夜に語らう
「子供たちはどう、元気そうだった?」
「ええ、でも毎日フランとトマスが喧嘩しているそうです。」
「まあ、まだ自分が王様だからね。喧嘩は仕方無いよ。」
「でも、トマスばかり怒られているそうです。」
「アルマさんだね。」
「ええ、どちらが悪いかより、自分の立場を教え込まないといけない、だそうです。」
「でも、身分と事の善し悪しは違うからね。まあ、まだ分かる年齢じゃないだろうけど。」
「そうですね。私が白と言ったら白だ、なんてフランが言い始めたら大変です。」
「それ、私じゃあないからね。」
「はい。」
「まあ、見かけたら私もフランを注意するようにするよ。それと、教会とは和解できそうだ。」
「それは良かったです。ローサさんも一安心ですね。」
「まあ、これで領内が落ち着いてくれれば、それでいい。」
「やはり、旦那様が全面的に正しかった、ということですね。」
「アーニャさん、褒めすぎ。」
「いいのです。旦那様ですから。」
「それと、ケヴィン様たち、大丈夫かな?何か、強引だったような気がするけど。」
「私もお兄様たちに対して、かなり強引なことをした自覚はあります。でも、お兄様はいずれ公爵になり、帝国の政治に深く関わることになります。下級貴族の次男、三男と同じような感覚ではいけません。個人の主義や愛だけではいけないのです。」
「そうだね。ケヴィン様はお優しいし、リサさんも、そんなケヴィン様に合わせ、支えようとしているように見えるけど、それに加えて貴族の義務を果たしていかないといけないということだね。」
「はい。それに、ロスリーなら変な雑音はありませんし、周囲の目を気にする必要もありません。気持ちを楽に、自由に振る舞って良いのです。」
「だからインペリアルだったんだね。」
「いえ、単に豪華だと聞きましたので。」
「ええ~」
「あら旦那様、何か失礼な気配がしますね。」
「そ、そんなことないよ。そうだ、私たちも一度、そのロイヤルスイートって所に行ってみないかい。」
「まあ、素敵ですね。さすがは旦那様です!私もワクワクしてまいりました。」
「うん。部屋は一つしか無いみたいだから、ケヴィン様たちが帰った後に予約を入れてみよう。」
「いえ、お兄様たちなら、明日にでも迎賓館に移ってもらいましょう。」
これでいいのか?




