夜もガヤガヤ
「まさか、あのベッドが手狭になる日が来るとは・・・」
「仕方ありません。大の大人6人に子供3人も集まれば、ああもなります・・・」
あの巨大ベッドに御祖父様、お義父様、お義母様、エミーリア様、ミネルヴァ様、リーン様にヴィレ、フラン、ベルが拉致されている。さすがに狭いと、私たちは自室に追い出されてしまった。もちろん、公爵家の方々には2階と3階に部屋をあてがってはいるのだが、夜は子育て部屋で楽しいパジャマパーティーとなっている。
ということで、私たちは、人混みからかろうじて逃げ出してきたフローレンスとともに、自室でお休みだ。
「向こうは賑やかですね。」
「フランたちもいつになったら寝るんだろう。」
「多分、寝たくても寝かせてもらえないと思います。」
「ヴィレはマイペースだからいつの間にか寝てるだろうけどね。」
「はい、ヴィレは少し油断していると、いつの間にか寝ていますね。」
「ベルもマイペースです。心配は要りません。」
「フラン、健闘を祈る、キリッ。」
「でも、たまにはこういうメンバーもいいですね。」
「はい、喧噪を横に、静かに居られるのも風情があります。」
「フローレンスはひっつき虫になってるけど。」
「ではご主人様、私もひっつき虫になってもよろしいでしょうか。」
「旦那様、私もそのひっつき虫というものになりたいです。」
「いいよ。少し寒い時期になったからね。風邪を引かないように注意しないと。」
「おとさま、だいちゅき・・・」
「フローレンスはすっかりお父さん子になってしまいましたね。」
「まあ、そのうちパパ嫌い、とか言い出すだろうから、それまでの間はいいでしょ。」
「はい、でもフローレンスがそのような事、言うでしょうか。」
「生物学的にそうなるように出来てるからね。正常ならそうなる。」
「あのミネルヴァやリーンですら、そうですね。確かに言われてみればそうです。やはり、旦那様の洞察力は本当に凄いです。」
まあ、21世紀では実証済みだからね・・・
「でも、みんないい子には育ってくれている。」
「私はフランとベルが心配ですが。」
「あの二人もきっと大丈夫。いかにも子供って感じじゃないか。」
「そうですね。それと旦那様、私にも女の子が・・・」
「分かってる。フローレンスのためにも、もう一人女の子がいた方がいいかなと思ってる。」
「おとさま、だっこしてねる・・・」
遠くの喧噪のお陰で、却って静かに感じる秋の夜・・・




