デーデンスドルフの戦い
夜間、ベルンド・ローゼンブルク伯爵率いる騎馬隊2千が、戦場の北に位置するレーニンゲンに向かい、一当たりした後、昼頃に帰還した。
「ベルンド卿、危険な任務、ご苦労であったの。」
「いえ、各騎士団の騎兵をお借りしまして、無事帰還でき安堵しております。」
「それで、敵の様子はどうでしたか?」
「はい、町には守備隊はおらず、我々を追ってきた敵兵は数百名でした。我々が踵を返すと交戦せずに退却しました。」
「しかし、騎馬はその程度しかいないのでしょうか。」
「見る限り、それほどいないようじゃな。それで、軍監殿、南の味方はどこにおるのかのう。」
「はっ、オットーシュバルツに、シーラッハ公爵率いる東部陸軍3万が駐屯しております。」
「こちらには来んのか?」
「それは・・・」
「当然、こちらの動きは知っておろう?オットーシュバルツはどの位距離があるのじゃ?」
「100kmまではないと思います。」
「ならば、我が手勢のみで敵を撃破するしかあるまい。」
「それは、いくら何でも無謀でございます。」
「ならば、ここで暇を持て余すか?我らも兵糧の蓄えが潤沢にある訳ではない。このままでは、味方に足を引っ張られて退却せざるを得んぞ?」
「しかし、陸軍と合流した後に戦う方が、確実であります。」
「本来であれば、陸軍が主体で戦うべきではないか?百歩譲って我らに戦わせるとしても進軍は行い、敵をあの場に釘付けにすべきではないか?それすらできん無能な友軍など、アテにするつもりなどないわ。」
「では、敵陣の2km手前まで進軍いたします。前列に配置した砲は待機させ、後列の砲を帯同させます。」
「そうだの。では、落とし穴に注意しながら密集隊形で進軍せよ!」
全軍が進軍を始めると、敵軍も前進を開始した。
どうやら敵も対策を練ってきてはいるようだ。
味方に緊張が走る。
そして、敵が全速で突撃を開始する。ただ、残念なことに騎馬が少ない。
このため、鉄砲隊により次々に排除される。
続いて歩兵が突撃してきたが、あの重い装備の上、ほとんどは徴兵された一般人である。
接敵する前に斉射すると陣形は乱れ、バラバラに逃散を始めた。
ここでセオリー通り騎馬隊を投入。
設置の終わった大砲が後方の陣を攻撃し始めた所で勝負はほぼついた。
「投降した兵のうち、騎士で無い者は武装解除の後、解放せよ。敵兵は捕らえ、捕虜とせよ。」
「さて軍監殿、そなたは陛下にシーラッハ公爵の大活躍により、デーデンスドルフを陥落させたと報告するが良いぞ。」




