表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/168

6 勇者と冒険者1

「俺の隠蔽魔法が効かなかったのか……?」

「ざんねーん。俺は索敵が得意なのさ~」


 少年の姿をした超魔戦刃(イクシードソード)が自慢げに胸を張った。


「目的はなんだ? 四天聖剣とSSSランク冒険者がそろっている以上、単なる偵察などではあるまい。おそらくは──」


 二十代くらいの青年の外見をした超魔戦刃が告げる。


「勇者ベアトリーチェの奪還か」

「……分かっているなら隠す必要もないな」


 リオネスが前に出た。


「ここからは『潜入』ではなく『侵攻』になるか……まあ、こそこそ隠れながら進むのは性に合わん。お前たちを斬り捨て、さっさと先へ進むことにしよう」

「やってみなよ。このラウルが君の攻撃をすべて見切ってやるからさ~」

「ラーバスだ。皇帝陛下の元にお前たちを通すわけにはいかん。お前たちを一人残らず殲滅する」


 名乗る二体の超魔戦刃。


「『水』の四天聖剣(セイクリッドエッジ)、リオネス・メルティラート」


 リオネスが名乗り返した。


「すべてを切り裂き、滅ぼせ、ガブリエル──滅殺形態(スレイヤーフォーム)


 手にした長剣からまばゆいスパークが散った。


「すべての神気(オーラ)を破壊能力に特化させ、刀身にまとわせた形態──これを出した以上、お前たちの死は決定された」


 敢然と告げる四天聖剣の勇者。


「待て、ここは地下遺跡だ。地盤も脆いし、火力が高い技を使ったら崩落する恐れも──」

「お前に言われずとも分かっている」


 クルーガーの忠告にリオネスは鼻を鳴らした。


「巻き添えを食わないよう下がっていろ。他者の助けなどなくとも、私一人で十分だ」

「あ、ずるーい。ボクだって戦うよ~」


 と、レイア。


「私は『最強』の一族に生まれ、その『最強』を継承した存在。誰が相手だろうと、負けることはない。負けることは許されない」


 リオネスが進み出る。


 己の力量に対する絶対的な自信、そして誇り。


 同じく『最強』を体現するマグナとは、まるで違う──。

 キャロルはそう感じていた。


「いくぞ、改造兵士ども」


 リオネスが高速で移動する。


 ザイラス流剣術を駆使して、一瞬にして二人の超魔戦刃に肉薄した。

 戦士ならぬキャロルには、まったく捉えられない超高速移動。


 まるで瞬間移動だった。


「さすがに速いね~」

「ちいっ」


 ラウルもラーバスも剣を抜いて切り結ぶが、すぐに押されてしまう。

 真っ向からの斬り合いならば、やはりリオネスに分があるのだろう。


「ラウル、捕まれ」


 と、ラーバスが少年を抱え、大きく跳び上がった。

 その背から翼が出現したかと思うと、遺跡の天井スレスレ──十メートル近い高度で浮遊する。


「飛行能力か」


 リオネスがうなる。

 剣から水流の弾丸を放つが、ラーバスはラウルを抱えたまま、それらをやすやすと避ける。


「ちっ、あまり火力を上げて遺跡を崩すわけにもいかん──」

「なら、俺の出番だな」


 クルーガーが進み出た。


「手を出すなと言ったはずだが」

「仲間だろ、今は」

「……仲間、だと」

「空への攻撃手段なら、あんたより俺の方が多い。選手交代だ。レイアと一緒に、まずは奴らを落とす」


 鼻を鳴らすクルーガー。


「落とすだと」

「ああ、だから奴らが地上に落ちてきたら頼む。地上での戦闘能力はやはりあんたが最強のようだからな」

「だね。ボクもさすがに君には敵わないかな。さっきのちょっとした攻防だけで分かっちゃった」


 と、レイア。


「四天聖剣、伊達じゃじゃないね~。だけど、この局面ならボクにもやれることがありそう」


 妙に嬉しそうだ。


「俺たちはあんたの強さを信じる。だから、あんたも俺たちを少しだけ信じてくれ」

「……お前たちの力を見てからだ」


 リオネスは言いながら、一歩下がった。


「あんた、打ち解けやすいタイプじゃないけど……自分の強さや立場への誇りってのは、なんとなく分かる」


 クルーガーがニヤリと笑う。


「だから、嫌いじゃないぜ。あんたみたいな奴──『ウィンディプリズナー・ランク7』!」


 放った風が二体の超魔戦刃にまとわりつく。


「う、動けない……!?」

「俺のオリジナル拘束魔法だ。七重にかけた風魔法で対象を抑えこむ──超魔戦刃だろうと、簡単には抜け出せねーぜ」


 得意げなクルーガー。


「やれ、レイア」

「りょーかいっ」


 うなずいた武闘家少女が、「ひゅうっ」と細い呼気を吐き出し、跳び上がった。


 一気に十メートル近くの高さまで。

 特殊な呼吸法で己の身体能力を一時的に倍加させて戦う、気功武闘法(きこうぶとうほう)だ。


「はあああああああっ!」


 気合とともに拳が、蹴りが、流星の勢いで二体に叩きこまれる。


「ぐ、ううっ……」


 押し切られ、落下するラーバスとラウル。


「地上にさえ落ちれば!」


 そこへリオネスの斬撃が叩きこまれた。

 なすすべもなく二体は両断される。


「……よくやった」


 剣を収めてリオネスが告げる。


「思っていたよりも、かなりやるようだ。見識をあらためさせてもらう」


 と、小さな声で付け加える。


「あ、ちょっと照れてるのです。ツンデレさんなのです」


 キャロルがすかさずツッコんだ。


「素直じゃないわね、もう」


 微笑むエルザ。


「──さすがにやるね~!」

「なるほど。これが四天聖剣とSSSランク冒険者の実力か」


 真っ二つになったはずの二体が、起き上がった。

 いつの間にか元通りの姿で。


「だが我らも皇帝陛下より新装備を与えられている。簡単にはやられん」

「今度は俺たちのターンかな~!」


 超魔戦刃たちの体から青黒いオーラが立ち上った。

「面白かった」「続きが読みたい」と思っていただけましたら、感想やブックマーク、最新話の下部にあるポイント評価を押していただけると励みになります(*´∀`*)


日間ランキングでの10ポイントはとても大きいので、ぜひよろしくお願いします~!

※ポイント評価欄は最新話の広告の下にあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼書籍化作品です! タイトルクリックで小説ページに飛べます!▼

☆黒き剣帝 元最強のアラフォー全盛期を取り戻して無双ハーレム

▼ノベマ限定作品です。グラスト大賞に応募中! 応援していただけたら嬉しいです!▼

☆冴えないおっさん、竜王のうっかりミスでレベル1000になり、冒険者学校を成り上がり無双

なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~ (゜ロ゜;ノ)ノ
あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!

モンスター文庫様から2巻まで発売中です! 画像クリックで公式ページに飛びます
eyrj970tur8fniz5xf1gb03grwt_p5n_ya_1d3_y





ツギクルバナー

cont_access.php?citi_cont_id=314270952&s

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ