国の侵攻に対する迎撃戦はこうして終わりを告げた。
そして──俺は海水浴での魔獣退治と、今回の迎撃戦の功績で王様から褒賞をもらった。
勲章やら称号やら名誉になるものもあったし、金ももらった。
……余裕で一生遊んで暮らせるレベルの金を。
あと、仕官も勧められたっけ。
「どうせなら、騎士団に入らない? 君が来てくれれば、我が国は百人力──いえ、百万人力よ」
シャーリーも熱心に誘ってくれた。
だけど、
「とりあえず今は、冒険者が性に合ってるから」
という理由で断ってしまった。
キャロルやエルザと一緒に冒険生活……っていうのが、当面の俺の生活だ。
今は、それでいい──。
次回から第3章「九尾の里編」になります。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
また、感想やブクマ、評価ポイントなどいつも励みになっています。
引き続きよろしくお願いいたします<(_ _)>





