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天使になる為に…4

作者: アクア☆

 学生の頃からずっと…ずっと、片思いをしていた。今は社会人になって二年。恋と言う感情は学生の頃から止まってる。


 恋愛に対しては非常に奥手で、どうしょうもない程シャイ。


 男とはバカな話とか出来るのに、何で女の前だと…


 そんな僕が、一生忘れられない人に出逢った。



 それは…冬の雪の降る日の事…



 周りはクリスマスだ、サンタだって盛り上がっていた。僕はいつも通り仕事。今日は仕事が溜まっていて帰るに帰れない…。


『じゃ先帰るなぁ!クリスマスだぞ!』


『雪降ってるから気を付けてね。お疲れ様。』



“ホントにサンタなんかいるのかよ!それに今日はイブだよ、イ・ブ…”



 そんな事を思いながらせっせと仕事を片付けた。




 ふと時計を見ると…



11:05



 僕は背伸びをし、会社を出る事にした。



“どうせサンタなんかいねぇし!考えてみたらホワイト クリスマス イブだ…”



 会社を出て歩きながら携帯を見たら三件の着信履歴と二件の留守電が入ってた。それは…



9:13 貴大


 おぅ!まだ仕事してんの?呑もうと思ったんだけど…電話くれ!


 いかねぇよ…



9:20 実家


 お母さんだけど、女性の方から電話あったよ?学校の頃の同級生って言うから番号教えちゃったよ。たまには顔出しなさいよ。


 何でもかんでも教えんなって。オレオレ詐欺にあうぞ!



 でも、誰なんだろう…。おふくろ、名前とか聞かなかったんかな?


 そんな事を思いながら駅に向かって歩いていた。


 最後の履歴のみの番号…。


 少し不安だな…。遅い時間だけど家に電話してみるか。



 プルルル…



『もしもし?』


『あ、おふくろ?ごめん遅くに。』


『どおしたの?』


 おふくろの声…やっぱり暖かいよな。


『いや、電話番号教えたって留守電。あんま教えない方がいいよ。詐欺とかもあるからさ!』


 俺の事より詐欺とかの方が心配だった。


『そうそう、女性の方…何日か前にも電話あったよ?あんた…モテるのね。フフフッ。』


 モテないよ…


『まぁ、寒いから体気を付けなよ!おやすみ。』




 あ!名前聞くの忘れた…


 雪は時間がたつにつれ牡丹雪に。アスファルトにも積もり電車が心配だ。


 少し足早に駅に向かうと、事故か工事で通行止め。しょうがなく遠回りして…


 どうにか最終電車には間に合った。


 一息ついて椅子に座り携帯をチェック……留守電が一件。また気付かなかったのか…。



“さっきの履歴の番号と一緒の人だ!”



 僕はとりあえず留守電を聞いてみた。



『あ…ごめんねいきなり…。あの…ね………プーップーッ。』



 はぁ?電波?



 結局何もわからず、時間も遅いので明日電話する事にした。






 ……ブーブー…



 ん?朝だぞ…休み位寝かせてよ!


『もしもし?』


 その電話は高校の頃の仲間だった。


『ん、おはよ。久しぶりじゃん…はやくねぇ?』


『バカ!昨日の夜、琴美が死んだ!』


 ……。


『はぁ?朝から詰まんねぇ冗談言ってんなよ?』


『昨日駅近くで車に跳ねられ…。』




 琴美は、僕がずっと片思いだった女性。その事故があった場所は、僕が遠回りした会社のすぐ近くの道だった。


 朝の電話…その後どんな話をしたのかなんて全くわからない。ただ心が重かった。




 それが僕の人生最悪のクリスマスになった。




 琴美のお通夜、同級生達が集まり泣きながら御焼香をあげていた。僕も好きだった人だけあって…辛かった。


 その時、琴美の親友の子から聞いたんだ。



“琴美は前から僕の事が好きだった。”



 会社近くまで来たのはイブの日に、僕に逢いに来た。親友とその事を琴美は話していたんだ。


 琴美も僕と同じ奥手なタイプで言えないで親友に相談してたみたいだ。


 親友の子に言ってもしょうがないけど、僕も琴美が好きだったんだって…




 両思いだったんだね…。




 そぅ思った時、こみ上げてくるものが一気に溢れ出した。




 最後に琴美の笑顔に……






“琴美?好きだよ…ありがと”







 琴美の存在は、今も僕の中で生き続けている。




 ずっと…





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― 新着の感想 ―
[一言] しんでも 心は伝わるよ....
[一言] このシリーズの1から4中で、一番楽しめた作品でした。 ただ文章のせいなのか、男性視点でありながら女性的な印象を受ける作品だと思います。
[一言] このシリーズ1〜4まで読ませてもらいました。 1と2は死んでしまった“僕”の彼女と妹で、3は既に死んでしまっている彼女に対して、4はまさに今、死んでしまった彼女の話ですね。 それぞれ、しっか…
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