しれっと帰って来てる
「やあ、エル君。お子さんが生まれたって聞いたから、会いに来たよ。大丈夫かな。」
「いいよ、アーニャさんも喜んでくれるよ。ノルト君もエーファさんもどうぞ。」
「ありがとう。女の子だってね。」
「ノルト君のところも女の子だったそうじゃないか。仲良くしてくれると嬉しいな。」
「僕のところは男の子だったんだよなあ。でも、可愛いよね。」
「そうだよねえって、あそこに隠れてるの誰?」
「ああ~、アイツね。お~い、キース君!いい加減にこっち来いよ!」
何か、もそっと現れる二人組。
「いやあ、エルハバード様、久しぶりだねえ。」
「何だよその呼び方は。キャラ変わってない?」
「それがさあ、キース君、普段あんなに強気なのに、意外と攻められると弱くてさあ、ノルト君にすら弄られて、ちっちゃくなってるんだよ。ましてや、そんな弱体化した状態でエル君やアナスタシアさんと渡り合えるはずないじゃあないか。」
「おいアル!その位にしておいてくださると・・・」
だんだん尻すぼみ。さすがにいじるのは可哀相になってくる。
「私だって悪魔じゃないから、そんなことは言わないよ。それよりご結婚おめでとう。夫人をご紹介いただけると嬉しいんだけど。」
「ああ、妻のグレーテだ。」
「グレーテと申します。男爵様、よろしくお願いします。」
「ご丁寧にありがとうございます。では、妻の所に案内します。皆さんどうぞ。」
「まあ、こんな格好で失礼します。妻のアナスタシアと申します。」
「私は、同じくローサと申します。よろしくお願いしますね。」
「こちらはボーエン公爵家のご令嬢、こちらは辺境の聖女様だよ。」
「こ、これは恐れ多い事でございます。その、グレーテと申します。よ、よろしくお願いします。」
「グレーテ夫人、二人とも優しいから、普通に接してくれても大丈夫だよ。」
「旦那様、何か少し、何と言いますか、危険な事もあるかのような紹介ですわ。」
「いや、そんなことはないよ。いつも温厚で優しい妻だよ。」
「何か、もっと微妙になりましたが・・・」
「グレーテ夫人、アナスタシア様は私たちのご学友で、僕たちみたいな平民相手でも全く分け隔て無く接してくれたんだよ。」
さすが、ノルト君!
「そうだよ。そしてこのローサ夫人は、キース君がいつも追いかけて迷惑かけてたんだよ。」
「おい、アル!何てこと!」
「まあ、アナタ・・・」
アル君、君はダメだ・・・




