収穫祭で騒ぐ一族
さて、秋のロスリーといえば収穫祭である。
特にミネルヴァ様やリーン様は初めてである。
そういや、うちの家族だけで楽しんだ事なんてあったっけ?まあいいか・・・
さすがにアルマ夫妻はお休みだが、トマスとブルーメリは御祖父様が確保済みだ。
「夏のお祭りでもそうでしたが、帝都の祭りより凄いですね。」
「楽しい!それに綺麗!」
「ベル、そっちに走っては危ないですよ!」
「まあ、うちの跡取りに怪我などあっては大変です!」
お、お義母様・・・
「跡取りかどうかは別にして、ベルのことはお母様にお任せしました。」
「ええ、任されたわよ、アーニャ。」
間違いない、この二人は親子だ!
「このフワッふわの砂糖菓子、帝都にもあればなあ・・・」
「実は、クッキーなんかより安いんですけど、作り方にコツがあって。」
「エル=ラーンでは、手に入らないですよね。」
「うちの菓子店がテーレにオープンしておりますので、綿菓子も作れるように取り計らっておきますよ。」
「さすがはお義兄様です。」
「お義兄様?ああ、よく考えたらそうなるのか。」
「はい、ケヴィンお兄様やメンフィスお兄様より頼りになる、お義兄様です。」
「そう言えば、メンフィス様って、何度かお会いしただけだなあ。」
「私も滅多にお会いできません。」
「そうなの、あの子は特に内気で。そろそろ20歳になるので、何かさせないといけないと思うのですが。」
「何かご趣味はおありですか?」
「一応、剣術も芸術も出来はするのです。でも、公爵家の看板が邪魔をして、あの子のような内気な子が出て行けるような場所が、帝都にはないのですわ。」
「じゃあ、叔父さんの所で絵を描くのはどうかなあ?」
「婿殿、よろしいのですか?」
「まあ、メンフィス様さえよろしければ。叔父も弟子が足りないみたいですし。」
「まあ、お兄様が先生の弟子!それは素敵です!」
「リーンも弟子になる!」
「いくら何でもアナタはいけません!」
「私、勉学より貴族より、漫画に向いていると思うのです!」
「リーン、ズルい!あなたがエル=ラーンに行きなさい!」
「あなたたち、いい加減になさい!」
祭りより賑やかな何かが始まった・・・




