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リンツ伝  作者: レベル低下中
第三章 家族編
712/1781

収穫祭で騒ぐ一族

 さて、秋のロスリーといえば収穫祭である。

 特にミネルヴァ様やリーン様は初めてである。

 そういや、うちの家族だけで楽しんだ事なんてあったっけ?まあいいか・・・


 さすがにアルマ夫妻はお休みだが、トマスとブルーメリは御祖父様が確保済みだ。


「夏のお祭りでもそうでしたが、帝都の祭りより凄いですね。」

「楽しい!それに綺麗!」

「ベル、そっちに走っては危ないですよ!」

「まあ、うちの跡取りに怪我などあっては大変です!」

 お、お義母様・・・


「跡取りかどうかは別にして、ベルのことはお母様にお任せしました。」

「ええ、任されたわよ、アーニャ。」

 間違いない、この二人は親子だ!


「このフワッふわの砂糖菓子、帝都にもあればなあ・・・」

「実は、クッキーなんかより安いんですけど、作り方にコツがあって。」

「エル=ラーンでは、手に入らないですよね。」

「うちの菓子店がテーレにオープンしておりますので、綿菓子も作れるように取り計らっておきますよ。」

「さすがはお義兄様です。」

「お義兄様?ああ、よく考えたらそうなるのか。」

「はい、ケヴィンお兄様やメンフィスお兄様より頼りになる、お義兄様です。」


「そう言えば、メンフィス様って、何度かお会いしただけだなあ。」

「私も滅多にお会いできません。」

「そうなの、あの子は特に内気で。そろそろ20歳になるので、何かさせないといけないと思うのですが。」

「何かご趣味はおありですか?」


「一応、剣術も芸術も出来はするのです。でも、公爵家の看板が邪魔をして、あの子のような内気な子が出て行けるような場所が、帝都にはないのですわ。」

「じゃあ、叔父さんの所で絵を描くのはどうかなあ?」

「婿殿、よろしいのですか?」

「まあ、メンフィス様さえよろしければ。叔父も弟子が足りないみたいですし。」

「まあ、お兄様が先生の弟子!それは素敵です!」

「リーンも弟子になる!」

「いくら何でもアナタはいけません!」


「私、勉学より貴族より、漫画に向いていると思うのです!」

「リーン、ズルい!あなたがエル=ラーンに行きなさい!」

「あなたたち、いい加減になさい!」


 祭りより賑やかな何かが始まった・・・


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