休みの日くらいはゆっくりと
さて、4月も半ばを過ぎたとある休日。
最近ブラック気味なので、帝都行き前の休みはゆっくりしたい。
「もう、帝都に行ってしまわれるのですね。」
「まあ、陛下の依頼だし、仕方無いね。でも終わったらすぐに戻ってくるから。」
「はい、首を長くして待っておりますね。」
「御祖父様にもよろしくお伝えください。」
「そうだね。ベルトランだけじゃなく、フローレンスにまでお祝いを頂いたからねえ。」
「またリサとお兄様は大変ですが・・・」
「言えてるね。ところで、英才教育ってやる?」
「英才教育とは、どのようなものですか?」
「幼い頃から高度な勉強をたくさんさせることだよ。」
「ウフフッ、旦那様、いくら何でも気が早いのでは?」
「うん、我ながら早いと思う。でも、やるやらないは決めておいた方がいいかなと。」
「そうですね。旦那様は齢3つにして、読み書きと算術を自ら始めたと、セバス様から聞きました。本当に早熟の天才っているのだなと思いました。」
「ああ~、あれはその・・・でも、アーニャさんも、6才から皇妃教育を受けていたんでしょう?」
「ええ、特にアインツホーフェン先生の授業は厳しかったです。」
「ちなみに、どんな科目があったの?」
「ええと、帝王学、地理、歴史、読書、グラーツ語、エル=ラーン語、商業標準語、聖典語、神学、宗教学、哲学、礼法、ダンス、算術、性教育、宝飾、服飾、貴族家概要、馬術、剣術、護身術、刺繍、絵画、観劇、チェレスタ、フルート、毒薬学、女官修行ですね。」
「・・・・・」
「凄すぎます。」
「あの、毒薬学って何ですか?」
「実際に薄めた毒を服用し、味や症状を覚えるものです。いち早く異常に気づき、症状を典医に伝えることが、毒殺から身を守るために必要です。」
「実際に飲んだの?」
「はい、もちろんです。」
「じゃあ、女官修行って何?」
「女官や下人の仕事を実際にします。掃除やお洗濯もしましたよ。実際の内容を知らないと適切な指導はできませんし、手を抜かれても気づけませんので。」
「それ、ほぼ履修済みだったんだよね。」
「はい。ただ、どれも突き詰めれば、生涯かけて学ぶ価値のある科目ばかりでした。」
「そりゃあ、貴族学校の勉強なんて受けなくていいレベルだよね・・・」
「でも、みんなで勉強すると楽しいものです。」
英才教育なんてやめようと思った・・・




