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リンツ伝  作者: レベル低下中
第三章 家族編
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それ行け、新年度!

帝国歴256年9月



 また、新たな年度がスタートする。


 昨年度徴税額が3億8900万ディリ。

 もうすぐ4億超えだ。もう使い切れない。

 何せ、予算書上の昨年度繰越金が6125万ディリで、企業団の内部留保が2億7162万ディリもあって、この予算なのである。


 人口も5月末で191,000名だそうだ。人口の伸びは緩やかになっているが、若年層の人口が増加しているのは、医療と食料事情のお陰だと自画自賛したい。


 新しい制度についてであるが、来年度から婦人会を創設するための準備会を設立した。

 初代の代表には、ガーゴイルの開発が一段落したアーニャさんに務めてもらうが、ゆくゆくは領民から代表を出してもらいたい。


 また、教会が正常化したことに伴い、孤児院の運営を教会に戻した。

 どさくさに紛れて託児所の運営もやらせる。

 ちなみに昨年、鉱山労働刑1年に処したマッシモ・ピンティ司祭は刑期を終え、すでに帰国の途に就いている。


 土木事業については、ハガー鉄橋の工事を開始する。部材の鋳造と運搬さえできれば、工事そのものは早いだろう。もちろん、それを見越した構造と形式である。


 また、トレドにもアイヒ川を渡る橋を建設する。

 今年度は設計のみだ。

 同じアイヒ川下流のフェネト地方については、今年度で堤防と2本の橋を完成させる。

 フェネトについては調査の結果、長年の洪水により土砂が高く堆積している箇所が多く、水が浸入する箇所は限定されていたため、当初の想定より施工量がかなり少なかった。

 このため、来年度一杯で緊急箇所の整備は完了すると判断したものだ。


 もちろん、今後も更なる補強整備は労働力の確保状況と工事優先度を判断しつつ継続していく必要がある。

 しかしこれでようやくアイヒ川河口堤防の建設にも着手できる見通しだ。

 当然、この河口堤防が完成すれば、その外側の新田開発が進むことになる。


 トンネルについては、推定で約30%の進捗とのこと。今年度内にこれを50%までできるかなあ。

 灌漑と農地整備も5%の進捗だ。灌漑は使役事業でできるので楽だ。


 文化面では、今年度に観光パンフレットを作成する。

 まあ、これといった観光地は思いつかないが、避寒地として優秀だろうということで、企画してみた。


 また、キツネのベンちゃんが大ヒットしているらしい。

 そうか、ああいうナンセンスな笑いがこの国の人にウケるのか・・・


 製造分野では、精密機械工廠において、日傘の大量生産を始めた。

 これまでは職人の手作りであったが、またしてもロスリー金属産業とコンスタンツェさんたちとのコラボで実現した。

 また、製紙工廠において、生理用品の製造を始めた。

 紙おむつを作ってこちらを思いつかないのは私が男だからである。本当に申し訳ない。


 そして、苦戦している自転車用タイヤであるが、中空式を取りあえず諦め、全ゴム製のタイヤとスプリングを多用したフレーム構造で再チャレンジすることにした。

 何かのっけから高級自転車みたいだが、仕方無い。

 これによって更に高価になること請け合いだ。


 造船工廠においては、記念すべき20隻目の貿易船が進水した。

 いや、一体何隻体制にするつもりなんだろう、エネル商会・・・


 こうして、益々順調に事業が始まる。


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