アテナの怒り
用語紹介
※ 本文では音数の関係上、名前表記の長音符「ー」に変化がつくことが多々あります。
(例) アテーナイアー
アテーナイア
・神々
ムーサイ
…… 芸術の女神たち。古代ギリシアの詩人は、叙事詩の冒頭で彼女の名を出す。
アテーナー(アテーナイアー/アトリュトーネー)
…… 知恵の女神。技術・学芸・戦略を司る。アテナイの守護神。多く甲冑をまとった姿で描かれ、力強い女神として知られる。また、処女神でもある。
アレース(エニューアリオス)
…… 軍神。こちらはアテーナーとは違い、戦略を用いず、単に戦争の残虐性を表す神として知られる。
アフロディーテー
…… 愛と美の女神。アレースとは男女の仲。浮気性で、神々はもとより、人間とのエピソードも多い。「パリスの審判」では、結婚の女神ヘーラー、知恵の女神アテーナーの二神と美を競い、人間のパリスによって「最も美しい女神」に選ばれる。
パッラース
…… ゼウスを始めとするオリュンポス十二神と戦って敗れたギガンテスの一神。彼を倒したアテーナーは、彼の皮を剥ぎ、それを使って自分の盾を作ったというエピソードがある。
・人間
パリス
…… トロイア(イリオス)の王子のうちの一人。「パリスの審判」当時は、彼が国を滅ぼすとの預言により王家を追い出された経緯により、イーデーの山で羊飼いとして暮らしていた。
・地名、国名など
オリュンポス
…… 主神ゼウスを始め、神々(オリュンポス十二神)が住まう高い山。
イーデー
…… 前述の通り、パリスが羊飼いとして暮らしていた山。
トロイア(イリオス)
…… パリスの父親プリアモス王の治める王国。
ギリシア諸国
…… ギリシアにはたくさんの都市があり、それぞれが王国として成り立っていた。
アテナイ
…… ギリシアの都市。
スパルタ
…… ギリシアの都市。
・出来事
パリスの審判
…… 前述の通り、人間であるパリスが、ヘーラー、アテーナー、アフロディーテーのなかから「最も美しい女神」を決めたイベント。アフロディーテーは、パリスが自分を選んでくれたということへの褒美として、「人間で最も美しい」と言われる美女ヘレネーを彼に与えるが、彼女はすでにスパルタ王妃であったため、ギリシア諸国が団結してトロイアに攻めよせることとなる。
まあ、あとは調べてください。
歌えよ歌の女神
彼らの歌を
たまにはいいだろ
こういう歌も
アテーナイアと
アレースの歌
人間どもの
知らない歌を
神々讃える
お歌もいいけど
人間どもの
戦もいいけど
たまには歌えよ
彼らの歌も
彼らのために
彼らの歌を
さてまず初めに
歌わにゃならん
アテーナイアの
怒りのもとを
そいつはもちもん
「パリスの審判」
知らないお人は
検索なされ
「ルーベンス」でも
なんとでも
検索ワードに
入れてみなされ
美しさ誇る
女神の争い
はっけーよいよい
勝負は決まった
イーデの山から
駆け去る女神
乙女の心を
胸に庇いつつ
目指すはどこか
ゆく当てもなし
遥かに望むは
オリュンポスの峰
遥かな海へと
沈む太陽
眼下のすべてが
哀しい朱に
不屈の女神
女神の瞳に
光り輝く
雫はブルー
木陰に人影
いや神の影
アテーナイアの
見逃すはずなく
梟の眼で
ガンを飛ばせば
姿を現す
軍神アレース
戦司る
非情の戦士
エニューアリオス
気まずく笑う
アテーナイアー
息を吸い込み
戦の神に
声荒げ言う
どうした軍神
エニューアリオス
アフロディーテが
構ってくれぬか
泡から生まれた
蒼蝿女が
美しいなどと
戯けたことを
お前のような
ドアホに抱かれ
果ては人間
誑かす淫乱女
そんなアイツの
勝利を余所に
お前は私に
殺られにきたか
エニューアリオス
怒れる女神に
薄笑い浮かべ
こう返す
ムキになるなよ
不屈の女神
そんなに自分が
愛しいか
清き処女にゃ
生涯わからぬ
蒼蝿女の
美しさ
お前も俺も
乱暴者だが
俺にはわかるぜ
大人の心
真っ赤な顔して
拳を挙げれば
なんにもわからぬ
赤子も顔負け
梟の眼に
輝き宿し
戦の神を
睨むアテーナー
こうなりゃアレース
抗う間もなく
硬い拳の
雨霰
神の血滲ませ
地べたへ伸びる
エニュアリオスに
アテーナー言う
馬鹿にするなよ
乙女の心
再び笑えば
容赦はしない
ギガース一味の
パラスのように
皮を剥がれる
お前が見える
それはともかく
エニューアリオス
間もなく戦が
始まりそうだ
アフロディーテー
パリスへ贈る
品物それは
スパルタ王妃
そうなりゃ必ず
スパルタ王は
イリオス目指して
兵挙げる
ギリシア諸国も
彼に味方し
兵を集めて
加勢する
もはや戦は
避ける術なく
我ら神すら
加わろう
そうなりゃ私は
ギリシアにつき
パリス野郎への
恨みを晴らす
もとより私は
アテナイ守護神
躊躇うことなく
ギリシア方だ
そこでお前は
どちらにつくか
アフロディーテの
パリスにつくか
それとも私と
ギリシアにつき
足手まといを
演じてみるか
それに答えて
エニューアリオス
爛れた唇
動かし笑う
お前は一体
どうしてほしい
処女の心は
俺にはわからん
とはいえ俺の
答えは一つ
戦が起これば
チャンス到来
お前はパリスへの
恨みを晴らし
俺の報復を
覚悟して待て
泣けど喚けど
時すでに遅し
俺はお前を
打ちのめす
こうして二神は
袂を分かち
大いなる戦
その幕開く
軍神アレスは
イリオス勢へ
アテーナイアは
ギリシア勢へ
それぞれ加わり
人間どもを
助け刃を
交えさす
神々の事情
露知らずして
人間どもは
加勢を祈り
感謝もしつつ
畏れつつ
勝利のために
野を駆け抜ける
ひとまず今宵は
これにてオシマイ
けれども歌えよ
まだまだ歌え
歌えよ歌の女神
たまには歌え
人間どもの
知らない歌を
神々讃たたえる
お歌もいいけど
人間どもの
戦もいいけど
たまには歌えよ
彼らの歌も
彼らのために
彼らの歌を