晩餐ではない、ただの食事
そして今日はヴィレの2歳の誕生日、なのだが、もう既にワチャワチャである。
「フランシスは私が抱っこするんだ!」
「じゃあ、私はベルですわ!」
「で、では私は今日の主役です。」
「じゃあ私はお姉ちゃんの隣!」
「お姉様、隣いいですか?」
「ではルーデルさん、久しぶりに隣、よろしいでしょうか?」
まあ、こんな感じ・・・
「じゃあ、まだ分からないだろうけど、ヴィレ、お誕生日おめでとう。」
「ヴィレ、お母さんからはプレゼントです。」
「あっとう。」
「おっ、偉いなヴィレ。ありがとう言えたね。」
「キャッキャ!」
「今夜はコース形式で料理をご提供しますので、ごゆっくりお楽しみ下さい。」
「まあ、このスープは冷めていますが・・・」
「ええ、ここの夏はとても暑いので、敢えて冷製スープとさせていただいております。」「こういう料理もあるのですね・・・」
「確かにスッと入って行きますね。」
「まあ、トマスくんは食べるのが速いですね。」
「あーい!」
「ヴィレはこんな時でも落ち着いてるねえ。」
「リヒトヴィレ様はお母様似でございます。」
「トマスもかなりお母さん似だと思うよ。ウチの子供はみんな母親に似てるんだと思う。」
「まあ旦那様、フランシスは旦那様に似ていると思ったんですが。」
「いや、私も最初はそう思ってたんだけどね、最近、性格もアーニャさんに似てるというか、意外にアーニャさんってさあ・・・」
「分かります。私もお仕えして長いですが、最近の奥方様ってとてもお強いですよね。」
「そうなんだよ。」
「あら旦那様、アルマ、何か失礼な気配がいたします。」
「あ、いや、そろそろ三品目が出てくる頃かなあと、ねえヤンさん?」
「は、はい?」
「ヤンは違うと申したそうですが・・・」
「奥方様、旦那様が当家の子供たちはみんな母親似で嬉しい、とおっしゃっておられたのですよ。」
「そうだよ。私の自慢だ!」
「まあ!旦那様にそう言っていただくことが、私にとって最高の褒め言葉です。」
「ん?パウロ、どうした?」
「いえ、さすが旦那様とアルマ様、私とは年季が違うなと感心していたところです。」
うん?何がだ?




