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リンツ伝  作者: レベル低下中
第三章 家族編
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晩餐ではない、ただの食事

 そして今日はヴィレの2歳の誕生日、なのだが、もう既にワチャワチャである。


「フランシスは私が抱っこするんだ!」

「じゃあ、私はベルですわ!」

「で、では私は今日の主役です。」

「じゃあ私はお姉ちゃんの隣!」

「お姉様、隣いいですか?」

「ではルーデルさん、久しぶりに隣、よろしいでしょうか?」

 まあ、こんな感じ・・・


「じゃあ、まだ分からないだろうけど、ヴィレ、お誕生日おめでとう。」

「ヴィレ、お母さんからはプレゼントです。」

「あっとう。」

「おっ、偉いなヴィレ。ありがとう言えたね。」

「キャッキャ!」

「今夜はコース形式で料理をご提供しますので、ごゆっくりお楽しみ下さい。」


「まあ、このスープは冷めていますが・・・」

「ええ、ここの夏はとても暑いので、敢えて冷製スープとさせていただいております。」「こういう料理もあるのですね・・・」

「確かにスッと入って行きますね。」


「まあ、トマスくんは食べるのが速いですね。」

「あーい!」

「ヴィレはこんな時でも落ち着いてるねえ。」

「リヒトヴィレ様はお母様似でございます。」

「トマスもかなりお母さん似だと思うよ。ウチの子供はみんな母親に似てるんだと思う。」

「まあ旦那様、フランシスは旦那様に似ていると思ったんですが。」


「いや、私も最初はそう思ってたんだけどね、最近、性格もアーニャさんに似てるというか、意外にアーニャさんってさあ・・・」

「分かります。私もお仕えして長いですが、最近の奥方様ってとてもお強いですよね。」

「そうなんだよ。」


「あら旦那様、アルマ、何か失礼な気配がいたします。」

「あ、いや、そろそろ三品目が出てくる頃かなあと、ねえヤンさん?」

「は、はい?」

「ヤンは違うと申したそうですが・・・」


「奥方様、旦那様が当家の子供たちはみんな母親似で嬉しい、とおっしゃっておられたのですよ。」

「そうだよ。私の自慢だ!」

「まあ!旦那様にそう言っていただくことが、私にとって最高の褒め言葉です。」


「ん?パウロ、どうした?」

「いえ、さすが旦那様とアルマ様、私とは年季が違うなと感心していたところです。」


 うん?何がだ?


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