表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あのさ?

作者: 起石 隼

「あのさ?」


日曜の午後だった。

リビングのソファベッドに寝そべっていた姉が声をかけてきた。


「昨日プリン買ってたじゃん?」


そう、何を隠そう俺の脳は基本糖分に飢えている。

それを日々補うはこのキャラメルに満ち満ちた楽園エデンであり、内包された魂を解き放つ最高のアクティビティ――――


「食べちゃった」


「はあァァアあああああん!!? 何やってくれてんのォォオ!?」


衝撃だった。

あのプリン無くして俺はどう生きる? 嗚呼報われぬ500円。

姉はそれだけ言ってスマホをいじっているばかり。

その唐突さに俺は毎回振り回されているワケで――――



「あのさ?」


5分ほどして再び姉が口を開いた。

何とも言えない間が14秒。何数えてんだ、俺は。


「ゴリラ、好きだよね?」


「・・・・・・・・・・・・は?」


「好きだよね?」


「・・・・・・いや?」


改めて断っておこう。チワワの可愛いさに勝る生物などいない。

むくり、と起き上がった姉はニマニマと笑って一言。



「買っといた」



・・・・・・・・・・・・あっ、プリンどうこうじゃないわ。バカだこのヒト。



「いやー良い買い物したわぁ」


良かねぇよ。なんか玄関の方からウホウホ聞こえるんですけど?

下手なジャーマンよりダメージがあるんじゃねコレ?



さっきはけっこうハードな部類が来てしまった。

けれど、まだ油断は出来ない。

姉のことだ。きっと特大のオチを用意しているに違いない。


「あのさ?」


ホラ来た。よし来い。

もはや俺の精神力はカンスト近く鍛え上げられているに違いない。


「どうかした?」



「NASAに受かったんだけどさー?」



前言撤回。


「明日から宇宙行って来るわー」


「待って急転直下すぎひん? え?」


「あ? お?」


「なんでちょっとキレてんのさ?」


常に予想を上回る。それが姉という存在である。




「つーワケで今から寝るから。明日起こしてー」


のそのそと部屋に戻っていく姉とその背中を見送って、彼女の告白は終息した。

今のこの気持ちは安堵に違いない。

けれど、しばらくは聞けないとなると逆に寂しいところもある。


「振り回されっぱなしだな、俺も」


おっと、うだうだしてはいられない。

もうじき妹が買い物から帰ってくるはずだけど――――



「ただいまぁ―――!! マサ兄蹴っていい―――?」



「・・・・・・勘弁してくれ」



お粗末様でした(-_-;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ