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Parallel ちょっとだけ特別な週末

時は過ぎ…誰かと付き合い始めた倫子。


ある週末。帰宅後の倫子の家で、お家デート楽しんでいたら…急な大雨。

しかも停電。急遽お泊りに…。どうなることやら。


あえて、名前を表記しませんので、お好きな名前をお使い下さい。

「ただいま。どうぞ」

私は玄関のカギをあげて彼と共に自宅に入った。

「今日はおばさん達は?」

「ディズニーランドのツーデーだってさ。近くのホテルに泊まるって」

「ふぅん、寂しいか?」

「大丈夫よ。この子もいるから。ねっ、ビリー?」

私が戻ってきたことで、私の足にすり寄ってきたビリーを抱き上げた。

ビリーはのんびりとニャーンと鳴く。

「そっか。ビリーもようやく俺に懐いたものな」

ビリーは彼の懐に移動したいらしくて、私の腕から前足を伸ばしていた。

彼は私の腕からビリーを取り上げて、右腕におく。

「ビリー、ちゃんと掴まっているか?お前の部屋に行こうな」

ビリーは幼子が父親に抱っこされているような格好になっている。

相当ご機嫌で自慢の長い尻尾がパタパタと揺れている。

「もう、あなたはビリーには甘いんだから」

私が甘える前にビリーを甘やかす彼に少しだけ焼きもちを焼いていた。

「俺はビリーには甘いけど、それ以上にお前にはやさしいつもりだが?」

彼はそういうと左腕で私の腰を引きよせて掠めるようにキスをした。

「もう…ばか…」

火照った頬を押さえて私は部屋に上がっていった。

私が着替え終わるまで、彼はビリーと下で遊んでくれるのは分かっているから。



「お待たせしました。ところで、ビリーの部屋はいつから私の部屋は訳?」

「それはビリー専用の炬燵があるじゃねぇか。なぁ?」

彼は炬燵でビリーを足の間に子供が座るように座っている。

怖い位に馴染みきっている二人の姿を見て、私はくすくす笑った。

「何がおかしいんだよ」

「だって…ビリーとあなたが馴染みきってるんだもの」

「そうか。それはな、お前をビリーと一緒に共用しているからさ」

共用ですって?嬉しいは嬉しいけれども素直に喜べない。

「夕飯はどうするんだ?」

「スーパーに買いに行こうかなって思ってるけど」

「俺、今夜ここで食ってもいいか?」

「別にいいけど。ちょっとしたらスーパーに行こうか?」

「そうだな。少し休んでからにしような。ビリーはお留守番な」

ビリーは小さくニャンと鳴いた。



その後、スーパーに二人で買い物に行く。新婚さんの様に指を絡めるように手を繋ぐ。

「何か…緊張するな。恋人つなぎって」

ほんのりと耳が赤くなった彼がポツリと呟く。

「だったら、いつもの繋ぎ方でいいよ」

私は絡めた指をほどこうとしたが、逆に彼の手に力が入る。

「いいんだ。俺らの事を見せびらかしたい気分だから」

さっきよりも更に赤くなった彼が早口になって言う。恥ずかしいのに無茶する彼が可愛い。

「ありがと。大好きよ。でも熱があるようにみえちゃうよ」

私は信号で止まったから、背伸びをして彼の耳元で囁いた。

「そんなもの知ってる。さっさと買いに行くそ」

信号が青に変わって彼はさっきより歩くペースを少しだけ早める。

少しだけ意地悪な彼も大好きなのに…。彼の仕草で翻弄される自分を認識する。

今夜は何にしようかな?そんなことをぼんやりと考えた。



「今夜はどうする?カレーなら明日も食べれるぞ」

おば達は明日の夜に戻ってくるから、確かにカレーがあると明日の夜まで確保は出来る。

「そうだけども、あなたは辛いカレー食べれないから甘口でしょう」

「うるさいなぁ。だったらクリームシチューにするか」

「いい加減、そのお子様味覚認めたら?私は嫌いじゃないわよ」

そう言いながら、結局彼に味覚に合わせたカレーを作ることにして材料を買う。

「いいのか?それで」

「うん。明日も一緒に食べてくれるんでしょう?2箱もルーを買うんだから」

籠の中にはリンゴとハチミツが売りのカレールーが2箱入っている。

「お前も俺には甘いよな」

「ビターテイストがお好みなら、そのようにしましょうか?」

私は彼に向って意地悪く笑ってみた。

「できるものなら…やってみな。ほらっ、帰るぞ」

彼は強引にスーパーの袋を持って私の家に向かうのだった。



「ごめんね、お肉と野菜を炒めて貰っていい?雨が降りそうだから、雨戸を閉めたいんだけど」

「じゃあ、俺が炒めておくから。終わったら水を入れるんだろう?」

「それと、小皿の月桂樹をお鍋に入れてね。匂い消しになるからね」

「ふぅん」

感心する彼を背後に感じながら、私は雨戸を閉めることにした。

いつも閉めているものを今日は閉めないとなると不在ですと言ってるのに等しい。

防犯にもならないので、いつもよりもしっかりと戸締りをする。

閉めながら。ポツリポツリと雨戸を叩く雨音を耳にする。

「ねぇ、雨が降ってきたわよ。どうするの?」

「最終のバスで帰るさ。俺の家、そんなにうるさくはないさ」

「じゃあ、あんまり遅くならないでね。私は平気だから」

「分かったよ。さっきご飯が炊けたぞ」

「後はルーを入れるだけみたいね。それと、簡単にサラダを作ろうかな」

私は冷蔵庫から、レタスとちぎって水にさらす。ツナとコーンの缶詰を開けてから

玉ねぎをスライスして、ボールに水を入れてスライスした玉ねぎを入れた。

「お前、料理の手際がいいな」

「そう?二人分は勝手が分からないわ。いつもは自分のだけだから」

「これからは一緒にご飯食べようか?一人は寂しいだろ」

サラダを作っている私を彼は後ろから抱きしめた。

「そんな事を言わないで。私その気になって甘えちゃうよ」

「いいんだよ。もっと俺に甘えてくれよ。俺が甘やかしたいんだ」

彼はそういうと私の顎に手を添えて私を振り向かせてからキスをした。



ようやく、夕食ができて、ダイニングで食べ始める。

一人じゃない夕食。何年前に食べたかすらも忘れている。

そんな事を思い起こして苦笑いしている私を見て、彼は怪訝そうに見ていた。

「やっぱり、甘すぎるか?カレー」

「違うよ。久しぶりに自宅で一人じゃないご飯だから嬉しかったのよ」

「親に話して、一緒に飯が食えるようにするな。一人の飯はダメだ。いいな?」

「でも」

「お前はもっと俺を求めろよ。俺はお前を支えられないか」

「そんなことないよ。十分甘えてるよ」

「もっと我ままを言っていいんだよ」

そんな事を言いながらも楽しく食事はすすんでいる。

外の雨はどんどん雨脚が強くなる。それとともに遠くで聞こえる雷の音。

「ご飯を食べたら…帰った方がいいよ。雷鳴っているから」

「そうだな」

彼がそう言った途端に、大きな雷の音がして…一気に暗くなった。



「停電だな」

彼が私を抱きしめる。私が暗いことが嫌いなのを分かっているから。

強くきつく抱きしめる。私も彼の背中にしがみついた。

いつもならすぐに復旧するのに、5分たっても部屋は位まま。

「懐中電灯取らないと」

そう言って私は彼の腕の中から逃げ出した。再び大きな雷の音が聞こえる。

二階からドタドタと大きな音を立ててビリーが下りてくる。

ビリーも雷が嫌いだったっけ。ビリーはダイニングに来て、彼の腕に飛び込んだ。

興奮しているようで、フーフーと唸っている。

「かわいいなぁ。ビリーは。もう大丈夫だからな」

彼はゆっくりとビリーの背中を撫でている。やがてビリーは喉を気持ちよく鳴らし始めた。



「ちょっと、電話貸してな」

彼はそういうと、玄関の電話でどこかにかけていた。

「今夜…泊めてくれな」

「えっ?ちょっと」

「大丈夫。こんな天気でお前を一人にできないから。俺は炬燵で寝てもいいから」

「おばさん達は?本当に大丈夫なの?」

「うーん、オオカミさんになるなってさ。俺はオオカミじゃないだろ?」

「多分ね。そこのところは信用してるよ」

「これ以上は今日は絶対にしないから」

そう言うと彼はいつもよりも長いキスをした。



「だから、ここはな…分かったか?」

「うん。宿題の分は終わったよ。英語はどうする?ふあぁぁ」

苦手な数学の宿題が終わって、ホッとした私はついあくびをしてしまった。

「続きは明日にして、寝ようか」

彼に促されて、私はベッドに入る。外はまだ、雷の音がする時がある。

「寝るまで側にいてもいいのか?」

「でも…」

「怖いんだろ?狭くてもいいなら」

そう言うと、彼はベッドのふちに座って私の頭を撫でた。

頭に感じる彼のぬくもりが心地よくって私は目を閉じる。

「大丈夫。一人にはしないからな。じゃあ、いつかくるその日の為の練習するか?」

「何の練習?」

「お休みのキス。いつか、一緒に暮らそうな。さっきご飯を作ったりして一緒に暮らしたくなった」

「でも、一緒に暮らすとなると汚いものも見えるんだよ。それでもいいの?」

「いいんだよ。仲良くずっと一緒にいような」

そう言うと彼の顔がゆっくりと近づいた。私は目を閉じて彼の唇を待つのだった。



いつもなら、ご飯を食べないでまったりお家デートなはずだった。

ひょんなことから、将来を約束したちょっとだけ特別な日になった。

明日起きたら、今度はその日の為の練習を私からしないとね。

おはようのキスの練習を。



「おやすみ。今日はありがとうね。愛してるな」

そう呟くと、私は眠りに落ちていくのだった。



パラレルというよりも、妄想に近い話です。

相手をあなたと呼ばせてますので、お好みなキャラクターに変換して下さい。


このシリーズでは多分…一番糖度が高いかと思われます。お粗末でした。




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