4粒目 憑依してたやつ覚醒
「デカいですねー。しかも太いですね」
おっさんは大森林を境界線から真逆の方向に、進み出した。
その先は、世界樹がある。
「ん?なんだか息苦しくなってきましたね」
いくら、神の力で強化されているとしても、所詮は人間。世界樹の出す魔素に反応していきます。
「うーん。頭痛が」
普通の人ならば、ここで死んでもおかしくない程の量を浴びても、せいぜい、頭痛で済んでいる当たり、おっさんの肉体が超人的であることがわかる。
「それにしても、静かですね。森なんだから、ギャーギャーワーワー騒いでもいいのでは?」
そんなような事をブツブツ呟きながら、歩くおっさん。傍から見れば、ただの変人だと思われる。
「このツアー。いつまでなんでしょうか?」
異世界転移をツアーだと思い込んでいる、ラノベ系完全無知なおっさん。
グルルルゥゥ
そして、そこまで離れていないところから、おっさんを狙っている狼の様な魔獣。(主に獲物として)
典型的なウルフさんである。
「あでっ!」
前方不注意による、木の根に足を引っかけ、豪快にすってんころりんするおっさん。
そんな絶好のチャンスをウルフさんが待つはずもなく、襲いかかって行った。
「ぬぁ!?狼?でか!こわ!やば!」
あまりにも非現実的なことが起こり、強制的に意識をシャットダウンさせたおっさん。
(いよっしゃ!俺の出番や!)
そして、不意にとんでもない速度で動き出し、ウルフの顔面めがけて、正拳突き。
そして、爆破四散するウルフ。
(うわー。グロイな。手にも血がついてるし)
このおっさん。遂に二重人格に目覚めたのか!?
いいえ。この人は、真壁雪哉。
こいつは、おっさんの身体に憑依してきた、ラノベ大好き人間。
享年16歳。死因、トラックに跳ねられ、即死。跳ねられた瞬間、転生来い!と願っていた痛い人。かわいそうに。
それを無念に思い、あちらこちらに憑依して、転移か、転生来ないかなー?と眺めていた。おっさんに憑依して、グースカ寝ていたら転移していた!ぐらいな感覚である。
しかし、所詮は幽体。大きな影響力も無かった。
それで、傍観していたところ、おっさんが気絶し、操れるようになった。
それで、その流れに乗って、ステータスを見たら、こう言った。
(チートキタコレ!はい!俺無敵!異世界無双!)
で、さっきの場面に戻る。
《スキル『徒手空拳』を獲得した》
《レベルアップ!》
《初レベルアップ記念!KPS(神様ポイントステータス)を10貰った!》
(スキルって、手に入りやすくない?それに、神様ポイントステータスとか、ふざけとるやんw w w草生えるわ)
このポイントはステータスを水増しするためのものである。なので、比較的重要な部類に入る。
(そういや、『魔法創造』なんかもあったよな。やってみよ)
『魔法創造』
1.名前を記入
2.効果を記入
3.エフェクトを記入
4.特殊な効果を記入
5.想像しなさい
6.出来たー 的な?
(なんで最後が、的な?で終わるんだよ!?まぁいい。ではいざ!)
『魔法創造』
1.名前を記入 とにかくやばいやつ
2.効果を記入 とにかくやばい
3.エフェクトを記入 ドーンってなって、ばこーんな感じ
4.特殊な効果を記入 とにかくやばい
5.想像しなさい 無理ゲー
6.エラーが発生しました
(うぁれぇ!?出来ないぞー?)
こいつ、わかっててやったな。
(今度は真面目に)
『魔法創造』
1.名前を記入 RPGランチャー
2.効果を記入 敵に超絶ミラクルダメージ
3.エフェクトを記入 デデーン☆
4.特殊な効果を記入 フレンドリーファイアなし
5.想像しなさい デデーン☆
6.主神から不許可されました
(主神って誰?ふざけんニャー!素晴らしい魔法だろ!破壊力抜群の)
(仕方ない。再チャレンジだ!)
『魔法創造』
1.名前を記入 レーザービーム
2.効果を記入 貫通型極太レーザー
3.エフェクトを記入 ビュィィィィン的な
4.特殊な効果を記入 フレンドリーファイアなし。物体貫通
5.想像しなさい ビュィィィィン的な何か
6.主神から不許可されました
(主神ひど!何こいつ。いつかケツバットしてやる!)
『魔法創造』
1.名前を記入 エクスプロージョン
2.効果を記入 某有名なアニメのやつ
3.エフェクトを記入 某有名なアニメのやつ
4.特殊な効果を記入 某有名なアニメのやつ
5.想像しなさい 某有名なアニメのやつ
6.著作権に関わるので却下
(なん…だ……と?)
『魔法創造』
1.名前を記入 終焉を迎えし叡智なる魔法
2.効果を記入 とにかくすごい
3.エフェクトを記入 とにかくすごい
4.特殊な効果を記入 とにかくすごい
5.想像しなさい とにかくすごい
6.出来るわけねーだろ!オタクがァァァァ!
(ヒィィィ!ごめんなさい!)
『魔法創造』
1.名前を記入 ファイナルスライムスラスラアターック
2.効果を記入 スライムが体当りして砕け散る
3.エフェクトを記入 スライムの体液が撒き散らされる
4.特殊な効果を記入 敵に鈍足の異常状態をつける
5.想像しなさい バッシャーン
6.スライム愛護団体に訴えました
(ウワァァァァァ!)
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甘みのあるブドウ
結局何一つできなかった雪哉。
盛大に笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑を送り付けましょう。
恵方巻きがうまかった