取りあえずスーディル城へ
「では閣下、道中お気を付けて。」
「ええ、チコ、フリオ、世話になった。そなたらも気をつけて。」
「はい。」
サントス大公たちは、入国ゲートをくぐる。
「とは言うものの、どこに行けば良いのやら。」
「窓から城が見えておりました。恐らく、当地の領主がいるのではないでしょうか。」
「そうだな。そこに向かおう。」
そして、山の上に建つ塔を目指してスーディル城へ。
「ジョルジュ様、サントス大公国という国の使者ご一行がお見えになっております。」
「えっ?私にかい?まあ、応対するしかないなあ・・・」
「我々はサントス大公国の大公閣下一行である。当地の領主にお会いしたくて参りました。」
「大変申し訳ありません。私はここの領主の弟でして、領主はここ15年ほど、帝都に住んでいます。嫡男がここから東のロスリーという町で名代をしているので、そちらに行かれると良いでしょう。」
「そうですか、残念ですが、そうすることにしましょう。」
「ジョルジュ様、こんにちは。ああ失礼いたしました。お客様がおられたのですね。」
「これはローサ奥様、丁度良いところへ。私ではなく、エルへのお客人ですよ。皆さん、彼女が領主名代エルハバード・リンツの夫人、ローサ様です。辺境の聖女様と言った方が名が通っていると思いますが。」
「あ、あの神聖教12聖女のことですか・・・」
「はい、一応、そのような称号をいただいております。」
「こ、これは幸先がよい!」
一行は、ローサの馬車とスーディル城の馬車の2台に分乗し、ロスリーに向かう。
「ここの領地は非常に栄え、豊かな社会を実現しているように思えます。」
「ありがとうございます。ここも十数年前までは貧しい土地でした。私の夫の功績です。」
「そうですか。立派な領主様なのですね。そう言えば、閣下が星降る夜の事を聞きたいと。なになに?おお!ブリギッテ、あなたはまさに星降る夜に瞬く星だ!」
「ああロデオ!私はあなたがいないと光ることが出来ない星です!」
「ブリギッテ!・・・ああっと閣下、これ以上訳すのが恥ずかしくなるような発言はお控え下さい。」
「私の方こそ、失礼いたしました。それで、先ほどお城に居たジョルジュ様が星降る夜の作者ですが・・・」
「ええ!何と、そうと知っていればもっとお近づきになりたかった、と申しております。えっと、ローサ夫人、あまり真面目にお答えしなくても、よろしいと思います。」
「いえ、叔父様もお喜びになると思います。」
大興奮の馬車は進む・・・




