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番外編 眠れないの

某羊でおやすみCDを聞いていて思いつきました。(どのverかは想像に任せます)

ちいが幼いころにプールの合宿の夜のひとコマです。


「ほらっ、皆寝る時間だぞ。早く寝ないと明日から大変だぞ」

消灯時間。点呼を取りにきたコーチがドアの側のスイッチを消して一気に暗くなる。

合宿2日目。いつもとは違う環境で過ごしたせいか、少し疲れが体に残っているけど、

違うことで眠れない。

「はーい」

「おやすみなさい」

私達は口々にお休みの挨拶を布団の中からした。

「はい、おやすみ」

パタン。ドアが閉まる音が聞こえた。遠くなる足音。暫く来ないだろう。



「とも…起きてるか?」

私の隣のひで君が私を呼ぶ。

「うん、起きてるよ。皆は?」

「真紀ちゃん寝てる。体力ないからね」

「私は起きてるよ。いつもだって皆起きてるでしょ?」

そうやって聞くのは、薫ちゃん。確かに何時もの練習だったら家に着いた位だ。

「確かに。早くて10時だものな」

「そんなに簡単に眠れるかよ」

私達の部屋は3年生が男女一緒になって眠っている。総勢10人。

幼稚園の頃から同じコースで練習しているから気心は知れている。

私の隣はひで君でひで君の隣は隆君だ。



「とも…腹這って外を見てみなよ」

ひで君に促されて私はうつ伏せから腹這いに体制を変える。

そこにはあふれるばかりの星が瞬いていた。

「すごぉーい。いっぱいだね」

「うん。これだけ凄いからお姉ちゃんに頼んで星座早見盤借りたんだ」

ひで君は明日の着替えを下に隠してあった星座早見盤を見せてくれた。

「天の川見れるの?」

「とも、天の川は七夕じゃなくても見れるんだよ」

高校生のお姉さんのいるひで君は私が知らないことを教えてくれることも多い。



「だったら、天の川みたい」

「皆が寝てからならいいよ。結構皆疲れてると思うんだ」

「うん。私達はお昼寝したから平気なのかな?」

「多分な」

午後の自由時間。皆は外で遊んでいたみたいだけど、私とひでくんは学校の宿題をやってから部屋に入る風が気持ちよくってつい昼寝をしてしまった。

徐々に聞こえてくる寝息に誘われるように皆は眠りに付いていくようだ。

自由時間にしっかりと遊んでからびっしりと2時間の練習。

午前中もマラソンして、2時間の練習。今日だけで5キロ位泳いだらしい。



「皆…寝たみたいだな。起きてみようか」

ひで君に促されて私達は静かに起き上がる。

「本当だ。皆寝てるね」

「おいで」

ひで君に手を取られて私はベランダの側に移動した。

「すごいねぇ」

「本当だな」

ひで君の星座早見盤を片手に私達は星座を探している。

「夏の大三角形って知ってる?」

「分かんない」

ひで君に聞かれて私は知らないから素直に答える。




「分かった。天の川は分かる?」

ひで君は私の手を取って天の川を指さす。

「あっ、分かった」

「天の川の側にあるのが、こと座のベガ」

ひで君は早見盤を見ながら私の手を取って教えてくれる。

「キラキラしてるね」

「ここは高原だからだろうね。で、天の川の向こう岸にあるのがわし座のアルタイル」

「ねぇ?どっちがおり姫になるの?」

「確かね。ベガの方。アルタイルがひこ星だよ。不安だから明日コーチに聞くね」

「うん。三角形のもう一つって?」

「それは、もっと上の方に光っている星があるだろう?そう、もっと上」

ひで君は私の手を上に上げていく。明るい星が一つあることに気がついた。

「あれ?」

「そう、はくちょう座のデネブ。これを結ぶと三角形になるだろう?」

「本当だ。すごいねぇ。ねぇ、もっと下の方の赤い星は?」

三角形の下の方にある赤い星に気がついた私はひで君に聞いてみた。

「あれは、さそり座のアンタレス。凄く目立つ星だね」

「うん、きれいだね」

私達は手を繋いで暫く星を眺めていた。



「くしゅん」

「とも…布団の中で星を見ようか?寒いんだろ?」

「少しだけね」

「お前は体が丈夫じゃないんだから。今回は熱を出さないのが目標だろ?」

そうだ。体調が崩れるとすぐに熱を出してしまうのだ。

今回の合宿は全ての練習に参加したかった。

二人で布団に入り、枕をくっつけてから微笑み合う。

「皆寝ちゃったね」

「まだ10時なのにね。明日はオリエンテーリングで午後の練習は休みだよね」

「一緒に行こうな」

「うん」

「眠れない?羊を数えてみる?」

「それで眠れるのかな?交互に数えたらどうかな?」



「羊が一匹」

「羊が二匹」

私達は顔を寄せ合って、手を握って交互に数え始める。

私の手も温かいが、ひで君の手が温かくてホッとする。

「羊が三匹。先に寝たら困るから、お休み」

ひで君がおでこにキスをした。

「羊が四匹。私もお休みなさい」

私もひで君のおでこにキスを返した。

「羊が五匹」

「ひつじが…ろくひき」

「ひ…つじが…zzz」

ひで君が眠ってしまったらしい。お昼寝しても練習は辛かったものね。

眠った彼の顔を見つめてから私もゆっくりと目を閉じたのだった。



「お休み。明日も一緒にいようね」


何のCD聞いていたから、バレバレな状況ですね(笑)

子供らしいようで、子供らしくありませんね。


最終日にコーチが流星群を見せてくれました(ペルセウス座流星群)

思い切り消灯時間オーバーでしたけど、その前に天体観測したことは

今でもしっかりと覚えています。





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