魔女狩り
18才の誕生日も過ぎたある日の朝。
政庁の向かいに見える中央公園で、数人の男が何か作業をしてる。
「ねえ、あれ何か祭りでもするの?」
「さあ、何でしょう。」
「ご領主様、あれは魔女裁判が本日行われるそうで、きっと磔刑用の台だと思います。朝から町はその話で持ちきりですよ。」
秘書が答える。
「へっ?うちは私刑禁止規則で、そういうのは禁止してるんだけど・・・」
「なんでも悪魔の召喚儀式を行った者がいるそうで・・・」
何て馬鹿馬鹿しい!と思うが、まあ、ここはそんな時代だし・・・
「今すぐ内務責任者と法令担当者を市役所へ向かわせて公園の使用許可を確認させて。」
「はい、承知しました。」
「旦那様、いかがされるおつもりで。」
「止めるよ。ちょっと騎士団に行ってくるから、結果は聞いといて。」
騎士を20名ほど引き連れて政庁に戻ると、市役所の公園使用申請内容が公開行事となっている事が判明した。
「よくこんなんで、許可出したなあ・・・」
「担当を処分いたしますか。」
「まあ、厳重注意かな。こんなこと、この10年で初めてだし、担当にとっては不運だよ。」
「承知しました。」
「どうやら、該当者の市中引き回しが始まりましたね。」
「不当逮捕か、監禁はどの段階で成立するかな。」
「当人の意思に反して教会に入った時点ではないでしょうか。」
「市民も集まって来ましたね。」
「みんな教会に行くのかな?」
「おそらくは。では、皆が教会に集まった時点で動くということですね。」
「そうするよ。では、騎士団の諸君、これからどんな事が起きようと、私に忠誠を誓い、職務に専念するように。たとえ相手が聖職者であったとしても、法を犯すことは許されない。諸君らの勇気と正義感に期待する。」
「はっ!」
彼らは団長に選んでもらったが、さすがは幾度も戦場を共にした歴戦の猛者である。
いい目をしている。
そして、祭服を着た司祭を先頭に、一行が教会に入るのが政庁からでもよく見える。
「では、まいりましょうか。」
私たち取り締まり隊一行も、教会に向け出発する。




